南米馬はなぜ再び中東移籍をするようになったのか?キーマンはウルグアイ人調教師
ここ数年、南米馬が中東(ドバイ・サウジアラビア)に移籍するケースが増えている。移籍するのは主にウルグアイ馬だが、アルゼンチン馬が移籍することも少なくない。つい最近も、サトゥ(Satu)とジュスティーノ(Giustino)という2頭のアルゼンチンGⅠ馬のドバイ移籍が発表された。
『南米から中東へ』という道筋は、2000年代に活気のあるルートだった。たとえば、2005年のアルゼンチン2冠馬フォーティーリックス(Forty Licks)はサウジアラビアの馬主に売却された。2007年のUAEダービーの勝ち馬アジアティックボーイ(Asiatic Boy)、後にアメリカGⅠを勝つバレドリ(Vale)も、アルゼンチンで活躍した後にドバイに渡った。世界No.1に輝いたウルグアイ調教馬インバソール(Invasor)が、シャドウェルに売却されて初めて走ったのもUAEダービーである。
しかし、南米発中東着というルートは2010年代になって低迷する。正確に言えば、マーケットが別の場所に移った。南米馬の新たな買い手となったのがアジアである。南米の牝馬は日本に売られ、南米の牡馬は香港に売られている。
南米馬に対するアジア勢力はいまだに強大である。だが、2020年代に入って再び『南米から中東へ』という道に活気が戻ってきた。2022年のGⅠサウジ・カップで5着と健闘したアエロトレン(Aero Trem)や、2024年のUAEダービーでフォーエバーヤングを相手に2着と好走したアウトバーン(Auto Bahn)など、南米馬の中東での活躍は記憶に新しい。
なぜ、南米から中東への移籍が再び活発になったのか? そこには、1人のウルグアイ人調教師の存在がある。
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