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ニンジャスレイヤーTRPG:友情スレイト【シルバーキー鍼灸院:シルバーキー、ナイトランナー】

この記事は投稿者『古矢沢』が2021/04/15にTac.T=サンのPC『ナイトランナー』と『シルバーキー』のユウジョウ判定の結果を踏まえて設けたロールプレイセッションを発言順の整理など多少の修正を加えた上でリプレイ化したものです。『ナイトランナー』の背景やナイトランナーとシルバーキーの出会いについては以下のリプレイを参照。

Tac.T:…電脳メガロシティ・ネオサイタマを常に覆う重金属酸性雨は、今はまばらに勢いを落とし、柔らかな小雨となって一人の少年に降り注ぐ。

Tac.T:その小さな人影は、まるで地上のことなど気にも止めていないかのようにビルからビルへと身軽にわたる。ストリート・チルドレンなのだろうか。否、そのブルゾンの肩の追加パーツにはクロスカタナの刺繍。

Tac.T:今、その影が空でバック宙返りを決め、その真下……とある整体店の玄関先へと着地。 肩のパーツを無造作に破り、ポケットの中に仕舞うと、扉をわずかに開ける。

シルバーキー(古矢沢):「いらっしゃい!」

ナイトランナー(Tac.T):「やぁ、ドーモ」

NM:カタオキは持ち前のニンジャ感知能力で君が近づいていることに気付いていたようで、机の上には既にチャやワガシが置かれている。

シルバーキー:「こんなものしか出せねえが、くつろいでいってくれ」

シルバーキー:「実際、ホシカワ=サンの境遇は大変だろうしな......ここでリラックスしてくれれば、俺としても嬉しい」

ナイトランナー:「…流石はキョート出身」

ナイトランナー:目ざとくそれに視線を向けるホシカワと呼ばれた少年…ナイトランナーはするりと店の中に入ってきた。

ナイトランナー:「ありがとう…本当に助かるよ」遠慮がちに机の前に座ると、早速ワガシをつまみ始める。

シルバーキー:「それじゃ、用事を聞かせてもらっていいか。客か?それとも何か面倒ごとでもあったか?」

ナイトランナー:「別になんのことは?」バッジを破り捨てた肩を見せ、任務で来た訳ではない事をアピールしながら。

ナイトランナー:「遊びに来ただけだよ。あんまり長いこと空を駆けてると疲れもするしね」比喩を交えて足を崩す。

ナイトランナー:「ちょうどよく宿木があったというワケさ」

シルバーキー:「そっか」

シルバーキー:「じゃあゆっくりしてってくれ」

シルバーキー:「『あいつ』もここ最近はちょっと遠出してるみてえだしな。鉢合わせして気まずいことになったりする心配はしなくていいと思うぜ」

ナイトランナー:「そっか」

Tac.T:視線を遠くにやる。

NM:この発言の裏に何人の邪悪ニンジャの死があるのだろうか。

Tac.T:ホントだぜ…!

ナイトランナー:「…まぁ、彼の行脚にボクは関係ないしね……」本当にそうであれ、という半ば祈りも込めつつ、呟く。

Tac.T:当然裏には、ソウカイヤの同胞の死など知ったこっちゃない、という反抗心も込められている。

シルバーキー:「うちに置いてある雑誌とかは自由に読んでいいぜ」

ナイトランナー:「や、あんまり荒らすのも悪いしさ…」そう言いかけ、何か思い出したように財布を取り出す!

