コントレイル×コンヴィクションに驚かされたのは落札額だけでない
今年のセレクトセールで、コントレイルとコンヴィクションの仔が5億2000万円で落札されました。購入したのはノースヒルズの前田幸治さんです。
5億2000万円というのは頭のおかしい金額です。ロト6の1等が当たっても買えない馬とか……。みなさんは5億あったら、堅実に駅前のマンションを買いましょうね。
ですが、個人的には金額よりも驚かされたポイントがありました。それはノースヒルズがアルゼンチン牝馬の仔を買ったということです。
ノースヒルズは日本競馬の主人公的なオーナーブリーダーですが、同じく主人公的な社台ファームやノーザンファームとは異なり、南米牝馬にまったく頼らない生産者です。
吉田家系の牧場だけでなく、レイクヴィラファームや下河辺牧場、谷川牧場、エスティファームといった有名な生産牧場にも南米牝馬は繋養されています。しかし、2023年7月24日時点では、ノースヒルズで繁殖牝馬となった南米産の繁殖牝馬は1頭もいません。
■ 日本に導入された南米牝馬の一覧
また、ノースヒルズは生産者として南米牝馬を所有していないだけでなく、馬主として南米牝馬の産駒を所有したことも滅多にありません。
ノースヒルズ関係の名義で所有された南米牝馬の産駒は、ステインアライブ(母ブラジル産)、ティルヴィング(母アルゼンチン産)、イミュータブル(母チリ産)、エスカル(母アルゼンチン産)、フーイズフーの2021(母アルゼンチン産)の5頭だけです。
「5頭もいるじゃん!」と思うかもしれません。しかし、これまで150頭ほどの南米牝馬が日本で稼働し、たくさんの産駒がセールに上場されてきた中で、ノースヒルズ級の馬主が南米関連を5頭しか所有していないというのは非常に少ないと思います。
この5頭の中で、アルゼンチン牝馬の産駒はティルヴィング、エスカル、フーイズフーの2021の3頭です。エスカルはアメリカのセールでの購入で、フーイズフーの2021はいまだに馬名未登録です。
したがって、2013年のセレクトセールで7700万円で購入したティルヴィングが、ノースヒルズが日本で購入してデビューした最初で最後のアルゼンチン牝馬の仔というわけです。
『ノースヒルズは南米牝馬を繁殖として持っておらず、南米牝馬の産駒を競走馬として所有することもほとんどない。つまり、ノースヒルズは南米に頼らないし、頼るつもりもないだろう』
というのが、個人的なノースヒルズ評でした。
しかし、そう考えていたところで、コントレイル×コンヴィクションの5億2000万円が襲いかかりました。コンヴィクションはアルゼンチン産の繁殖牝馬です。
そのため、コンヴィクションの2023で驚いたのは「5億2000万円すげぇぇぇー!」ではなくて、「ノースヒルズがアルゼンチン牝馬の仔を買いやがった!」でした。「しかも5億2000万円で!」という金額に対する驚きは、2番目に訪れた感情です。
アルゼンチン牝馬の産駒を高額で買うのは、だいたいホウオウかダノンかミッキーです。今回も落札額を見たときは、「はいはい、オービックオービック」と思っていたのですが、まさかのアイテックでしたよ。
ところでノースヒルズさん、今回アルゼンチン牝馬の仔を買ったことですし、この勢いのまま南米牝馬に手を出しませんか?南米牝馬を使って『進化と変革』を成し遂げましょう!
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木下 昂也(Koya Kinoshita)
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