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趣味は新聞コラムを読むこと

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新聞各紙のコラムについて書いたものをまとめています。
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2020年10月の記事一覧

雨がぴりぴり降る

雨がぴりぴり降る

大学生の頃からの友人で、
南丹市園部出身の亜背庵(仮名)という男が、
学生時代に「雨がピリピリ降る」
という言い方を
していたことがあり、
雨はそんな降り方はしないよ、
と言っていたのだが、
10月16日の「神戸新聞」に、
その用法が紹介されていて驚いた。

『広辞苑』でも調べてみると、
「ぴりぴり」
1:笛などを吹き鳴らす音
2:皮膚や粘膜に、
はじかれるような痛みや辛みを感じるさま
「唐辛子で

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不惑とは

不惑とは

読書の秋、昨日からは読書週間。
読書をしていると、
意味のわからない言葉や、
知ってるつもりでいたが、
実際どんな意味か知らない言葉に
出会うことがある。
そんなとき、いまはスマートフォンで
ちゃちゃっと検索することもできるが、
辞書を開いてみると、
新しい発見があったりもする。
(いや、スマホ検索で十分事足りるのだが、
いまだに信じきれないところがある)

例えば、
10月8日の「琉球新報」に

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今日から読書週間

今日から読書週間

今日10月27日から
11月9日までの2週間は「読書週間」。

10月20日「長崎新聞」に
『更級日記』を書いた
菅原孝標女のエピソードが掲載されていた。
菅原孝標女は『更級日記』のなかで、
夢にまで見た『源氏物語』50巻余りを
やっとの思いで手にしたときのことを
「妃の位も何にかはせむ」・・
つまり「皇后の位だって何になろうか」・・
何物にも代えられない喜びを表現している。

さらに引用すると、

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やりがいとは

やりがいとは

今年のノーベル賞は
日本人の受賞がなかった。
日本は1990年代後半から、国の施策で
「科学技術立国」を目指しているが、
基礎的な力量を示す注目論文の数は
中国やアメリカでは増えたいっぽう、
日本は取り残されているのが現状のようだ。

2019年、吉野彰さんが化学賞、
2018年、本庶佑さんが生理学・医学賞、
2017年は受賞がなかったが、
2016年には大隈良典さんが
生理学・医学賞を受賞してい

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すべてバランス

すべてバランス

週水曜日の日本経済新聞に
認知行動療法研修開発センターの
大野裕さんが書いた記事が、
掲載されていた。
大野さんは先日、
飛行機で大阪に行ったところ、
満席だったので驚いたそうだが、
乗客の皆さんも職員さんたちも
適切に行動している様子を目にして、
安心して飛行機に乗ることができたという。

この体験を受け、大野さんは、
以前のように行動する人が増えた背景には、
きちんとした対策をしていれば、

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文学は役に立たないのか

文学は役に立たないのか

高校生の頃だったと思う。
いつだったかは忘れたが、
5つ上の兄が私に、
「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」
という夏目漱石の『こころ』に出てくる
言葉を教えてくれた。

それってどういう意味なの?と聞かれたら、
いまだに正しく答えることはできないが、
自分なりの解釈をするなら、
一所に居座り、学びを忘れ、
自分の知っている世界に
満足するようなことは
馬鹿のやることだということか。

私の場合、こ

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無駄の削減を突き詰めれば人間が要らなくなっちゃう

無駄の削減を突き詰めれば人間が要らなくなっちゃう

食欲の秋。
老若男女問わず、
食欲をかきたてる料理に
カレーライスがあります。
何年くらい前でしょうか、
かつてはライスカレーという言葉も
よく耳にしました。
果たしてカレーライスと
ライスカレーは同じものなのか、
別物なのか・・

何月何日の何新聞のコラムか
忘れたのですが、
そんなことが書かれていました。

「ハウス食品」のホームページによると、
時代的にはライスカレーのほうが
先に出てきた言

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フィルターバブル

フィルターバブル

2017年、
大阪府立登美丘高校ダンス部による
「バブリーダンス」が一世を風靡しました。
と書いてもう3年経ったかと、
驚いています。

10月7日の上毛新聞コラムが
バブルのことを書いていました。
バブルといえば、多くの方が
「バブル経済」「バブルの崩壊」の、
あの「バブル」を連想すると思いますが、
今年のテニスの全米オープンでも
「バブル」がありました。
選手を外部との接触から遮断した
「バブ

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何をどう見るかによって
見え方は変わる

何をどう見るかによって 見え方は変わる

今日は10月13日。
後輩の誕生日です。
なんの感慨もありません。

そんなことよりも、
4年前の10月13日、
ボブディランがノーベル文学賞を
受賞しました。
この4年前といえば、
ユニークな科学研究などに贈られる
「イグ・ノーベル賞」では、
前かがみになって股の間から見ると、
実際より小さく見える
「股のぞき効果」を実験で示した
東山篤規立命館大学教授と
足立浩平大阪大学教授が
「知覚賞」を受

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大皿か取り分けか、公平か平等か

大皿か取り分けか、公平か平等か

9月30日の「朝日新聞」
コラム(天声人語)が
秋という言葉の由来について、
諸説紹介していました。

●「草木の葉が紅(あか)く」なるからで、
「アカ」が「アキ」に転じた・・
●穀物をたくさん収穫して
「飽き足る」から・・
●刈り取られた田んぼが
「空き」になるから・・

いずれにせよ、食欲の秋。
食に関しては 古今東西問わず、
人間の関心事です。

10月1日の「日本経済新聞」によると、
古代

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男女いれかへばや物語

男女いれかへばや物語

近頃、お笑い番組で、
男と女が入れ替わってしまうという
設定のネタを
よく見る気がするのですが、
あれは新海誠監督の
映画『君の名は。』からの着想ですよね。

おそらく。
「キングオブコント」でも、
GAGが「入れ替わりネタ」を披露しました。
中島美嘉に入れ替わるやつ、
相当面白かったんですけど、
あまり得点は伸びなかったですね。
残念です。

「入れ替わり」といえば、
日本では古くは男の子と女の

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よき人はあやしき事を語らず

よき人はあやしき事を語らず

今年のノーベル賞は
いまのところ、
日本人の受賞者がいません。
どなたがどのような研究をされているのか、
まったく知らないくせに、
受賞するかどうかだけは気になるというのも
なんとなく失礼な気がしますね。

ノーベル賞に先駆けて、
先月中旬、ユニークな
科学研究などに贈られる
「イグ・ノーベル賞」の授賞式が
開かれまして、
こちらはワニにヘリウムガスを吸わせると、
うなり声が高くなることを発見した

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スマホ首と世阿弥

スマホ首と世阿弥

9月23日の「山陰中央新報」で、
「スマホ首」という言葉を見つけました。
スマートフォンを見るのに
顔を下に向けたままでいると、
首に大きな負担がかかり、
「スマホ首」と呼ばれる状態に
なりかねないそうです。
これを予防するには
姿勢に注意をするのはもちろん、
体幹を鍛え直す必要がありますが、
室町時代の能役者 世阿弥の言葉に
目前心後というものがあります。

前を見る(目前)だけでなく、
後ろ

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