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【無料】ウォーオブダンス:92年ぶりというスペイン競馬の偉大な歴史に並んだ牝馬

写真:Hipódromo de La Zarzuela(@HipodromoMadrid)
https://x.com/HipodromoMadrid/status/1807424406949429539/photo/1


 2024年6月29日、スペインのサルスエラ競馬場で第88回リステッド競走マドリード(芝2500m - 3歳以上)が行なわれた。スペイン最大の競走であり、スペインで唯一のリステッド競走である。

 レースは、アルゼンチン人騎手のニコラス・バジェ騎手が騎乗した牝馬のウォーオブダンス(War Of Dance)が勝利した。鮮やかな逃げ切りで牡馬を蹴散らした。

 牝馬によるマドリードの優勝は、2014年のフリネー(Friné)以来10年ぶりだった。また、88回の歴史において、牝馬による優勝は以下の13回しかない。

  • 1931年 アトランティダ(Atlántida)

  • 1932年 アトランティダ(Atlántida)

  • 1945年 アンドロメダ(Andrómeda)

  • 1947年 バラティッシマ(Baratíssoma)

  • 1951年 トゥーランドット(Turandot II)

  • 1957年 サマレージャ(Samarella)

  • 1958年 テールドフランス(Terre De France)

  • 1968年 テバス(Tebas)

  • 1971年 トラヴァーティン(Travertine)

  • 1973年 タカーラ(Takala)

  • 2006年 バルドリア(Baldoria)

  • 2014年 フリネー(Friné)

  • 2024年 ウォーオブダンス(War Of Dance)

 マドリードは、スペイン競馬における上半期最大の競走である。では、下半期最大の競走は何かというと、カテゴリーA競走メモリアル・ドゥケ・デ・トレード(芝2400m - 3歳以上)である。このレースは、かつてはオトーニョというレース名だった。

 ウォーオブダンスは、2023年のメモリアル・ドゥケ・デ・トレードを優勝している。したがって、今回マドリードを優勝したことで、スペインの2大競走を制した。

 マドリードとメモリアル・ドゥケ・デ・トレードのどちらも優勝したことがある牝馬は、スペイン競馬史上これまで1頭しかいなかった。それがアトランティダ(Atlántida)である。ウォーオブダンスは、スペイン2大競走を制した92年ぶり2頭目の牝馬となった。

※92年ぶりなのにレースが88回しか行なわれていないのは、スペイン内戦による中断と、サルスエラ競馬場閉場による中断があるため。

 歴史を創ったウォーオブダンスの今後はどうなるのだろうか?

 スペイン国内でもっとも挙がっている声が、凱旋門賞デーのいずれかのレースに出走することである。これは過去の優勝馬の傾向を見ても、現実的な路線と言える。

 2006年にマドリードを牝馬として優勝したバルドリア(Baldoria)は、翌2007年に凱旋門デーのGⅡロワイヤリューに出走した。結果は10頭立ての6着だった。

 2014年にマドリードを牝馬として優勝したフリネー(Friné)は、同年にフランスに渡ってGⅡロワイヤリューを勝利した。 ウォーオブダンスにも、バルドリアやフリネーと同じ道を辿ることが期待されている。

 また、これは牡馬の例になるが、2008年のマドリードの勝ち馬バナビー(Bannaby)は、同年のGⅠカドランを優勝した。マドリードを勝てる実力があれば、フランスの重賞で互角に戦えるチャンスがある。

 ウォーオブダンスの今後に目が離せない。

■ 2023年メモリアル・ドゥケ・デ・トレード

■ 2024年マドリード



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