見出し画像

逃げて勝ったダービー馬3選

① アイネスフウジン
「まるで前輪がパンクしている自転車に乗っているような感覚」これは鞍上の中野が感じたアイネスフウジンにまたがった時の感覚である。トモの発達がすごく、素晴らしい素質を秘めた素晴らしい馬であったのだ。そんなアイネスフウジンは朝日杯3歳Sをマルゼンスキーのタイレコードで勝利するなど、素質を充分に知らしめることとなる。共同通信杯を勝ち、弥生賞では負けてしまうもの、堂々の一番人気で出た皐月賞ではまさかのアクシデントに見舞われることとなる。
なんとスタート直後で出た時に隣の馬とぶつかってしまったのだ。これによって不利を受けたのか・・・。直線でハクタイセイに交わされて惜しくも2着になってしまう。

斜行


皐月賞は生涯一番のデキだっただけに痛まれる敗戦であった。だが不退転の覚悟で迎えたダービーでは圧巻の逃げを披露する。
作戦としては、最大のライバルとして意識していたメジロライアンとの瞬発力勝負にどれだけリードを広げるかということを意識して臨んだダービーであった。実際のダービーでは中盤で大きく差をつける理想的な展開となった。そして追いかけてきたハクタイセイらの追撃を振り切ると・・・
そこにあったのはダービーの栄光であった。そして響き渡る「ナカノコール」。これは鞍上が制覇するときには恒例となったコールが初めて誕生した瞬間でもあった。
ちなみに鞍上の中野はアイネスフウジンの前年リーディング3桁ぐらいのジョッキーである。そんな騎手がアイネスフウジンでダービーを勝ってしまうのだから驚きである。

② ミホノブルボン
距離という壁を堂々と乗り越えた馬である。父マグニチュードはマイル寄りの馬。今で言うとミッキーアイルのような短距離の種牡馬だ。しかしその評価とは裏腹にダービーでも余裕の走りを見せることになる。坂路調教に関しては前回の「東西問題」で触れられているのでチェックして欲しいが、ともかくミホノブルボンは坂路調教で鍛えられた馬だ。ミホノブルボンの素晴らしいところはトモもそうだが、タフさにもあるだろう。そんなブルボンを管理した戸山厩舎は昔ながらの「スパルタ厩舎」で練習量も二倍だったらしい。ミホノブルボンはそんな練習をさらっとこなしたらしい。さらにはミホノブルボン自体も冷静沈着だった。多くの馬はレースの前の調教は厳しくカリカリする面があるのだが、ミホノブルボンはそうではなかったらしい。調教師いわく「競馬」の方が楽だと知っていた模様。そんなクレバーさを見せるミホノブルボンはダービーで圧巻の逃げを披露する。
三冠も期待視されたミホノブルボンは、その後菊花賞に挑戦するも惜しくも関東の刺客ライスシャワーに負けて2着。その後はジャパンカップの前に屈腱炎で無念の引退になった。だがミホノブルボンが残した坂路調教での強さは、今の栗東の馬の強さに引き継がれている・・・


③ サニーブライアン
崖っぷちの男と、サニーブライアンのストーリーはかなり素晴らしいものがある。当時の大西は実力こそあったもののなかなか乗り按が貰えない崖っぷちジョッキー。そんな大西がダービー初騎乗ではメリーナイスの次にサニースワローという馬で、2着に届いている。これがきっかけでサニースワローの全妹であるスイフトスワローから生まれた子どものサニーブライアンに大西が乗ってダービーを勝つことはもはや運命向いたものだったのかもしれない。
サニーブライアンは皐月賞では外枠から鮮やかに逃げ切り勝ち。しかしこれをフロックと見る向きも多く、ダービーでは人気がなかったのだ。ダービーではサイレンススズカもいたが、大西はそれでも逃げ宣言をした。ダービーの枠順は大外。普通は不利な枠であるがスタートがあまりよくない逃げ馬であるサニーブライアンにとっては、絶好の枠であった。大外からいきなり逃げに持って行くとサイレンススズカや他の馬は競り合わずに、スローペースを演出。その後はサニーブライアンの独壇場だった。そして直線では上がり35.1秒の末脚を見せて、後の有馬記念馬シルクジャスティス、天皇賞春を制覇したメジロブライト、後の宝塚記念馬サイレンススズカらを完封。「フロックではない証明」をした。
そしてダービー後のインタビューもいぶし銀の大西が率直に語るのは必見。三冠は怪我でなれなかったものの、次の菊花賞の走りを聞かれた際、こう即答している。
「逃げます。」

動画版もぜひ!よかったら高評価チャンネル登録よろしくお願いします!

https://youtu.be/QNPhtWH3AHo


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?