「もしかする未来」にいってみた話
「もしかする未来」は国立新美術館で12月9日(日)まで開催している東京大学生産技術研究所での研究過程で作られたプロトタイプの展示会です。
プロトタイプを見て触るだけでも楽しめますが、その奥にある研究の本質や背景を感じることがもう一つのテーマとなっています。
運よく今回の展示構成をされた角尾舞さんのガイドツアーに参加できそのことをより深く知ることができました。1時間にわたるお話の中で角尾さんが感じている研究テーマや研究者同士の繋がりと歴史、それに対するデザインの役割というものがしっかりと伝わってきました。
テーマは「繋がり」と「掛け合わせ」、70年の歴史がある東京大学生産技術研究所が脈々と繋げて広げてきた研究の全体像を感じることができる構成になっており、迷路のようなメインビジュアルは、その研究の繋がりと広がりを表したもので脳に刻まれた皺のようにも植物が根を張ったようにも見えました。
展示されているプロトタイプは研究の最終目的ではなく、研究の本質を見つけ出すためにこの世に生み出されたものです。
既存の作り方で新しいコンセプトを具現化するプロトタイプもありましたが、多くの展示物はそのプロトタイプを作る技術自体が研究対象になっており、研究と応用、素材と製品、加工と体験などなど、研究の厚みと多重性を感じました。
そして展示全体を通してこの多重性によって、研究者と研究者、研究者とデザイナーを結びつけていることが伝わってきました。
一つの研究成果に具体的な形を与えることにデザインが係わり、その係わりを通して研究に新しい視点が加わり一歩進んでいく。そういった営みが研究所の中で日々おこなわれているのです。