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エリザベス女王とスペイン競馬に関するイギリスジョーク

 スペイン北部に位置する美食の街サン・セバスティアン。この街の外れにあるのがサン・セバスティアン競馬場です。

 サン・セバスティアン競馬場では2つのビッグレースが開催されます。1つがコパ・デ・オロ(芝2400m - 3歳以上)。日本語に訳すと「金杯」です。もう1つがゴビエルノ・バスコ(芝1600m - 3歳以上)。日本語に訳すと「バスク州政府賞」です。

 エンハーモニック(Enharmonic)という馬をご存じでしょうか? 1987年に産まれた牡馬で、生産・馬主は共にザ・クイーン(The Queen)。つまり、エリザベス女王の馬です。

 エンハーモニックはドイツのGⅢを2勝、イギリスのGⅢを1勝と活躍しました。アーバンシーとも一緒に走ったことのある結構すごい馬です。後にバーレーンに輸出され、バーレーンで種牡馬入りしたそうです。

 このエンハーモニック、実はスペインでも出走しています。1993年8月8日にサン・セバスティアン競馬場で行なわれたゴビエルノ・バスコに出走し、フェルディ(Ferdi)という地元スペインの調教馬をクビ差破って優勝しました。しかも、勝ちタイム1分36秒50はレースレコードでした。女王陛下はスペインでもビッグレースを勝利しているのです。

A Galopar : http://www.agalopar.com/agt/diaadia/historialesgp/gobiernovasco.htm

 ここからちょっとした笑い話。

 エリザベス女王の所有馬がレースを勝ったということは、エリザベス女王に優勝賞金が支払われるということです。このときスペインの金融当局は、賞金1000万ペセタ(※ユーロの前のスペインの通貨)がイギリスへの海外送金に該当するため、馬主に居住証明書の提出を求めたそうです。つまり、イギリス女王に対してイギリスに住んでいることを証明しろと言ったわけです。

 この話が事実なのか、ただのブリティッシュ・ジョークなのかは分かりません。まぁ9割9分ジョークでしょう。でも、スペインの事務の連中なら本当にやりかねない行為だから怖いし、妙なリアル感がこのジョークの肝になっています。

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木下 昂也(Koya Kinoshita)

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