27歳大学受験記 ーいつの日か大学で学びたいと願う貴方へー
はじめまして。九龍ふとしです。400日間の職場仮面浪人の末に国立大学教育学部に合格した軌跡をここに残しておきたいと思います。いつの日か大学で学びたいと願った社会人や浪人生の役に立てたなら幸いです。
初期スペックとビハインド
勉強開始時点の初期スペック
受験におけるビハインド
今振り返ると条件的にはなかなかにハードモードでした。でもこれは若さという平等に与えられた才能を枯らしてしまった自分に100%の責任があります。社会人が受験をするとはそういうことです。私にもその才能は与えられていたのだから。最高に公平なゲームです。
400日間の成果
①勉強時間2200h
職場仮面浪人の平日ルーティンはこんな感じです。
覚悟完了してからは、どんなに疲れていても平日5時間勉強していました。年間休日が102日しかない会社で働いていたので、平日に勉強時間を確保することが最重要課題でした。睡眠時間は5時間くらいでした。
1日の中で朝がいちばん頭が良いのでこの時間を大切にしていました。退勤後は疲労と眠気で極端に効率が落ちるので、出勤前の時間が勝負だと考えて早起きしていました。
勉強時間を確保するために職場から徒歩3分のアパートに引越しました。職場の昼休憩は自宅か公園に移動して勉強していました。
退勤後はすぐに夕飯と家事を済ませて、湯船で1時間勉強することを習慣にしていました。
就寝前の1.5時間は朝に学習した内容の復習をしていました。また、家事や移動の時間は必ず耳で英語の勉強をするようにしていました。
平日の睡眠不足を解消するために、休日は最低7時間は寝るようにしていました。また、平日に家事をする時間を極力減らすために、休日にまとめて掃除をして、1週間分の夕食を作り置きしていました。休日の勉強時間は10時間を目標にしていましたが、8~9時間くらいしかできない日もありました。
②学費160万円貯金
大学に合格しても、学費を払えなければ教員免許を取得することができないので、学力と並行して学費を貯める必要がありました。手取り19万円で一人暮らしというハードモードでしたが、いろんなものを犠牲にしてなんとか1年間で国立大学2年生までに必要な学費(入学金+2年間の授業料)を貯金することができました。最終的には400日間で160万円貯金することができました。
月の支出内訳はこんな感じです。3食自炊をして、交友関係を断ち切って、娯楽を捨てて、なんとか貯金していました。
職場仮面浪人をするにあたって、仕事も手を抜かずにやると誓っていました。その姿勢と成果が評価されて、期末アセスメントでは最高評価をいただけました。その結果ボーナスが予想より多くもらえたこともあり、なんとか貯金目標を達成できました。
③共通テスト26%→78%
受験勉強を開始する前の共通テスト得点予想がこちらです。まだ現実を知らず楽観していましたが、2023年の春頃に実際に解いてみたところ26%しか得点できない現実に直面しました。
9月に国語と地理以外の教科を1周さらった状態で2023年の共通テストを解いてみた結果がこちらです。春頃に1回解いたことのある問題ですが、英語と物理が8割取れるようになっています。
10月に2021年の共通テストを解いてみた結果がこちらです。英語が安定してきて、数学も伸び始めています。地理も1周さらい終わったことで安定してきました。
12月に2023年の共通テスト追試問題を解いてみた結果がこちらです。この頃には英語と地理は9割で安定していました。物理も8割から9割で安定していました。数学が7割前後、化学が6割前後で安定し始めました。11月に入って漢文の勉強を始めたことで国語で7割を狙える目処が立ちました。このときの74%が本番までの自己ベストでした。
2024年の正月に駿台青パックを解いてみた結果がこちらです。絶望しましたが、青パックの難易度が高すぎたみたいです。
2024年度共通テスト本試験の結果がこちらです。地理と英語Rと物理と現代文で多少失敗しましたが、数学と化学が耐えてくれたことで、本番で過去最高点を取ることができました。古文は最後まで手が回らず勉強時間0秒でした。地理と物理と数学1Aで採点ミスがあり、最終的には総合得点701点、正答率78%でした。
第一志望でも十分戦える点数を取ることができました。
職場仮面浪人で結果を出すための5つの要素
①覚悟を完了させる
覚悟を完了させるとはどういうことか。それは、どんなに辛くても、どんなに苦しくても、どれだけの犠牲を払ってでも、今年で合格すると自分に誓うことです。私は受験勉強を開始して半年ほど経過した2023年7月頃に覚悟完了しました。1年後に管理職への昇進と移動が決まっていること、2025年度から新課程となり共通テストに情報が追加されることを考えると、今年が最初で最後のチャンスだと思い至りました。どんなことをしても今年で合格する覚悟を完了させました。
②犠牲にするものを決める
