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【試合レポート】12/23 名寄コンバインドチャンピオン大会

いよいよコンバインドも開幕。
熱い2日間の戦いが始まる。

この試合の立ち位置

全日本A級カテゴリーではないこの試合。
そして翌日に最重要な全日本コンバインドを控える。
微妙な立ち位置の試合ではあるが、数少ない“コンバインドの国内戦のひとつ”として臨む。もちろん妥協は全くない。

前半ジャンプ

この日は試技→全日本NCの予備ラウンド→名寄コンバインドチャンピオンの試合ラウンドの3本。
前日から良いジャンプと良いイメージがあったので思いきって試技をスキップ。
ここまで試合が続き、頭を少し休めたかったのと試合に向けて飛びたい気持ちを沸き立たせる為。

フレッシュな状態で試合に臨めた。

試合ラウンドは97m
久々に大きくK点を超えてヒルサイズに迫るジャンプ。
飛び出した瞬間から高く、空中で浮力を得ようと手まで意識できるほど余裕があり気持ち良かった。

だが着地のテレマークは散々。
一番距離を飛んでるにも関わらず+14秒差の2番手。
20~25秒ほど着地で減点されている。
秒に換算すると勿体無さが際立つ。

それでも優勝を狙うには充分すぎる位置。

「逃げ切れるな。あわよくば、タイム差を存分に使い翌日に余力を残してー..」

そんな邪な気持ちに“足元をすくわれる”とはこの時考えすらなかった。

後半クロスカントリースキー

2.5kmコースを4周の10km
0.5kmほどの長めの登り、それに伴う下りが一ヶ所あり、それ以外はフラットなコース。

後続は走力のある選手たちが約40秒後に3~4人固まっている。
一方こちらは前も後ろも走力に力のない選手たちばかり。(※ジャンプとクロスカントリースキーのレベルを両立させるのがいかに難しいか見てとれる)
単独での逃げになるだろう。

集団の効果が比較大きくなるこのコース
40秒であれば追い付いてこられるタイム差である。


選択肢

①:前半から飛ばして差を広げ、早々に追い付く気を失わせる
②:約40秒ある差を存分に使い逃げ切る
③:24秒後ろの畔上選手(中大)に早めに追い付かせ、2人で逃げる。
④:後続に追い付くまでゆっくり走りラスト勝負で勝つ

考えられたのはこの4つ。
リスクは①→④の順で低→高となる
しかし、翌日により重要な全日本コンバインドが控える。
そこに向けなるべく余力を残したい。

となると、選択肢はひとつに絞られる--。

スタート

スタート直後はスキーの仕上がりや今日の身体のコンディションを気にする。
周りに比較対象がいれば、の話。
トップスタートの選手は早々に追い抜きひとり旅になる。

自分は今日調子がいいのか?
選んだスキーは正解か?
塗ってもらったワックスは滑ってるか?

ここまで良いトレーニングをしてピーキングしてきた。
当日まで幾度となくスキーテストを重ねてきた。
ワックスマンには絶大な信頼をおいている。

不安をひとつずつ払拭しながら走る。
開幕戦というのも相まっていつも以上に慎重になった。

コースの所々で後続を確認できる。
差は徐々に詰まってきている。
1周目に15秒ほど詰められたが2周目はほぼ変わらず。このペースなら大丈夫だろう。

約半分
そう思ってた矢先、脚が攣り始める…。それも両脚。
トレイルランのレースでもここ最近は攣ることはほとんどなく、ましてやクロカンの10km15kmでは無いに等しい。

後々振り返ってみると、約2kgの体重減少は単に水分不足で、それに伴った症状だったのかもしれない。

そこから悪化していかないよう騙し騙し走る。しかし、不安に苛まれた自分自身は騙せなかった。
心ここにあらず。後続とのタイム差ばかりが気になる。
「早くゴールしたい」
この時点で負けが決まっていたのかもしれない。

そんな最悪な状況でも、最終ラップの坂を登りきり後ろとは約15秒ほどの差。
下り始めたところで“勝ったと思った”

その瞬間転んでいた。
焦りに焦った。すぐ立ち上がり進む。
しかし、1番スピードが出てる所で転び 0km/h からのリスタートだ。10秒20秒なんて差はあっという間に逆転される。

ゴールまであと0.5km
なす術なくただゴールへ向かう。全力で。

追い上げてきたチームメイトに交わされ、一緒に上がってきた畔上選手とフォトフィニッシュのゴール。
かろうじて2位。

ひどいラストだった。後味悪すぎ。
「余力を残して…」なんて邪な気持ちに足元をすくわれた。

どうにも処理できない気持ちを引きずっていた。
そんな時にコーチで来ていた幼なじみが、

「おれは祐らしいなと思ったよ笑」

そんな言葉をかけてくれた。
何故かその言葉に大きく救われて楽になった。

「明日は全力で、その瞬間を生きよう」

そう心に誓った。

つづく



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小山 祐
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