独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣 #塚本本棚
死の谷がそこそこ深い店舗型等のビジネスモデルにこそ、融資が効いてくる。本書はそんな方々が、起業前の準備期にこそ読んでほしい本。
それ以外のビジネスモデルでも、特に創業前で知見が無ければないほど、著者の扱ってきた実体験ベースの融資物語は自らの起業の未来の備えになるはず。
今日は「独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣( https://amzn.to/32mAyMm )」田原広一 (著) #塚本本棚
【紹介文】
6割の会社が起業から1年で廃業!どこからも融資を得られなければ、立ち上げたばかりの事業が頓挫する恐れあり。事業拡大をめざす社長が絶対に知っておくべき借り入れのノウハウ。自身も起業3年で8200万円の借り入れに成功した資金調達アドバイザーが指南。
【書評】
例えばすでに実績がある人が会社組織などから独立し、設備投資などがさほど必要ない知的労働であるコンサル等で起業する場合は、ほとんど”死の谷”(ググってみてくださいね)がないので自己資金だけでもOK(ブロガーとかYoutuberとかもね)ですし、創業融資を取るにしても、「取りやすいから、まぁあっても良いよね」くらいの気持ちでもよいかもしれません。
さらに類似モデルとしては、長年の技術や人脈を持つシニアの起業も上記に分類されると思います。彼らの起業は時間を味方につけれない分、自己資金型が多いように思います。返済期間長くとれないから。
一方で、著者の田原さんのビジネスもそうですが、ある程度商品力がある事がわかっているけど、認知に数か月から半年はかかる(でも認知されたら一定の勝率はある)というビジネスモデル(しっかり準備されてきている方に多いし、大部分はここのレイヤーだと思います)の場合は、融資が効果的です。
逆にスタートアップのような”一か八か、当たればでかいがあたるかどうかはわからない。”というモデルの場合は、VCなどからのエクイティファイナンスしかない。
つまり、ミドルリスクミドルリターン(そこそこの死の谷の深さ)のビジネスの場合、与信がある創業時に融資を受け、お金で時間を買い。次の融資を得られる信用を得るまでの道のりを勝ち取るのはセオリー且つ、大変有効かと思います。自分のビジネスが上記の3つのどのモデルか、まずは考えるところから始めましょう(その壁打ちは、僕の出番でもあります)。
ちなみに僕の所へ来る人は、”スキルもないし、何から始めていいかわからないけど起業したい”とか、”〇〇と〇〇のマッチングって素敵だと思うんですよね(でもやったことはないし、やりかたもわからない)”とか、”〇〇というすごい人が発注してくれる、組んでくれるというから起業したい”とか、”〇〇という人のコミュニティに入るために〇〇円の入会金がいる、そこに入れば成功できるのでまず起業して融資を得たい”とかってレベルの人たちもいます。
でもその人たちへはまず、融資の前に僕と一緒に適法性を含めたビジネスモデルの検証と試行をしましょうね(田原さん所でも問い合わせの通過率は2割だそう)。
【本を読んで考えた・メモ】
・著者は”現預金を借り入れたことによって、心に余裕ができた”とあるが、この感覚が人によって分かれる。”借り入れをした=自分の力で得たものじゃない分不相応のお金を手に入れてしまった”とか”もう後に引き返せない事をしてしまった”と思う人もいる。もちろん後者は”とりあえず借りてよい”タイプの人間ではない
・店舗型ビジネスのように設備投資が初期にかさむタイプのビジネスモデルであれば、設備投資費が出て行った後の広告費を含めた様々な施策を打つための原資として、なるべく創業融資は取っておくべき
・総じて自社サービスを通じて知り得た起業家達の融資に対する実体験がケーススタディとして散りばめられており、読んでおくと自らの未来の備えになると思う
・融資の際の評価項目とか、資本金の見せ金の無意味さという基礎的な所もきちんと書いてある
・著者がTACの講師だったこともあり、説明が平易で比喩表現等があり、うまいと感じる
・おおむね起業前の準備期から、起業直後くらいの人たち向けに平易に書かれている印象