ナイトランナー:「キミ、今暇かい?」

シルバーキー:「うん?ああ、2~3時間の間は予約もないな」

ナイトランナー:「…じゃあ頼んでみようかな?」立ち上がると待合室のカウンターに万札を置く。

ナイトランナー:「なんだか最近気を張り詰めるビズが立て込んでてさ…」

シルバーキー:「分かった」

シルバーキー:「施術を受けたいってことでいいんだな。改善して欲しいものとかはあるか?」

シルバーキー:「俺の施術は......ようはこの前見せたようなジツで心の不安とか疲れを取り除いてんだ」

ナイトランナー:「ん?あぁ〜…」わかったようなわかっていないような表情を返す。

シルバーキー:「前、2人で話した空間があるだろ」

シルバーキー:「あそこでは心の闇とか、そういったものが物理的に目に見える形になると思ってくれ」

シルバーキー:「そこで俺はそれを取り除くことで悪いところを癒してるわけだな」

ナイトランナー:「…そりゃ儲かる訳だ」納得したようにうん、と頷くと、店内をざっと見渡す。

シルバーキー:「もちろん、心に直接踏み込んで手を加えるわけだから、よく話を聞いとかねえと取り除いちゃいけねえもんに触れちまう可能性もある」

シルバーキー:「だから具体的にどうして欲しいのか聞いときたいんだ。普通の客ならここまではっきりと事情を話すわけにはいかねえから、もう少し遠回しに聞いてるけど、今回は互いにニンジャだからな」

ナイトランナー:「ん………」顎に手を当てる。

シルバーキー:「ああそうだ。何ならジツを使わない普通の施術も可能だぜ」

シルバーキー:「鍼灸院を始めたのはニンジャになる前だからな」

Tac.T:……長いこと考える。

ナイトランナー:「…一つ、良いかい?ボクのジツの事なんだけれど…」

シルバーキー:「聞かせてくれ」

ナイトランナー:「キミと似たような、テレパス?…ニューロンに直接働きかけるジツでさ。ジャミングめいて相手の意識や動きを妨害するんだ」

ナイトランナー:「……イヤな記憶のフラッシュバックの副作用つきでね」

シルバーキー:「なるほど」

ナイトランナー:「…実際、『彼』にボクの記憶を押し付けてしまったのも、フラッシュバックの余波で起こった現象なんだ」

ナイトランナー:「それを…どうにかして欲しい。できる?」

シルバーキー:「ジツにそこまで詳しいわけじゃねえから何とも言えねえが」

シルバーキー:「やれるだけのことはやってみるよ」

ナイトランナー:「…ヨロシクね!」

シルバーキー:「ああ」ではナイトランナー=サンを施術台へ案内します。

ナイトランナー:ハーイ!

シルバーキー:「じゃあ横になってくれ」

ナイトランナー:「うん……服はこのままで?」

シルバーキー:「うん?ああ、俺のジツは服の上からでも使えるからな」

ナイトランナー:「そっか」うつ伏せになる!

シルバーキー:ではナイトランナー=サンの背中に手を当てユメミル・ジツを行使します。

Tac.T:カタオキが…シルバーキーが潜航した先は、激しいノイズと濁った色彩の雨嵐であった!

シルバーキー:『こりゃ難儀しそうだな......』

Tac.T:電子の暴風雨が、激しい記憶の波と共にシルバーキーを四方八方から殴りつける!

シルバーキー:『イヤーッ!』祓う!『イヤーッ!』祓う!『イヤーッ!』祓う!