覚悟を完了させたので、対価を得るために何を犠牲にするかを考えました。私は仕事以外の全てを犠牲にすることを決断しました。勉強時間と貯金を確保するために生活を一変させました。まず、SNSのリア垢を全削除しました。交友関係を全て断ち切りました。幼稚園からの親友の結婚式すらも縁が切れるとわかっていながら断りました。恋人とも別れました。デートの時間すら勿体無いと感じるようになっていました。趣味も全て捨てました。1日のスマホ使用時間は1h未満にしていました。睡眠と運動も諦めました。健康を生贄にして勉強時間を捻出していました。
会社ではちゃんと人生を楽しんでいるように振る舞いながら、目的のためにあらゆるものを犠牲にして、寿命を削って、情熱だけを頼りに生きていました。
③自宅で勉強できる環境を整備する
職場仮面浪人は本当に時間がありません。図書館に移動する時間すら無駄にできません。自宅で勉強できる環境を造ることが最適解です。私はリビングに勉強スペースを構築しました。他の部屋には簡易ベットや植物を置いて、身体と精神を回復できるようにしていました。勉強するときはタイムロッキングコンテナにスマホをぶち込んで、物理的に情報を遮断するようにしていました。
④Twitterで浪人垢をつくる
最初は情報収集目的でTwitterを始めましたが、途中から勉強の記録や目標を発信するようになり、それがモチベーションや行動指針になっていきました。
Twitterを通して同じ孤独と苦しみを抱えた仲間がいることを知り、彼らの存在に救われました。友人にも同僚にも親にも、誰一人として大学受験を打ち明けていなかったので、自分の苦しみを共有できるTwitterだけが心の拠り所でした。
独学故にどうしても自力で理解できない問題に直面することがありましたが、そのときはTwitterの仲間が助けてくれました。
共通テスト本番の5日前に仕事で取り返しのつかないミスをしてしまい、自責の念で勉強できなくなってしまったことがありました。共通テストを受験する資格がない(仕事で責任を果たせない自分には教師になる資格がない)と考えていましたが、そんなときにTwitterの仲間たちが私を励まして、立ち上がる勇気をくれました。メンタルは崩壊していましたが、絶対に言い訳しないと決めて共通テストを受験することができました。この恩は生涯忘れません。
⑤情熱を確信する
どれだけ強く覚悟を完了させても、どれだけ多くを犠牲にしても、折れそうになるときはあります。結果が出ないと苦しいです。自分の現在地がわからないと苦しいです。周りの友人が同棲・結婚・出産と、人生ゲームを着実に進めている中で、大学受験に全賭けしている自分を客観視すると気が狂いそうになります。そんなとき自分を救ってくれるのは情熱だけです。自分の情熱を確信することができれば、それを頼りに走り続けることができます。私の情熱は教師として働くことです。なんで教師になりたいのか、理由はいくらでも言えるけど、理由なんていらないです。「自分でもなんでかわからないけど、どうしてもやりたい」。この気持ちが本物で、情熱だと確信できれば、情熱は永久機関と成ります。
燃やし続けた情熱が、最後に自分の背中を押してくれます。
教科ごとの勉強内容
①数学
共通テスト本試験までの総計学習時間は350時間でした。
基礎問題精講→駿台&Z会予想問題集の順番で取り組みました。
基礎問題精講は各7周しました。最終的に75-85点くらいで安定しました。処理能力の低さを改善できず、最終的には各大問の最終問題を飛ばす戦略を取りました。
共通テスト本試験ではIA82点、2B78点でした。
②英語
共通テスト本試験までの総計学習時間は470時間でした。そのうち300時間は耳からの学習に費やしました。ターゲット1900, 速読英単語, 速読英熟語をひたすら聞いていました。途中で文法学習が重要でないことに気づき、単語とリスニングに重点を置きました。そのおかげでリスニングは85-95点くらいで安定していました。
英語読解においても処理能力の低さに悩まされていました。大問1-5は満点で、大問6が解き終わらないというパターンで、最終的に85-95点くらいで安定していました。結局最後まで処理能力が向上することはなく、共通テスト本試験でも大問1-5は満点で、大問6がほとんど間に合いませんでした。
共通テスト本試験ではR83点、L93点でした。
③物理
共通テスト本試験までの総計学習時間は400時間でした。
漆原→物理のエッセンス→駿台&Z会予想問題集の順番で取り組みました。
漆原は各6周しました。物理のエッセンスは各4周しました。最終的に80点-95点くらいで安定しました。とにかくひたすら漆原を読み込みました。
共通テスト本試験では80点でした。
④化学
共通テスト本試験までの総計学習時間は485時間でした。
宇宙一わかりやすい→セミナー→駿台&Z会予想問題集の順番で取り組みました。宇宙一は各4周しました。セミナーは発展問題を除いて各3周しました。
