イバールの挑戦:BCとブラジル産馬


 11月6日と7日、アメリカ競馬の祭典ブリーダーズカップが行なわれます。南米産馬も毎年のようにブリーダーズカップに出走しており、今年もブラジル産馬で元アルゼンチン調教馬のイバール(Ivar)がBCマイルに出走します。そこで、今回はブリーダーズカップとブラジル産馬の関係について紹介します。

 これまで南米産馬はブリーダーズカップを6勝しています。列挙すると、バジャコア(1989年,90年、BCディスタフ)、パセアナ(1992年、BCディスタフ)、インバソール(2006年、BCクラシック)、カリドスコーピオ(2012年、BCマラソン)、ブループライズ(2019年、BCディスタフ)となります。これら5頭はいずれもアルゼンチン産馬です。言い換えれば、アルゼンチン産以外の南米馬はブリーダーズカップを勝利していません。もしイバールがBCマイルを勝利すれば、ブラジル産馬として初めてのブリーダーズカップ制覇ということになります。

※インバソールはアルゼンチン産馬で元ウルグアイ調教馬

 過去、ブラジル産馬は8頭がブリーダーズカップに出走しました。1頭目がヒボレッタ(Riboletta)。GⅠ4連勝を含む6連勝で2000年のBCディスタフに挑み、圧倒的1番人気に支持されましたが、スペイン(Spain)の7着に敗れました。2頭目がルロワデザニモー(Leroidesanimaux)。この馬もGⅠ3連勝を含む8連勝という非の打ちどころのない成績で2005年のBCマイルに出走、断然の1番人気に推されましたが、勝ち馬アーティーシラー(Artie Schiller)にわずか及びませんでした。

 その後、2008年のBCターフに出走したアウトオブコントロール(Out Of Control)はコンデュイット(Conduit)の5着。2009年のBCクラシックに出走し、先日亡くなったばかりのアインシュタイン(Einstein)はゼニヤッタ(Zenyatta)の11着。2010年のBCマラソンに出走したアルコモ(Alcomo)はエルダーファー(Eldaafer)の5着。2011年、2012年、2013年と3年連続でBCフィリー&メアスプリントに出走したグレートホット(Great Hot)は、それぞれ11着、9着、7着。2013年のBCダートマイルに出走したブラジル産馬で元ウルグアイ調教馬のブルホデオジェーロス(Brujo De Olleros)はゴールデンセンツ(Goldencents)の3着。2018年のBCターフに出走したクアルテートヂコルダス(Quarteto De Cordas)はイネイブル(Enable)の10着と、ブラジル産馬は苦戦が続いています。

 イバールはブリーダーズカップに出走する9頭目(11回目)のブラジル産馬になります。「ブラジル産馬はブリーダーズカップを勝てない」という嫌なデータを打ち破り、そして、ユニやカメコ、シスキンといった強豪たちを負かし、ブラジル競馬界に歓喜をもたらすことができるでしょうか。また、イバールを管理するブラジル出身のパウロ・ロボ調教師は、2002年のBCディスタフでアゼリの2着だったファルダアミーガ(Farda Amiga)以来18年ぶりのブリーダーズカップ挑戦となります。

【参考】
"Turf Diario"
https://www.turfdiario.com/arrancando-desde-el-11-ivar-es-favorito-en-el-breeders-cup-mile-de-keeneland/
最終閲覧日:2020年11月5日

"Turf Diario"
https://www.turfdiario.com/podra-ivar-ser-el-primer-brasileno-en-ganar-la-breeders-cup/
最終閲覧日:2020年11月5日

"El Turf"
https://elturf.com/noticias-ver?id_articulo=31940
最終閲覧日:2020年11月5日

―― 完

いいなと思ったら応援しよう!

木下 昂也(南米競馬の人)
記事が気に入った・ためになったと思われた方は、ぜひサポートをしてくださるとありがたいです。執筆の励みになります。