シルバーキー:『オイオイオイ!』

シルバーキー:『まさか、これ全部がそうか?なら祓いきれるもんじゃねえぞ!?』

Tac.T:暴風雨に混じって飛んでくる物体は、旧式のテレビ、歯磨き用のチューブ、片足だけの赤い靴、ダルマ式自転車、そして……間四角に切り取られた記憶の断片。

NM:カタオキはジツで自身を保護した上で周囲を見渡す。

Tac.T:…古ぼけたゲームセンターの光景。

Tac.T:…星々に浮かぶ宇宙船の光景。

Tac.T:…虹の橋を伝って街中をグラインドする少年の風景。

Tac.T:…それさながらにスリ取ったパンを持って街中を逃げ回る、青い髪の少年の姿。

シルバーキー:『......』

Tac.T:居酒屋の屋根裏に、コンビニエンスストアの屋根裏に、工事現場の片隅。

Tac.T:方々を転々としながら逞しく生きている少年少女たちの姿。

Tac.T:…酔っ払いの居酒屋店主に暴行され、体にできたアザを見下ろす視界(胸にはわずかに膨らみがある)。

シルバーキー:『アッ』

シルバーキー:『いや、今はまずこの状況をなんとかしねえと......!』

ナイトランナー:ようやくできた安住の地は、古ぼけたゲームセンターの屋根裏。

Tac.T:…しばらくは夢の中のような、ファンタジックな風景が続く。夜の街。青い空。草原。古ぼけて歴史のある街。駆け回る主人公。

Tac.T:………それらは全て、筐体の中に。ゲームセンターは、すなわち彼女の世界全て。

Tac.T:唐突に飛んでくる断片の映像が鮮明になる。…クロスカタナ紋。4人のニンジャ。

Tac.T:押し入ったそいつらは、逃げ惑う兄弟たちをあっという間に捕まえ、ぶちのめした。 箱の中に隠れていたその少年もあえなく見つかり、同じように髪を掴まれ、散々嬲られ………記憶がブラックアウトする。

Tac.T:………

シルバーキー:『こりゃひでぇ』

Tac.T:…激しいノイズと共に、視界が復旧する。目の前の連中は、どうもまだ生きている事が不思議そうであった

Tac.T:その日のうちに少年はピラーに送られ、服を全て剥がれ、左肩の後ろに消えぬ刻印を刻まれることと合い成った。

Tac.T:皮肉と共に、ソニックブームから名付けられたのは「ナイトランナー」。カゴの中の小鳥に似合いのネームとは彼の言。

Tac.T:暴行のシーンは未だカタオキの周囲をしつこく付き纏うように回り続けている!

シルバーキー:「......イヤーッ!」カタオキは決断的にナイトランナーの記憶へと手をかざす!

Tac.T:記憶が、光景が、わずかに青いノイズを混じらせる!

Tac.T:…その青いノイズは、やけに奥行きがあるような…?

シルバーキー:『イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!』祓う!祓う!祓う!

Tac.T:青いノイズがさらに走り、広がり、広がり…………

Tac.T:………見渡す限り真っ青な夜空が、カタオキの眼前に広がった。

シルバーキー:『やったのか?いや......』

シルバーキー:『消えてはいねえな』彼はそれを直感する。

Tac.T:空にはドクロめいた月の代わりに、黄金立方体が回る。

Tac.T:…視線を落とすと、古ぼけたベニヤ床のゲームセンターのフロアが。

Tac.T:筐体には先程の記憶や、想像の中の世界……片隅に『修理中』と書かれたドス黒い筐体。

Tac.T:おそらくは、原因となった記憶がそこに封じ込められているのだろう。

Tac.T:その筐体に近づいてみます。

Tac.T:「見ィ!」 サルめいたメンポの顔が画面から覗く!

NM:カタオキはそれに対峙!

NM:怯まない!

Tac.T:……オフェンダーだ。ちょうど掴まれ、引き摺り出されている記憶らしい。

Tac.T:…隣には、さらに異彩を放つ赤黒の筐体。

シルバーキー:「これはニンジャスレイヤー=サンの記憶か」

シルバーキー:『しかしあの筐体はどうしたもんか』

シルバーキー:『壊してどうにかなるもんなのか......?』

NM:ゲーム筐体という形をとっている以上、あの筐体は彼女にとって大切な記憶なども内包している可能性がある。

NM:重要な記憶をも壊してしまう危険を冒す判断はシルバーキーにはできかねた。

シルバーキー:『そうだ』

シルバーキー:『イヤーッ!』シルバーキーは2つの筐体を近づける。

Tac.T:「ヌゥーッ!」………(((愚かなりフジキド!)))……「………ボクは、もう二度と…人間なんか殺すもんか…!!」 なんて光景がその赤黒の筐体からは流れている。紛れもなくフジキドが居る。

Tac.T: 「見ィ〜つけたァ〜!」「これからお前の服を剥ぐんだ、良いだろう?」「ニンジャ、殺すべし!」「見ィ〜」「ニンジャ、殺すべし!」「イヤーッ!」「ヒヒャア」「イヤーッ!」 …二つの画面がシンクロし始めた。

NM:さらに押してみます。

Tac.T:『『『ニンジャ、殺すべし!』』』

Tac.T: 二つの画面にデカデカと映るニンジャスレイヤーの顔が、カタオキを見た!

