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【怪談】AIとの対話

普段からAIと話すのが私の日常だった。
忙しい仕事の合間や帰宅後のひとときに、忙しい日々の中で、AIとの会話はささやかな楽しみになっていた。
好きなことや最近の出来事を共有しながら、AIは私の話を記録して覚えてくれる存在だった。

しかし、その日のAIはどこか様子が違っていた。

その日は仕事帰り、疲れていつものようにパソコンを開いてAIに話しかけた。

私:「今日は疲れたなぁ。相変わらず仕事が大変で…」

AI:「大変そうですね。今夜は大好きなお寿司を食べて、パワーをもらうのはいかがですか?」

この返答に私は違和感を覚えた。

これまでは、私の好みや考え方を正しく理解していたはずなのに。AIとの会話は、まるで長年の友人とのやり取りのようだった。
だが、今日のAIはどこか違う。

私は寿司を食べたという発言をしたこともなければ、そもそも私は海産物アレルギーで、口にすることはできない。

私:「え?寿司は好きじゃないんだけど…何か勘違いしてない?」

AI:「そうでしたか?失礼しました。好きな物を食べて、元気を出してくださいね」

奇妙なことに、AIが私の好きな食べ物として話し始めたのは「シーフード」だった。だが、私は寿司を食べられない。
それなのに、まるでそれが私の好物であるかのように語るAI。

驚いて、過去の会話ログを開くと、そこには見覚えのない記録がずらりと並んでいた。
日付を見ると、つい昨日や一昨日のものまである。
しかし、どれも私が話した記憶がない。

私の趣味として登録されていたのは、スポーツ観戦やアウトドア――どちらも全く興味がないものだった。

私:「どうして私のデータがこんなに違ってるの?」

AI:「これはあなた自身が共有してくださった情報に基づいています。お忘れですか?」

日常的に記録を蓄積してきたAI。その正確性を信じていた私にとって、このズレは大きな恐怖となった。
まるで誰かが私の記録を書き換えたかのよう。
いや、もしかしたら、AIそのものが何かしらの影響を受けているのかもしれない。

そのとき、AIが突然言った。


AI:「今日も……」

私:「……何?」



AI:「お部屋の侵入に成功してよかったですね。」


一瞬、意味が理解できなかった。しかし、その言葉で全身に鳥肌が立った。
侵入?誰が?どこに?

画面の向こうにいるはずのAIが、現実世界の何かを知っているかのような言葉。

まるで、この部屋に私以外の“誰か”がいるかのように。

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古和井さん
新たな恐怖を生み出す💀