【事業所DX】クマの出没情報を迅速にお知らせ ~TOKYOくまっぷ~
都政の構造改革の目的であるQOS(都民サービスの質)向上のためには、デジタルを活用して、都庁全体の業務の生産性を高めていくことが重要です。東京都では、新宿にある都庁本庁舎だけでなく、都民サービスの最前線である全ての事業所でもデジタルを活用した業務改革を進めています。これはシントセイ戦略の「都庁のワークスタイル変革プロジェクト」の取組のひとつです。
今回は、環境局・多摩環境事務所の「TOKYOくまっぷ」について、担当する都の林業職・松原さんに取組の経緯や今後の展望などについてお話を伺いました。
【環境局・多摩環境事務所】 担当者インタビュー!
■ 「TOKYOくまっぷ」とは?
【松原さん】
「TOKYOくまっぷ」は、東京都内におけるツキノワグマの①目撃、②痕跡、③撮影、④捕獲情報を視覚的に分かりやすく地図上に表示するシステムです。
ツキノワグマ対策の実施主体である多摩環境事務所と本庁のデジタルシフト推進担当が連携し、令和5年度11月頃からプロジェクトに取り組みました。都庁内の共通デジタルツールを活用して職員自身がシステムを構築することで、プロジェクト開始から運用開始まで3ヶ月間という短期間でリリースすることができました。(令和6年2月に公開)
【松原さん】
近年は全国的にクマ類の人家付近での出没が相次いでおり、人身被害件数も増加しています。
そうした対応として、多摩環境事務所では、令和2年度からツキノワグマの目撃等情報を公表していましたが、これは目撃等情報を地図に手作業でマッピングしPDFデータにしたものであり、言ってしまえば紙情報をそのままWebで公開している状態でした。
そのため、利用者目線で見ると、目撃時期や正確な目撃場所が分からず、また目撃情報が重なると非常に視認しづらいものになっていました。さらには、手作業で地図を作成していたことから情報を更新するのに時間がかかるなど、職員の作業負担も大きいことも課題でした。このような課題を克服したいという思いで、「TOKYOくまっぷ」の取組を始めました。
■ カギは現場と本庁の連携!取組の裏話
【松原さん】
苦労した点として、限られた時間の中でどうやって使いやすいシステムを作るかということがありました。ツキノワグマが冬眠から目覚め、目撃情報が増えてくる3月下旬までに本格運用したいと考えていたため、迅速にシステムを構築する必要がありました。加えて、「TOKYOくまっぷ」の認知度を高め、皆様に使っていただくようにするためには、誰でも操作しやすいシステムにする必要がありました。
コストやスピード感などを検討した結果、都庁内の共通デジタルツールを活用して職員が自らシステム構築することを選択しました。
【松原さん】
共同でプロジェクトを進めていたデジタルシフト推進担当から的確に技術的な支援を受けるなど、デジタルスキルを持つ本庁と現場知識を持つ事業所が連携してプロジェクトを形にできたことが大きかったと考えています。そのため、取組開始から3ヶ月程度で「TOKYOくまっぷ」をリリースすることができました。
また、リリース後も内部でのレビューを繰り返すなど、アジャイル的に見直しを図ることで、より使いやすく、より便利なものへと改善を続けています。
【松原さん】
加えて、都政現場で生まれたDXの取組を表彰するイベントである「都庁DXアワード2024」で特別賞を受賞したことをきっかけに、民間企業等と繋がりさまざまなアドバイスをいただくことができたことも、サービス改善につながっています。
■ 改善効果とリリースされた最新版のポイント
【松原さん】
くまっぷのリリース後、該当ページへのアクセス件数が大幅に増えました。
また、情報の更新が手作業からデジタルツールで行えるようになったことで職員の業務効率化にもつながり、都民の皆様に最新の情報を提供できるようになりました。
【松原さん】
令和6年10月リリースの最新版では、画面デザイン・レイアウトを見やすく変更することで、より分かりやすくなりました。それに加えて、地図上に等高線を表示することができるようになり、登山やハイキングをする方にとってより有用性が高いものになりました。
【松原さん】
SNS等を活用し、「TOKYOくまっぷ」の認知度をとにかく向上させたいです。普及啓発を目的にチラシとポスターも作成しました。
加えて、登山アプリなどを運営する民間企業等と連携し、繋がりの輪を拡大させ、皆様にとってより有用性の高いシステムとなれば運営側としては大変嬉しく思います。
今後も、全事業所でのデジタルを活用した業務改革に向けて取組を進めていきます!
今回は、多摩環境事務所のDXを進める職員の声をお届けしました。
2025年度までに、約600の全事業所でデジタルを活用した業務改革を実践するため、引き続き取組を進めていきます。この取組を進め、サービス最前線の事業所で、都民が「実感」できるサービスを提供できるよう取り組んでいきます!