【日記】大学を辞めると決めた瞬間 23/11/28

大学を辞めると決めた瞬間を覚えている。
あれは4回生の後期。エクセルの授業の第2回だった。
たしか何か表を作って提出するという内容だった。第1回の授業は出ておらず、履修変更で出席したのだが、第1回を受けてなければ手のつけようのない課題だった。出来た人から提出して退室可だったが、当然おれは全く進まない。隣の陰気そうな男に「これどうやんの?」と声をかけてみたが「知らない。前回来てない奴が悪い」みたいなことを言われた記憶がある。次々と部屋を出ていく生徒たち。特に焦るでもなく、ただ我に帰ったように「うわ、何やってんねやろおれ。辞めよ。」と思った。

荷物をまとめて教室を出て、その足で退学の手続きに向かった。少しは職員に引き止められたりするかと思ったが、ただ事務的なやりとりがあるだけだった。
結局4回の前期まで通った大学をおれは退学した。偏差値は中の中。大概の人間は本命の大学に落ちて入学する大学だったが、おれはここ一本で入学していた。高校の担任には進路相談の際「勉強するつもりはないので今の学力で入れる、学費の安い大学がいいです」とだけ伝えていた。本当は高卒で働きたかったのだが、親の意向が強く、金も出してくれるというので進学を決めた。退学したことを親に伝えると、物言いたげではあったが特に何も言われなかった。その頃には既に両親との関係は死んでいた。

あの4年間に意味はあったのか、と思うことはたまにある。おそらく殆ど無意味な時間だったのだろう。大学時代のことはあまり覚えていない。今思い出そうとしても嫌な気分になるので、ただただ暗い気持ちを持ち続けていたことは確からしい。
ひとつ覚えているのは、ひたすらベンチに座っていたことだ。
同じ敷地内に集められた同年代の人間たち。鐘がなると一斉に施設から吐き出される学生たち。休み時間が終わるとまた誰もいなくなる。そしてまた吐き出される。それをひたすら眺めていた。おれは奴らが怖かった。
同時におれもまた奴らの一人だった。それも恐ろしかった。当時のおれはひたすらに未熟で醜かった。

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