近頃の若い者

マジシャンはお客様商売でもあるので
立ち居振る舞いには気を配ります

そして、こういった際
よく言葉遣いや作法の話になるのです

「近頃の若いものは」
というわけでもありませんが
「教育が」「しつけが」
という話題も少なくありません

しかしこれは果たして
本当に
「家庭のしつけや教育の問題」
なのでしょうか?

例えば
子供の頃から毎週外食に連れて行ってもらえていた家庭の子供は
おそらく成人する頃には
「サービス業の人がどういう立ち居振る舞いをするか」
を実際に何度も見て経験していることでしょう
この経験から
自分がどうするべきかも自然に学んでいると思うのです

つまり実体験が多いから立ち居振る舞いを学べたということです


そうなると「立ち居振る舞い」は果たして教育の問題でしょうか?
これはもしかしたら経済の問題ではないでしょうか?


もう1つ
若い人の日常行動を考えます

生活に必要なものは
スーパーなどで買い物をし
電車などで移動し
学校、バイト、会社という
決まったコミュニティーで過ごし
休みは自宅でスマホを眺めながら楽しみます
たまの買い物もネット通販です

この生活
他人と交流していますか?
ほとんど
他人と会話していませんよね?

先日私は回転寿司に行きましたが
受付は機械で席を指示され
注文はデンモクで
会計はセルフレジですよ?

松屋なども注文は券売機
提供はセルフで取りに行き(ここで若干店員に会います)
最後は返却口に返して退店です

こうなると人はどこでサービスマンとしての
立ち居振る舞いを学ぶのでしょう?

これは本当に教育の問題でしょうか?
これはもしかしたら社会の問題ではないでしょうか?


マジシャンはサービスマンです
「いらっしゃませ」①
「こちらにおかけください」②
「かしこまりました」②
「お手数おかけします」③
「どうぞお楽しみください」③
「ごゆっくりおくつろぎください」③
「お待たせしました」②
「ありがとうございました」①
「またのお越しをお待ちしております」③
これらの言葉はマジックバーなどでしたら
必ず全てのお客様に言う言葉です

しかし実際はどうでしょう
①は言える人が多いでしょう
②も丁寧は人は言えます
③になるとかなり少なくなります

しかも①から③に行くに従ってお客様に話しかける頻度が増えています
①は2つ、②は3つ、③は4つあるのです


これはサービスの法則によるものです

丁寧な接客になるにつれて
接客頻度の度合いが高くなります

接客業においてサービスの向上は
コミュニケーションの向上になります

そしてコミュニケーションは人件費を要します
回転寿司屋や松屋がセリフ化に移行しているのは
人件費の節約のためです

一般の人は接客にお金を払うより
セルフでも良いから低価格を望みます

この結果
低価格帯、生活必需帯では
セルフ化が進行します

それが結局
「人の振る舞いを見ない世界」
を招いているのではないでしょうか?


もう一度いいます
これは別に
「近頃の若いものは」
「親のしつけが」
というものでは無いと思います

社会の形が接客態度・言語を
【自然に学べるような環境】
では無くなってきている
ということではないかと思うのです

【こやすつづり】

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