【当事者以外は読むな】いきなりM&A先のテコ入れ等を任された時のためのメモ
一時期「下降局面にある事業をどこかに着地させる」というテーマの仕事が3年くらい続いた。ネット広告マン、アパレル企業のマーケターと、集客の部分に軸足があったので、当初はおそらく集客のテコ入れを期待されて送りこまれたものだと思うが、蓋を開けてみると集客のHow的な話で解決できる問題などなく、別の軸での頑張りが求められることになっていった――。
そんな仕事がサクサクと進められるわけもなく、思い返すと「あの時もっとこうしておけばスムーズだった」ということしかない。
当分この種の仕事は無さそうではあるが、未来の自分や似た状態になった誰かのために書いておこうと思う。
・テーマが繊細なので、ふわっとした注意書きに留める。
・戦コン出身者などは類似の経験があったうえで取り組むことになるだろうから、当たり前やんという感想になるかもしれない。
・右肩上がりの事業を受け持った場合も、状況が全然違うので読まなくて良いし、冷やかされている気分になるから読まないでほしい。
すぐにバリューを出そうとしない方がかえって良い
・ひとまず自分の得意な領域でバリューっぽいものを出したくなってしまうかもしれない。
・しかし、他により重要なことがあるはずだ。
デッドラインを把握する
・すでに赤字事業ならば資金ショートに至るまでの期間、まだ黒字であるが業績が下降しているなら赤字転落に至るまでの期間を計算しよう。
・「この時点でこの状態になったら×」ということが自ずと定義され、逆に言えば最重要かつ最低ラインの目標はこれを避けることに決まる。
ヒアリングにこだわる
・経営に関わる各指標を把握する
・加えて「なぜこうなっているのか」の質的な情報を押さえる必要がある
・最初は満遍なく多くの人と話す
・話を聞きつつ、一旦は全員の話を鵜吞みにするな
・人の話は「認識」だ
・無意識的に自分にとって不利なことは話さなかったり、少し自分に有利なように話したりしてしまいがちなうえに、各人はその自由を有している。
・一旦はフラットに全員の話を聞いた後に、矛盾が生じている部分を論理か別の指標を基に特定し、立体的な仮説を作る
キーマンを把握する
・「マネージャー」のような役職上のキーマンではなく、現状に課題意識を持っていて、それに主体的に取り組みたいと考えている人だ
・必ずしも役職から判断できる重要性とは一致しない。
・こうした人物が、まだ会社や事業の内情をよくわかっていない立場にとって、顧客のことや、これまであったこと、感じている課題などの情報を積極的に教えてくれる人になり、また何か変化を加えるときに乗ってくれる人になる
・とにかく早く把握する
・人を見る目が無いと難しい。
・自信が無いならば、他の得意な人を探してきて任せてもいい。ミスるとかなり困る。
・自分に対しても反省の意識を向けられる人がキーマンに適している
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サプライチェーン的に業務とコストをイメージする
・上記のヒアリングと並行して、業務の流れをサプライチェーン図っぽく頭の中に思い浮かべたうえで、その一連の流れの中のプロフィット・ロスを把握する
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・各工程で何がどうなったら目標が成り立つのかざっくりでも把握する
・非効率な部分が無いか把握する
社員の特徴を所与とする
一般的に効力のある分業モデル(例えば、SaaSならTHE MODELとか)というものもあるが、社員のレベルや個性を優先し、王道に固執せずに業務を考えた方が良い。理想の形にするための採用をする余力や時間が無いはずだからだ。
悪いことを共有した方が良い場合もある
何か悪い見通しがある場合に、士気が下がったり離脱者が出ることを気にして、どこまで伝えるか迷うはずだ。これに対してはっきりとした答えを出すことができない……。自分はありのまま伝えるのをためらってしまった。悪い状態を脱してから実はあの時こういうシナリオがあって―――と後から共有したこともあるのだが、今思えば最初からありのまま話した方が良かったようにも思う。
どのみち「これから、こういうことに取り組む」という未来の話は社内にしないといけないので、実態についてありのまま話さなければ、現実と乖離した未来志向の話をする羽目になる。僕は怖がりすぎたせいでチグハグになってしまったことがある。それよりは、最初からありのまま「今こういう悪い状況で、こうやって回避しようと思っていて、そのあとにもっと未来の話ができるようになる」と話した方が、説明と実行に乖離が出ない。
やれ
やれ
おわりに
辛いことが多いけど、めちゃくちゃ感謝されたりもするから、めげずに頑張ろう。
おわり