古畑任三郎めっちゃ好きやねん
令和3年5月20日の日記
田村正和さんがお亡くなりになりました。
『古畑任三郎』が大好きで大好きでたまらなくて当時、大徳寺前の「ビデオアメリカ」で何回も何回もVHSを借りまくりました。今まで生きてきたなかで、最も繰り返し繰り返し見まくったドラマが『古畑任三郎』です。
っていうと、どういうわけか、「僕のほうが古畑任三郎のことは詳しい」とか、「いやいや田村正和を語るならやっぱり眠狂四郎でしょう？」とか、言ってくる人がいるんですけど、しょーじき、そのノリしんどいです。私が『古畑任三郎』のことを好きな話してるんだから、私なりの「好き」をおおいに語らせてほしいのです。そういうやつ、受け止めてくれる人とか、同じ程度の好きを持っている人とかが好きです。
今日は毎日新聞「余録」が田村正和さんについて書いていました。完璧主義でNGをほとんど出さない人だったそうです。「同じせりふは二度と言いたくないから」なんですって！！『古畑任三郎』のあの長いセリフもNGなしだったのだとしたら、それだけでも驚きですが、それだけで驚いていたら「みくびられたもんだね」と怒られてしまいそうです。
以下はネットで入手したネタですが、シリーズ屈指の傑作「しゃべりすぎた男」ではNGを連発する明石家さんまに対して「次やったら私は帰る」と言った直後、田村さんがNGを出してしまい、すかさず、さんまが「あんたも間違えてるやないか」と言ったところ、怒って控室に帰ってしまったものの、再び、撮影がはじまったら、田村さんが台本にないセリフを放ち、さんまを慌てさせたというようなこともあったそうです。実際にピリピリした空気があったから、あの法廷の場面は緊張感があるものに仕上がっていたのかもしれません。というような感想もネットの記事に書いていました。2回目以降は、さんま扮する弁護士が水差しを「花瓶」と言うのが、必要以上に気になります。
今日は他にも京都新聞、北海道新聞、河北新報、中国新聞、佐賀新聞、熊本日日新聞、宮崎日日新聞のコラムが田村正和さんの訃報について触れていました。
いま、ラジオの仕事をしているから、ということもありますが、私が深く印象に残っているのは桃井かおり演じるラジオDJ「おたかさん」が犯人の回。以後、たびたび出てくる「赤い洗面器の男」の逸話がはじめて出てきた回だったと思います。その後のエピソードでこの話が出てくるたびに、前のめりに話の続きを聞こうとする古畑任三郎のコミカルさが微笑ましかった。基本的に古畑任三郎は、めちゃくちゃイヤなやつなのですが、あのねちっこくてしつこくて蛇みたいな男の鬱陶しさが、絶妙にかわいらしく映ったのは田村さんの演技によるところが大きかったんじゃないかしら。知らんけど。
おたかさんは、生放送中にレコードで「サントワマミー」を流している間に殺人を敢行。何食わぬ顔して生放送に戻ってきます。3分くらいでしたっけ。当時はラジオの仕事をしていなかったですが、その何年か後にラジオのお仕事をした際に、ディレクターが曲が流れている間にトイレ行ったりタバコ吸いにいったりしてるのを見たときに「おたかさん！」と内心思っていたような記憶があるのですが、ひょっとすると、感傷に浸っている今の私が記憶を捏造したものかもしれません。
今日も私と同じく、古畑任三郎ファンの方と話しておりましたが、話せば話すほど、忘れていたエピソードを思い出して、「そうそう、あれもよかった」「それならこれも」「松たか子は犯人役ではなくて山城新伍が犯人のときにチョイ役で出てた」「イチローと向島が兄弟なんは無理がありすぎる」まあ、出てくる出てくる。一緒に話していた方が生放送前でなかったら、もっと延々と話していたかもしれません。
好きなもののことを、その作品のことを好きな人同士で話す時間って他に何も差し迫った現実がなければ幸せすぎますよね。ああいう時間が増えれば世界はもっと平和になるにちがいない。私は割と根がネガティブで、ひきずるし根にもつし、被害者意識が強いしで、その辺は自分でも困ったもんなんですけれども、ああいう時間が増えればもっと楽しく生きられるんだろうな。と思いつつ、それだけではあかんこともわかってはいるんですけれども、なんか、大好きな俳優さんがお亡くなりになられて残念なんだけど、その俳優さんの魅力がたっぷり詰まった作品が大好きで、その話がしたいと思ったときに、その話ができる人がいるって嬉しいことですよね。
そういうことができるくらいの心の余裕、体の余裕、時間の余裕、社会の余裕、とにかく余裕があるのって大切で、あんまりその余裕のことを「無駄」とか「不要不急」なんて言葉に言い換えたくはないな、って思いました。
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