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NHKの下請け受難?~エヌリンクスの悲劇

上の画像は某公共放送からの「不幸の手紙」です。

1か月前に送られてきたばかりなのに、また来たよ……うちにはテレビもカーナビもないというのに。

あて名不明でも住所のみで配達してもらえる、「特別あて所配達郵便」という制度があります。総務相の肝いりで始まり、当初からNHKのDM発送に使うことが想定されてました。NHKのために作られたようなものです。

大量にDMを発送する迷惑業者(某公共放送)のためにあるようなサービス。日本郵便もいくら業績悪いからって、迷惑業者の片棒担いじゃっていいの?「あて名不明の住所に郵便届けてほしいニーズ」になんか、こたえなくていいのにね。日本郵便のサイトより。傍線筆者

日本郵便はNHKという大口顧客を得て、郵便事業の業績不振を少しはカバーできるし、NHKはDMを無差別に送り付けることができるしで、Win-winなんですよ。

困るのは私みたいな罪のない一市民です。NHKと日本郵便がグルになって、あて名がない郵便物を送り付けるなんてね。


スパムかよ!って思います

はっきりいって迷惑よね


戸別訪問を減らす代わりに、こういうDMを増やしてるんでしょうかね。近ごろやけに頻繁に届くような気がします。外部委託の訪問員は2023年9月で全廃したようだけど、営業経費300億円はどのくらい節約できたのかしら……。


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ところで、「エヌリンクス」という会社があるのをご存じでしょうか?
社名のエヌはNHKの「N」を表してて、要はNHKの受信契約・受信料収納を代行する会社なんです。

2018年に東証ジャスダック市場に上場。そのとき社長が東洋経済のインタビューに答えてるんだけど、記事のタイトルが今となっては正気を疑うようなものでした。

ずばり、

NHK受信料、訪問による契約業務はまだ伸びる


☟ですからね☟


当初は売り上げの8割をNHKからのお仕事で占めてたというから、この会社ほとんどNHKの営業代行だけで上場してるんです。前述のインタビューでも、NHKの代行業は手堅いという話をしています。

また、2017年12月の最高裁判決(「放送法の受信料規定は合憲」)の影響については、お客さんが「以前より聞く耳を持ってくださっている」と答えてます。

確かにこの判決の内容を見ると、代行業者には有利なんですよね。

受信料について定めた放送法64条1項が「契約の自由」や「知る権利」を侵害していると主張して、受信料を払わない人がいます。この人たちに対してNHKが裁判を起こしたんだけど、最高裁は放送法のこの規定を合憲と判断したのです。


この判決によって、NHKは最高裁にお墨付きをもらったようなもの。大手を振って受信料を徴収することができます。300億円かけてエヌリンクスみたいな業者を使い、ばんばん訪問させて契約とってきてもらえばいいわけです。

この裁判では、契約がどの時点で成立するということも争点の一つでした。あろうことかNHKは、「契約申込書を送った時点で」受信契約が成立すると主張したのです。それは契約ではなく、押し売りなのでは?

もちろん最高裁はこれを退け、「任意に受信契約を締結しない者との間においても、受信契約の成立には双方の意思表示の合致が必要というべきである」との判決を出しました。ごもっとも。

世間の人が抱いている契約のイメージはたぶんこんな感じ。


実際はこんな感じ。Foot in the Doorしてるとこ。


よって、不払いの人たちに受信料を払わせようとする場合は、いちいち訴訟を起こさなければならない。
裁判しないまでも、「申込書送ったら自動的に契約成立」などという、詐欺まがいの押し売りインチキ商法は通用しないのだから、やはり地道に一軒一軒まわって説得するしかないのです。そこにエヌリンクスのような営業代行業者が入り込む余地があったわけです。

ところがここにきて風向きが変わってきた。新型コロナウイルスの影響もありますが、訪問員のガラが悪すぎてクレーム続出だったり、NHKが経費削減に着手したりで、業者委託の訪問員が廃止されることに。

エヌリンクス危うし!

が~ん!

実は上場時にこの銘柄を一瞬だけ売買したことがあって、「ホントにNHKの営業代行だけでやっていけるの?」と疑問だったんですよね(だからすぐに売ったんだけど)。

NHKが業者委託をやめると聞いたとき、「そういえばエヌリンクスどうなったかな~」とふと思い出したんです。あれだけNHKに依存してたら今ごろ潰れてるんじゃないか、って。

そしたらいちおう上場維持してたし、倒産もしてませんでした。ただし、「継続前提に重要事象」がついてましたね。業績不振で赤字続きだったりして倒産リスクが高まると、そういうフラグが立つんです。

太客のNHKがいなくなったのは痛い。以前からいろんな事業に手を出してるけど、あんまり儲かってなさそう。典型的な一社依存の代理店ビジネス。東洋経済「会社四季報」より。傍線筆者


エヌリンクスはすでに上場基準を満たさない状態になっています。このままいくと上場廃止になってしまうため、上場維持に向けた計画書を東証に提出しました。

NHK関連業務以外の分野を強化すると書いてあるけど、はたしてNHK依存から脱却できるでしょうか?

上場廃止=倒産ではないから、非上場でほそぼそとやればいいのかもね。
経営陣はIPOでじゅうぶん儲けただろうし。上場ゴールだぬ。


株価も悲惨な状態になってます( ノД`)シクシク…


以下は10年チャートです。

上場以来の右肩下がり。昨今の株高もどこ吹く風。日経新聞ウェブサイトより。


2024年3月に株式会社コレックに商号変更の予定だそうです。もうNHKとは縁が切れてますからね。

NHKの代行業を請け負ってた会社はどこもキツイんじゃないか、と思います。もしかしたら戸別訪問以外の、DM発送とかコールセンター業務なんかをNHKから委託されてるのかもしれないけど、それにしたって戸別訪問に比べたら業託費だいぶ安いでしょうね。

※ちなみに業者委託の訪問員は全廃だけど、個人で委託契約してる訪問員は残すらしいです。



【追記】NHKは2022年に郵便法違反で行政指導を受けてます。

受信契約を促す文書に返送期日が記されていたために「信書」とみなされ、 郵便法第4条 「信書の送達の委託」 に抵触したという話。信書の発送を外注してはダメですよ、と総務省からお叱りを受けてしまいました。

これを受けてNHKは、返送期日ありの文書はもう発送してないよ、今度から「特別あて所配達郵便」 使うよ、って答えてます。

お願いだからDM送ってこないで~!
うちにはテレビもカーナビもないですから!!

おわり

■おまけ■

NHKの取材を受けたらまるっと捏造されて、全国放送されちゃった話。100%実話です。私が身をもって体験したことを赤裸々に書いてます。これを読んだら即日NHK解約したくなるはず。まだ読んでない人はぜひ読んでね!

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