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AIがまくん、かえるくん実践【小学校2年生「お手紙」による】

AIがまくんと、かえるくんが、子どもたちにお手紙を返してくれるという実践をしました。本教材のゴールは登場人物たちにお手紙を書くこと。すると大盛り上がりでたくさんお手紙を書いてくれたお話をします。

「お手紙」の授業の説明

小学校2年生の教科書に昔からある「お手紙」という教材をご存じでしょうか?アーノルド・ローベルによる「ふたりはともだち」シリーズの絵本で、がまがえるくん(以下がまくん)とかえるくんが、なんやかんや楽しいことをしている物語です。そのうちの一つが本教材の「お手紙」になります。

この単元での子どもの活動として、登場人物のがまくん、かえるくんに対して、お手紙を書きます。そのお手紙の中で、自分と登場人物を比べて、きちんと物語を理解しているのかを評価します。

しかし「書いたってどうやってがまくんに手紙出すの~?」「書いても届かないじゃん」などモチベーションの上がらない子、また日ごろからなかなか筆の進まない子など色々いたので、どうやったら自然と書きたくなるかを考え、「AIがまくん、かえるくん」を生み出すことにしました。

生成AI活用方法

やり方は簡単。まずがまくん、かえるくんのペルソナを設定します。この時、がまくんとかえるくんは、別々に作ることをお勧めします。そしてお手紙を書くから、それに対して返事をして、という指示をするだけです。

子どもの一人目がお手紙を出すときには、クラスの大半が半信半疑の様子でした。しかし実際にお手紙が帰ってきて、最初の一人が大喜びしたところで一気に流れが変わりました。次々とAIがまくんとかえるくんにお手紙を出すため、長蛇の列ができ始めたのです。授業にて子供たちは今、何のために勉強しているのか、自分のやったことに対しての効果を実感するということは、非常に重要なんだと感じました。

子どもたちの活動としての盛り上がりはここまでですが、先生が効果を発揮するのはここからです。入力した手紙に評価基準を付け足して、お手紙そのものを評価分析させます。これでぐっと評価が素早くなります。

おまけ、生成AI活用倫理

おまけの話になりますが、生成AIは小学生本人で利用することが出来ません。保護者や大人の元での利用が必要になってきます。私はこれはとても言い規約だと思っています。それはこんな後日談があるからです。

実は作者にもお手紙を出してみよう、という名目でたくさんのアーノルド・ローベルの作品を読ませました。実際に作者にもお手紙を書かせました。すると案の定「AIアーノルド・ローベルさんを作って!返事もらいたい!」と言う意見が出てきました。こここそが、生成AI活用倫理を学ぶ重要なポイントです。

「それはさすがに出来ないよ」と即断りました。「あなたたちさ、勝手に自分のAIが作られて、勝手なこと言われたとしたらどう思う?」と聞かれて、もちろん子どもたちは「嫌だ」と答えます。そこで望ましい生成AIの活用法だったり、仕組みだったり、大人と一緒に使う意義を伝える絶好の場面となりました。

ただAIがまくん、かえるくんに手紙を書いてもらうだけでなく、その先に何を見据えるか、そこをよく考えて、教育の本質を見失わないように気をつけていきたいです。

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