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無敗のチリ3冠馬ケイアーミーは驚きの低予算?南米の怪物たちに共通する「格安」

写真:fotooficial.cl
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 南米大陸から世界に羽ばたいた2頭の怪物には奇妙な共通点がある。それが「格安」ということである。

 アルゼンチンのキャンディライド(Candy Ride)は、父ライドザレールズが活躍馬を輩出していなかったことや、レントゲン写真で見る身体つきの悪さが買い手に嫌われ、3度も売れ残った。デビューしたのはアルゼンチンの地方競馬場にあたるヘネラル・カブレーラ競馬場のダート500m戦である。

 アルゼンチンのクラウサン牧場(現サンタ・イネス牧場)で産まれたインバソール(Invasor)も、2度の売れ残りを味わっている。3度目でようやく買い手が現れたが、それは当時競馬場が再開したばかりのウルグアイの馬主で、価格はわずか20,000ドルだった。当時のレートで240万円ほどの馬が世界No.1になった。

 格安馬から競馬界のスターに上り詰めた南米産の怪物に、もう1頭の格安馬が加わるかもしれない。それが、1991年のウルフ(Wolf)以来33年ぶりに無敗でチリ3冠を達成したケイアーミー(Kay Army)である。

「ケイアーミーはまったく注目されていなかった。ルックペン(※チリ&香港GⅠ馬)もそう。ジョークシシ(※チリGⅠ馬)は片目の視力がなかった。でもGⅠを勝った。誰も馬のことは分からない。自分の知っていることや信じていることに頼っているにすぎない」

 そう語るのは、ケイアーミーの馬主であるイグナシオ・ウルタード氏である。

 今やチリ競馬の生ける伝説となったケイアーミーは、デビューまでにどのような経緯をたどったのだろうか。ウルタード氏が、チリの競馬メディア『トドス・エン・エル・パルティドール(Tods en el Partidor)』の取材で明かした。

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