【レースレポート】全日本サマーコンバインド @士別市朝日
昨年は中止になってしまったこの試合。
2年振りの出場でした。
中学生の時からこの時期はほぼ毎年ここへ来てるので、夏休みがスタートするワクワク感をここで感じます笑
マススタート + MH (HS=68m)
国内では夏と冬、この会場で唯一のマススタート形式の試合が行われます。
前半にローラースキーまたはクロスカントリースキーを一斉スタートし、タイム差をポイント換算し、後半のジャンプ競技のポイントを加算して順位をつける形式です。
通常とは“飛ぶ“と”走る”の順番が逆ですね。
前半ローラースキー
スタートから0.4kmほどのDP区間(DP=ダブルポール ※接触を回避するため)と3kmコースを3周する約9.5kmの前半。
コースはほぼフラット。そして一斉スタートのため普段のレースよりも位置取りや戦術戦略が重要。さながらサイクルロードレースのそれの様な。
【作戦】
A:ダントツ単独トップで前半ゴールする
B:タイム差なく先頭グループでゴールする
もちろんA>Bだが、
・ジャンプの得意な選手をふるい落とす。
・前半ローラーでポイントを稼ぎたい選手と協調して後続を引き離す
これが出来て後半に有利な状況を作り出せればトップでゴールする必要はない。
あくまでも総合で勝つために。
トップゴールはカッコイイしそこを目指したいんですけどね。
【スタート直後】
DP区間から早速 湊選手が抜け出す。
皆ほぼMARWEの同じローラースキー機種なので滑りの差はあまりないが、湊選手は別のメーカー。かなり滑りは良さそう。もちろん実力があってこそ活きるのだが。
単独の逃げと、6人ほどの第2グループが形成される。1vs6なので、ローテーションしていけばキャッチ出来るだろう。その頃には単独で逃げた選手は消耗しているだろう。
そう読みそのグループで一旦落ち着く。
【回らないローテーション】
第2グループ内で意志疎通が図れてないのか思惑が一致しないのか、幅が狭いコースも影響し上手くローテーションが回らない。先頭に出た選手はペースが落ちても交代しようとしないし、2番目の選手もなかなか前に出ようとしない。
集団内で若干牽制してる様にも感じ取れる。
【仕掛けどころ】
トップとの差はずっと10秒ほどで、開きはしないが詰まりもせず。
2周目に入り、このままいけば逃げきられてしまうところで自分が前に出て追う。
ここで意識したのが、出るタイミングとスピード。全員タダでは引き連れていきたくなかったので、先頭の選手が若干疲れたところで出る。そして、一気にトップスピードに上げる。それもコースが狭くなる所で。
何人かふるい落とせれば良いなと思ってたところ、全てが絶妙に良いタイミングで仕掛けられたので単独で集団から飛び出すことに成功する。
ここで安心できないのが、トップに追いつかなければ全てが無駄足になる。ただ消耗して終わるだけ。
なので全力で追う。一番苦しかった場面だ。
HRの推移にもしっかり表れていました。↓
※赤いゾーンは90%HRmax
2周目が終わる頃にようやくトップに追いつく。
【ラストの勝負】
トップに追い付いてから、休む間もなくゴールに向けた次の駆け引きが始まる。
お互いこの試合での優勝を狙っているが、前半ローラースキーの最速ラップも獲りたい欲張り同士である。
更には、もっと後続を突き放して3番手以降に決定的な差を付けたいという思惑も一致していた。
過去これまで何度も勝ったり負けたり優勝争いをしてきた相手。言葉は交わさずとも空気で分かる。だから、お互い引っ張り合いながらペースを緩めない。ラスト勝負が控えてるにもかかわらず。
この日一番キレイで無駄のないローテーションだった。
ラスト勝負の直前はパワーを温存したいから先頭に出たくないが、そんな事はお構いなしに前で走る。追い付いた勢いと自信のままに。
しかし勝負はそう甘くなかった。
相手が先に動いた。来ると分かっていた場所で。
反応は出来た。しかしトップスピードになるまでに圧倒的に差があった。
そのまま6秒ほど差をつけられてゴール。
ポイント換算して約1.5ポイント。
距離にすると0.5mほど。十分逆転可能な距離だ。3位以降には10秒ほどのアドバンテージ。
大きな差にはならなかったが、後続の選手が意識してしまう差は付けられた。
後半に臨む
後半ジャンプ
今回のジャンプ台はミディアムヒル。
K点60m ヒルサイズ68mと普段の台より一回り小さい。小さい台であるからこそ差が付きにくいが、ちょっとしたミスが響く。
特に着地のテレマーク姿勢など。
そして小さい台の割に風の影響が大きいと感じるジャンプ台だ(※ウィンドファクターなし)。それにとらわれすぎると動作がぎこちなくなるので意識しすぎない。
自分がコントロールできないものに心奪われる事なく、自分がコントロールできる自分自身に意識を向ける。
それを念頭におき、試技を経て1本勝負に臨む。
※ウィンドファクター=風向風速でポイントを加減点するシステム。風による有利不利を多少緩和する
前半の順位の逆で飛ぶ。自分は最後から2番目だ。前の選手の飛距離も気になるが、あまり気にしないようにする。これがなかなか難しい。いつもより必要に計算してしまう。
「前半何点差だから何m以上飛べば大丈夫かな」とか。
呼吸が浅くなっていく。いかんいかん。
ジャンプ台の上から飛び出し口と街を俯瞰する。いつものリズムを取り戻す。
いざ出番。
力まず、流れるように。
K点60mを少し越えて着地。
もう少し伸ばしたい気持ちが着地の動作を遅らせる。それが原因でしっかりテレマーク姿勢が決まらなかった。
飛距離の差が付きにくいだけに、着地のミスは大きい。恐らく最大4.5点は引かれる2m分は大きい。
前半トップの選手は無難に、というか上手く飛び恐らく優勝。自分は「良くて3位かな~」なんて考え着替えてリザルトを見たら、トップの選手が失格。
そして飛型点がそれほど悪くなくなんとか優勝という結果でした。
まとめ
後味の悪い終わり方でなんだかスッキリしませんが、夏の良いスタートをきれました。
やはり試合になると課題があぶり出されるし、逆に成長も感じられます。
早くもトレーニングで色々試したい。
そうモチベーションを上げてもらえた試合でした。
やはり私は戦闘民族。競い合うのが大好きみたいです笑
次の試合は8月末。
真夏のトレーニングが始まります。
去年はここで大きく調子を落としてしまったので、例年以上に気を付けて過ごします。