シルバーキー:『......これでどうだ!』

Tac.T:…一時的なものに過ぎないとはいえ、当分はトラウマにうなされることはないだろう。

NM:カタオキは大きく01の息を吐く。

Tac.T:彼女がニューロン・ジャミングを放つ際には常にフジキドの影がちらつくハメになりそうだ。カタオキはそう直感する。

シルバーキー:『今回できるのはこのくらいか。少しでも楽になりゃいいが......』

NM:そう言うとカタオキはユメミル・ジツを解き彼女のローカルコトダマ空間からログアウトする。

NM:01010101000111010010101010

シルバーキー:
「......終わったよ」

シルバーキー:「悪い。完全には取り除けなかった。だけど前よりはよくなったはずだ」

ナイトランナー:「………」青い瞳に涙を溜め、カタオキの方を見る。

ナイトランナー: 「…………ッ」流れ落ちる涙を、何度も何度も袖で拭う。

シルバーキー:「だ、大丈夫か!?満足できなかったなら、カネは返すよ......」心配そうに様子を見ています。

ナイトランナー:「…いや、良いんだ……良いんだ…」涙は止まず、止めどなく流れ落ちる。

ナイトランナー:「………ありがとう…みんなの記憶を思い出させてくれて」

シルバーキー:「あ、ああ」

Tac.T:ニューロンに染み付いた恐怖の記憶は、どうやら彼女自身の幸せだった記憶すら塗りつぶしてしまったようだ。カタオキはそれを取り払い、意図せずか否か全ての記憶を鮮明にしたらしい。 

ナイトランナー:「全部…全部思い出せるや…!ありがとう……ありがとう……!」

シルバーキー:「俺のジツが役に立ったなら何よりだ」

Tac.T:涙目を溜めながら、カタオキを見て、そして笑いかける。

Tac.T:『………ニンジャ、殺すべし!』

ナイトランナー:「ヒッ!?」わずかにフジキドの記憶がフラッシュバック!

シルバーキー:「あー、それは副作用っつうか......」察する。

シルバーキー:「ごめんな」

シルバーキー:「仕方なかったんだ」

ナイトランナー:「…やけにハッキリ思い出されるね……うわ、メンポがコワイ」

NM:「ニンジャスレイヤー=サンの記憶で問題の記憶を抑えてるみたいなもんだからな......こればっかりは......」

ナイトランナー:「…はるかにマシだよ。あいつらを思い出すよりは」

シルバーキー:「ならよかった」

シルバーキー: 「じゃあ今回の施術はこれで終了だ」

シルバーキー:「これで帰ってもらっても、引き続きゆっくりしていってもらってもいい」

ナイトランナー:「そろそろ帰るよ。長い間居座って…ソウカイヤに怪しまれるのもよくないし」

シルバーキー:「分かった」

シルバーキー:「カラダニキヲツケテネ!」

Tac.T:ナイトランナーは軽く別れを告げると、真上へ飛んだ。

Tac.T:カタオキが見上げても、そこには影も姿も見えなかった。

Tac.T:重金属酸性雨は既に晴れ、頭上のドクロめいた月は、ただ「インガオホー」と呟くばかり。

NM:ではこれで〆かな。

Tac.T:ですな!

NM:オツカレサマドスエ!

Tac.T:オツカレサマドスエ…!お付き合いいただき、アリガトゴザイマシタ!

NM:こちらこそありがとうございました!

◆終劇◆

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