アナログ規制見直し推進中!
「アナログ規制」という言葉をご存じでしょうか?
これは、人の目による現場確認や紙での掲示など、アナログ的な手法を前提とするルールのことを指します。こういったルールの多くはデジタル技術の登場以前に制定されたものであり、利便性向上や業務効率化を実現していくために、時代に合わせて見直していくことが重要です。
そこで今回は、アナログ規制見直しに向けた東京都の取組内容や進捗状況などをご紹介します!
アナログからデジタルへ。担当職員にインタビュー!
東京都では、2023年度から専門チームを作り、アナログ規制の見直しに取り組んでいます。
今回は、日々アナログ規制の見直しに尽力するデジタルサービス局の青柳さんと安田さんにお話を伺いました。
■取組のきっかけ
【青柳さん】
アナログ規制とは、「目視」や「書面による掲示」といった、アナログ的な手法を前提とする制度やルールのことです。
例えば、条例や規則に「現地調査」と記載されている場合、人が現地に赴いて調査を実施することが前提となっています。このようなルールについて、例えばカメラやドローン、オンラインを活用した調査も可能となるように規制を見直すことができれば、利便性向上や業務効率化につながります。
私たちのチームでは、このようにデジタル時代に合ったものへとルールを見直す取組を進めています。
【安田さん】
アナログ規制は「目視規制」「実地監査」など、大きく8つの分類に分けられています。それぞれの規制項目について、従来のアナログ的な手段の代わりになるデジタル技術を検討しながら、見直しに取り組んでいます。
【安田さん】
きっかけは、2021年11月に設置された国の「デジタル臨時行政調査会」でした。この調査会の中で、アナログ規制の点検・見直しや地方公共団体に対する取組支援方針が示されるなど、国が先行してアナログ規制の見直しに取り組んでおり、「地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直しマニュアル」などの資料も公表されています。
東京都でもアナログ的な手法を用いている条項が存在しており、このような規制を見直すことは課題でした。そこで、都民の利便性向上やデジタルを活用した効果的な仕事の進め方を確立するため、専門チームを作って見直しを進めることになりました。
■具体的な進め方
【安田さん】
最初のステップとして、全庁的なアナログ規制の洗い出し調査を実施しました。その結果、東京都では条例や規則等でアナログ規制に該当するものが約1,700条項あることを確認しました。
次のステップとして、洗い出した規定について、所管する各局と見直しに向けた議論を重ねました。それを踏まえて、今後の対応方針を定めた「工程表」を策定し、今回公表しています。
併せて、「工程表」に基づく見直しの進捗状況を見える化するため、ダッシュボードも作成・公表しました。ダッシュボード作成にあたっては、デジタル庁の方にもご支援をいただきました。
【安田さん】
このダッシュボードは、デジタル庁の公表しているダッシュボードと同じ構造にすることで、利用者目線で分かりやすいものにしました。
デジタル庁HPにも、「デザインの適応事例」として紹介されています。
【青柳さん】
単に規定を見直すだけでなく、各局と連携してそれぞれの業務に適したデジタル技術の導入を進めることで、利便性向上や業務効率化につなげるように心掛けています。
実際に見直しを進めていくには、現場で業務を担っている担当者の協力が必要不可欠です。そのため、現場担当者との意見交換を通じて、現場が抱えている課題やデジタル化のニーズを的確に引き出すことを意識しています。
■見直し事例
【青柳さん】
例えば、従来は庁舎へ行かないと閲覧できなかった法人の事業報告書等について、場所を選ばずオンラインで閲覧できるように見直した事例があります。現在、実際にシステムによる閲覧を開始しています。
他にも、資格取得のための講習について、対面での実施と併せて専用HPによるオンデマンド配信を開始した事例もあります。
アナログ規制を見直すことで、これまで「行かないと見られない」、「行かないと受けらない」ものについて、デジタル技術を活用した選択肢を増やすことができると考えています。そうすることで、都民目線では「便利になった!」、職員目線では「仕事が効率的になった!」と実感できることを目指しています。
【安田さん】
2024年1月に公表した「シン・トセイ4」では、2025年度末を目途にアナログ規制の見直しを実施していくことを掲げています。
今後も「工程表」に基づいてアナログ規制の見直しに取り組むとともに、見直しの進捗状況をダッシュボードで公表していきます。
QOS(都民サービスの質)をもっと向上させるために
今回は、アナログ規制の見直しに取り組む職員の声をお届けしました。
インタビューを通して、当然のことですが、単に規制見直しで終わらせるのではなく、その先の利便性向上や業務効率化に向けて取組を進めることが重要なのだと改めて感じました。
今後もポータルサイトやダッシュボードで進捗を「見える化」していきますので、是非ご覧ください!