最終的に60-75点くらいで安定(?)しました。とにかく宇宙一を読み込みました。化学はいちばん苦戦しました。全教科中最も学習時間を費やしているのに、最後まで8割に届きませんでした。処理能力の問題ではなくシンプルに実力不足でした。仮に時間があっても解けない問題がたくさんありました。
共通テスト本試験では71点でした。
⑤地理
共通テスト本試験までの総計学習時間は160時間でした。
村瀬→瀬川→駿台予想問題集→センター過去問の順番で取り組みました。
村瀬のゼロからは各2周しました。最終的に90-95点くらいで安定しました。地理はとても楽しく救いでした。共通テスト本試験では81点でした。
⑥国語
共通テスト本試験までの総計学習時間は70時間でした。
10月に現代文集中講義を15時間学習しました。
11月に漢文早覚え速答法を20時間学習しました。
それ以降は実践問題集とセンター過去問で演習しました。
古文はコスパを考えて捨てました。
評論40-小説50-古文0-漢文50で140点を狙う戦略を取ることにしました。
共通テスト本試験では評論31点、小説47点、古文7点、漢文50点で合計135点でした。古文を捨てても評論が解き終わらないという致命的な処理能力の低さを露呈しました。
漢文早覚え速答法はTwitterの仲間に勧められて取り組みましたが、コスパの良さに驚愕しました。知識0の状態から、たった20時間の学習で漢文満点を取ることができました。処理能力は低いが正確性は高いタイプで、かつ古文の勉強まで手が回らない人は、この戦略を検討してみてほしいです。
⑦小論文
二次試験では学力試験と小論文が課されました。これまでの人生で小論文を書いたことがなかったので、小論文ノート2024、全国大学小論文入試を読み込んで、傾向と書き方を掴むところから学習を始めました。
小論文には答えがなく、独学が非常に厳しいです。テーマを決めて書いてみるものの、自分の答案を自分で添削することはできないので、どこが悪いのかわからないまま闇雲に書き続けるしかありませんでした。共通テストは独学で十分戦えますが、小論文や面接の独学はギャンブルになると思います。
ただ、蓋を開けてみれば二次試験単体の合格最高点から-30点、合格平均点から+60点だったので独学の方向性は正しかったように思われます。しかし、独学を通して能力が上昇した感覚はなく、再現性は期待できません。
⑧面接
面接では、正社員として働いていることが明確に優位に働きます。他の受験生に勝る唯一の強みです。私は面接に自信があったので、ここで勝つと決めていました。面接ノートに自己分析や想定質問を合計84ページ書いて対策しました。あとは質問に明快に答えるだけです。それだけで高校生とは明らかな差が生まれます。集団面接でしたが、満点の自信があります。
職場仮面浪人の後悔とアドバイス
①第一志望を受験できなかった
いちばんの後悔は仕事の都合で第一志望を受験できなかったことです。勝算があるのに受験できませんでした。二次試験(2月25日)の夕方までにどうしても職場に戻る必要があり、東京まで移動することができませんでした。大学受験を上司に自白していなかったこと、そして何より自分の仕事に対する責任から、第一志望を諦め、現在居住している県の国立大学教育学部を受験することに決めました。
弊学にはおそらく首席合格だったので、授業のレベルに物足りなさを感じることがあります。ついていくのに苦労するような環境に身を置き、能力を最大限に高めたかったという願望があります。職場仮面浪人をするのであれば、土日休みの職場を薦めます。
②模試を経験できなかった
土日休みを取れないので、模試を1回も受験できませんでした。そのせいで自分の現在地を確認できなかったり、本番の予行練習ができなかったりと、不安と焦りを感じました。ぶっつけ本番で実力を発揮できるか不安な人には、土日休みの職場での仮面浪人を薦めます。
③受験することを誰にも打ち明けなかった
受験することを誰にも打ち明けないことは正解だったのかと今でも考えることがあります。特に、会社に対して不誠実であったことを葛藤しています。管理職に抜擢するほど期待してくれていたのに、突然裏切ることになってしまいました。国立大学の合格発表は3月なので、引き継ぎ期間も短く、会社に多大なる迷惑をかけてしまいました。上司や人事には事前に自白しておくべきだったのかもしれません。私には辞めると宣告した状態で働く勇気がありませんでした。誰かに打ち明けることで覚悟が弱まるとも思っていました。
おわりに
私は、覚悟を磨いて、犠牲を払って、情熱を燃やしました。それでも最後に勝敗を分けたのは運だと思います。私は運がよかったです。そして、努力だけが運の幅を広げてくれると信じています。
いつの日か大学で学びたいと願った貴方に、このnoteが届くことを祈っています。
ここまで読んでくれてありがとうございました。