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根っこがないと不自由
涌井慎です。
趣味は新聞各紙のコラムを
読むことです。
1月21日。
オーストラリアの森林火災には
動物たちも困り果てています。
「異常気象で史上最も暑く乾燥した昨秋から森林火災が激化。消防士ら20人以上が亡くなり、北海道を上回る面積が焼失した。途方もない数の動物も火にのまれて、種の絶滅を危惧する専門家もいる。」
(括弧内「日経新聞」引用)
「上毛新聞」も
このオーストラリアの
森林火災について書いていて、
「火災拡大の背景には記録的な高温と乾燥があり、気候変動が遠因ともされる」としています。
環境活動家のグレタさんを
大人は何かと難癖を付けて
否定しがちなのですが、
グレタさんたちには見えていて
大人には見えていないものが、
いや、見ようとしないものが、
あるのではないでしょうか。
『星の王子さま』に
「かんじんなことは
目に見えないんだよ」という
台詞が出てきます。
そういえば、このお話も
大人の滑稽さを風刺しています。
ところで私は知らなかったのですが
オーストラリアの異常気象で、
野生のラクダの大群が、
水を求めて先住民の集落に
押し寄せたそうです。
「山陽新聞」で知りました。
「山陽新聞」を引用すると、
このラクダの群れは
「住民生活と固有種の動植物の命を優先する」として5千頭余りが駆除されたそうです。
似たような話をどこかで読んだと
思ったら「山形新聞」でした。
「冬眠しないクマの目撃が全国で相次ぐ。県内では今月、南陽、山形両市でも発見された。記録的な暖冬が生物のリズムを狂わせているのだとしたら余波が心配だ。」
このクマたちも、
人間に害すると判断されれば、
駆除されることになるのでしょう。
地球温暖化をもたらしたのは
間違いなく人間でしょう。
ラクダの群れが先住民の生活を
脅かしたのも、クマが民家に
やってくるのも、全て遠因は
人間にあるものなのに、
どうしてラクダやクマたちが、
駆除されなければ
ならないのでしょう。
ラクダやクマたちが、
近頃欧州を悩ませ、
ポピュリズムの台頭の要因の
一つとなっている、
中東からの移民と重なってしまうのは
私だけでしょうか。
もう一度『星の王子さま』の話に
戻るのですが、
王子さまが地球の砂漠を
よこぎるとき、
一輪の花に出会います。
王子さまが
「人間たちはどこにいるの?」と
聞くと花は答えます。
「人間は風に吹かれて
歩きまわります。
根がないから、
たいへん不自由していますよ」
昔は根がないから、
自由なんじゃないか、と
思ったのに、今日読んだときは
妙にここに引っかかったんですよね。
確かにいま、
根っこを失わさせられて、
大変な思いをしている人が多い。
動物たちも。