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都庁ってまだFAX使ってるんですか?と、言われないために。

このところ、行政機関のFAX削減が話題となっていますが、都庁では「5つのレス」の推進の一環として、昨年6月より「FAXレス」の取組を進めています。

都庁のFAXレスの実績は、2020年6月には2019年度同月比23.1%削減だったものが、本年6月末には94.8%削減と、わずか1年で驚異的なスピードで取組が進んでいます。

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そこで、今回は都政の構造改革推進チームのデジタル改革担当課長、太田泰道さんに都庁におけるFAXレスの取組について報告していただきました。

デジタル改革担当課長太田泰道さん


都庁でFAXレスの取組がはじまったきっかけ

――――都庁におけるFAXレスの取組は昨年6月に始まりましたが、始まったきっかけについて教えてください。

新型コロナの発生届に関して、病院から保健所、保健所から都への報告でFAXが使用されており、感染者数が急増した当初、FAXを業務で使用していることで保健所の業務が目詰まりを起こしたことが話題になりました。(※現在は、医療機関からの発生届等を電子化して受信しています)

また、テレワーク推進にあたって、FAXの送信や受信確認のために都庁に出勤しなくてはならないということが課題となりました。実際に職員が印刷やFAX送受信のため、ほぼ1日中複合機の前に立ちっぱなしとなることもあるとの声も届いていました。

こうしたことを契機として、昨年6月よりFAX削減に向けた取組を始めました。まずは、FAXの実態を把握するため、実績件数を複合機のログや電話回線の記録をたどりながら整理し、都庁内の各局にヒアリングするところから始めました。


都庁でどうやってFAXレスを進めているの?

――――現在、都庁ではFAXレスをどのように進めているのでしょうか?

昨年9月、「都政の構造改革」において先導的に進める「コア・プロジェクト」の1つとして、これまでも進めていた「3つのレス(ペーパー、はんこ、キャッシュ)」に、コロナ禍を通じて対策が必要となった「FAXレス、タッチレス」の2つを加えた「5つのレス徹底推進プロジェクト」を立ち上げ、削減に向けた取組を全庁一丸となって進めていくこととなりました。

都政のDX推進に向けた「5つのレス」


都庁における取組は大きく3つの方針で進めました。

まずは、これまでFAXを使用していた業務について、メールなどのデジタルツールに代えるなど削減に向けた見直しを各局で行いました。

次に、都庁自らFAXを削減することとあわせ、都の相手方(組織・事業者)へFAXから電子メールへの切り替えの協力をお願いしました。

ただ、FAXを使っている業務の中に、都の相手側(都民の方、企業)などがFAXでなければ対応できないなどの事情もあるため、そうした「デジタルデバイド」等への対応も必要であることも取組を進める中で判明しました。

そこで、ここが都の取組の大きな特徴になりますが、そうしたFAXでないと対応が難しい業務についても、複合機の機能を活用し、都からの送信・都への受信両方を電子化することを徹底することにより、紙を使ったFAXの削減をしていくこととしました。

具体的には、都からの送信は、複合機の機能を活用し、PC端末から電子データで相手のFAX機器へ送信。都民・事業者から都への受信についても、都側の機器の設定変更などにより、紙ではなく電子データで受信することで紙ベースでのFAX送受信をなくしていくというものです。

このことにより、ペーパーレスの取組とあわせ、複合機に紙を取りに行く職員の手間と時間を削減し、都政のQOS向上につながるイノベーティブな仕事へシフトしていくことを目指しています。

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FAX送信の電子化はできます!

――――FAX送信の電子化ってどうやってやるんですか?

設定方法については使用している機器メーカーによって異なりますが、複合機等にパソコンを接続し、電話回線を使用してデータ送信を行ういわゆるPC-FAX機能(ペーパーレスファクス機能)を設定できます。

本機能を活用すると、紙を使用せずにパソコン上からWord、Excel、PDF等の電子データをFAX送信することが可能となります。

物理的にFAX機器の前にいなくても作業ができるようになるので、テレワーク時代にも適したFAX活用方法となります。

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FAXレスの目標

――――FAXレスの目標は2021年度に98%削減ですが、どのようにしてこの目標を設定したのでしょうか。

昨年10月、「DX推進に向けた5つのレス徹底方針」の中で、FAXレスの年度ごとの数値目標を掲げることにしました。

検討当初は、2021年度目標は90%削減(2019年度比)を取組のゴールとしていましたが、どうせやるのであれば100%廃止を目指そうということで、機器の故障などにより緊急で従来のFAXを使用する必要がある場合などを考慮し、98%を目標として設定しました。

2020年度は中間目標として60%削減の目標を掲げましたが、結果84.4%削減でクリアしました。

そして6月末現在、94.8%と取組が加速化しています。

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都庁のFAXレスの具体的な取組

――――都庁では具体的にどのようにしてFAXレスを進め、この6月末での94.8%削減を達成したのでしょうか?

まず、都庁内の各局ごとに削減計画を策定して取組を進めることにしました。

すると、削減を進めることが必要になっても、相手側の事情によりFAXを廃止することは難しい場合どういう手法を用いれば無くすことができるかわからなかったという問題点が出てきました。

そこで、FAXレスの好事例を展開するなど、実際にFAXを削減する都庁内の各局をサポートする体制を整えました。

具体的な好事例としては、不特定の外部からのFAX受信の未然防止や庁内外への取組啓発のため、HP・座席表・名刺・メール署名等からFAX番号を削除する事例。あるいは使用簿を作成し、件数や用途などの実態を把握する事例。さらには、これまでFAXにて修正依頼等を行っていた補助金や認可関係の書類について、可能なものは電子メールへ移行するなどの事例がありました。

また、都政の構造改革推進チームで、都庁内の局別の削減状況をダッシュボードで毎月見える化し、庁内に提示することで各局の取組をサポートしています。

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都庁におけるFAXレスの今後

――――FAXレス▲98%の達成に向けて、残り3.2%削減を実現するため、これから取り組むことを教えてください。

わずか1年でFAXレスの取組が驚異的なスピードで進んだのは、「都政の構造改革」の危機意識を共有し、取組を進めていただいた都庁内の各局のおかげだと思っています。この場で感謝申し上げます。

そのうえで、まだ紙でのFAXを使用している部署もあるので、そういう部署が抱えている課題を一緒に検討し、送受信の電子化への切り替えなどを早期に進め、年度内の目標達成を目指します。

――――太田さん、ありがとうございました。


都政の構造改革推進チームでは、はんこレス、ペーパーレス、FAXレス、キャッシュレスの進捗状況をダッシュボード化して毎月更新しています。ぜひ、ご覧ください!

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【ご意見募集】
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