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二度あることは三度目の正直
今日の収録で、ある漫画の登場人物の名言をDJさんが紹介していました。「殊更に『正しい』と主張しなければならないことなんて、実はそんなに正しいことではない」というような言葉だったと思います。主張しないといけない正しさなんて、たかが知れてるということでしょうか。すごくいい言葉だなと思いました。人の話って、こうやってアクシデント的に素敵な言葉に出会えるのがいいんですよね。ラジオの魅力であるとも思います。
「正しいと主張していることは実はそんなに正しくない」という言葉と似ているな、と思ったのが今日の東奥日報『天地人』に載っていた向田邦子さんの言葉。
「私たちは安全という字がくっついていると、もうそれだけで安心してしまって(中略)その分だけアブないという気がする」
これもまさにその通り。
言葉というのは、鵜呑みにしてしまうと危ないものなのです。向田邦子さんは続けて「安全のニ字がつくと、かえって警戒して、気をつけなくてはいけないぞと気持も手も身構えて用心している」と書いています。
昔から「タダほど怖いものはない」なんて言葉もあります。「はい」が実は「いいえ」の意味で使われる、ということもあるし、「上手にピアノ弾きはりますな〜」が「近所迷惑になるさかいにその耳障りなピアノを弾くのをやめなさい」という意味になったりもします。そうかと思えば「イヤよイヤよ」が本当にイヤだったりもします。
一筋縄ではいかないからこそ、人との話は面白い。「あばたもえくぼ」ですけど「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」し、「一石二鳥」だけど「二兎を追う者は一兎を得ず」。「好きこそものの上手なれ」ですが「下手の横好き」ということもあるし、「二度あることは三度ある」けど「三度目の正直」だったりもする。
人間そんなに単純ではありません。
二面性どころか三面性、四面性、すなわち多面性こそが人間のもつ性質なのです。
あの人は◯◯だから、、、なんていうレッテルを貼ってはいけない。ってわかっているのに貼っちゃうことがあるのも、これも多面性ってやつかしら。
#令和3年6月24日
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