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東京DXの新展開 "GovTech東京"設立構想を発表しました

本日、小池知事と宮坂副知事から、東京全体のDX推進を次なるステージへとステップアップさせる「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」を発表しました。

2019年8月、5Gネットワーク等の「電波の道」で「つながる東京」を実現する「TOKYO Data Highway」構想の発表から3年。

「TOKYO Data Highway」構想発表

東京のデジタル化を爆速で進めてきた2人が、これまでの延長線上にはない、東京全体のDXを推進するための新たな展開を発表しました。

場所は、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京」先行実施エリアである都心部に位置し、DXやイノベーション企業が集結する「Shin Tokyo 4TH」です。イベントでは、最初に小池知事よりプレゼンテーションを行った後、サイボウズ社長の青野様を招きトークセッションや質疑応答を行いました。

今回、都庁内外の力を結集してイノベーティブなサービスを生み出し、高度なデジタル人材を採用、また、都内区市町村も含めたDXを推進し、そして、行政と民間がフラットに協働する、新たなプラットフォームとして「新団体」を設立する構想を打ち出しました。

新団体の名称は、「GovTech東京」です。

「GovTech」(ガブテック)とは、「Government (行政)」と「Technology (テクノロジー)」をかけ合わせた言葉です。この新たに作る団体が、様々な行政課題をテクノロジーで解決し、行政サービスのイノベーションを生み出していく、という強い思いを込めました。

今回のnoteではこのイベントの様子と新団体設立構想のエッセンスをご紹介します。

"GovTech東京"設立構想に至った課題認識


今回の政策発表のイベントでは、まず、小池知事より今回の構想の発表に至った東京都の課題認識をプレゼンテーションしました。

これまで東京は、デジタル先進都市へと変貌を遂げるため、「爆速」で取組を進めてきました。

ペーパーレス55%削減、FAXレス99%削減、都民使用78施設の入場料等のキャッシュレス化完了、主要な行政手続のデジタル化94%完了、未来型オフィスへの転換、都民サービスに直結する各局リーディングプロジェクトの数の31から47への拡大など、着実に行政のデジタル化を推進してきました。

新型コロナウイルス感染症対策では、最新の感染動向を都民にタイムリーに伝えるサイトを短期間で立ち上げ、保健所業務のデジタル化も進め、業務の効率化や患者支援の強化を実現しています。

しかし、デジタル化に関する都民の満足度はいまだに低く、東京全体のDXの道のりには、様々な課題が残されています。

今後、あらゆる行政サービスを「デジタルサービス」として提供していく。そんな将来に向かっていくためには、現行スピードでは追いつきません

爆増するデジタルサービスを確実に提供するためには、質と量の両面から、高度化していく必要があります。東京全体のDXの取組を「スピードアップ」し、「スケールアップ」し、「クオリティアップ」することが急務です。

そのため、次の4つの方針を打ち出しました。

■方針1:DX推進に向け、政策イノベーションを生み出す新たな仕掛けをつくる

最初に、大方針です。

東京全体のDXを実現するためには、まず、「より多く」のデジタルサービスを「高い品質」で「スピーディー」に提供していかなければなりません。また、東京都だけではなく、住民サービスにより近い区市町村を含めたデジタル化を一気通貫・連携して進めていく必要があります。さらに、都庁の業務を支える多くの基盤システムの連携と効率化などにも取り組んでいく必要があります。

このように、DXの推進が質・量ともに大きな変革を求められる中、これまでのように都庁内部で組織や取組を強化するだけではこうした状況に十分に対応することができません。

そこで、民間など外部の様々なリソースやノウハウを効果的に活用し、都庁内部と外部の力を組み合わせることで新たなサービスを創出する「政策イノベーション」を生み出す「新たな仕掛け」をつくっていきます。

この方針1を具体化したものが、方針2~4です。

■方針2:高度なデジタル人材を採用・活用できる新たな仕組みをつくる

社会全体のDX推進が進むにつれて、民間では高報酬での待遇を打ち出すなど人材獲得競争が激しさを増し、デジタル人材需給の逼迫が続いています。

そこで、質的にも量的にも高まるデジタル人材の需要に応えていくため、給与制度・水準、勤務時間等の行政制度の壁を越え、採用力を高めることで、質の高い人材を迅速かつ柔軟に確保する仕組みをつくります。

■方針3:区市町村も含めた東京全体のDXを進める新たな枠組みをつくる

区市町村の各種システムや調達は個別の自治体ごとに行われており、デジタル人材やデジタル化のノウハウが圧倒的に不足する中、各自治体は対応に苦慮しています。

区市町村の人材確保や共同化のサービスを東京都が直接担うことは、行政の役割分担などの観点から課題も多いため、東京都と区市町村が「協働」してDXを効果的に進めるための新たな枠組みをつくっていきます。

■方針4:行政と民間とがフラットに「協働」する場をつくる

社会環境の変化や技術革新のスピードが速く、様々な課題が複雑に絡み合う現代社会においては、行政だけで課題を解決しようとするのではなく、民間の技術やアイデアを多方面から集め、官民協働で課題解決を進めることが有効です。

そのため、外部に新たなプラットフォームを創出し、そこを「出城」としてスタートアップなど外部の方々と日常的に交流し、外の文化を行政に取り入れることで、行政の組織文化の変貌新たな政策形成につなげていきます。

これら4つの方針をもとに、東京都と区市町村を含めた東京全体のDXを効果的に進めるため、行政と民間が協働して斬新でイノベーティブなサービスを生み出す新たなプラットフォームとして、今回、新団体「GovTech東京」を設立する構想(2023年予定)を打ち出しました。

東京都とGovTech東京の2つの組織が協働体制を構築し、これまでの延長線上ではない新たな仕掛けで「政策イノベーション」を起こし、東京全体のDXを牽引していきます。


"GovTech東京"は何をするのか?


では、GovTech東京は具体的に何をする組織なのか?その点について、小池知事のプレゼンテーションとあわせ、宮坂副知事からも説明をしました。

GovTech東京は、東京都のデジタルサービス局と連携し、都庁各局や区市町村のDX、デジタル人材の確保・育成、データ利活用など、6つの機能を発揮していきます。一つ一つの成功を積み重ねることで、信頼を得ながら事業を展開していきます。

その具体的な内容についてかいつまんでご紹介します。

■高度専門人材の力を行政に活かす

GovTech東京では、高い専門性をもつ多種多様なデジタル人材が、存分に活躍できる魅力的な制度を用意し、専門人材の力を行政に活かしていきます。公共に興味をもち、最新のスキルを有する、意欲ある若手層などを積極的に採用します。

そして、行政での経験を身に付けた専門人材が、将来は自治体でCIO等を担う人材としてキャリアアップするなど、公的セクターで活躍・貢献できる公共部門の人材輩出組織を目指します。

■区市町村DX:デジタル人材共同活用の新たな仕組み

区市町村のDXでは、GovTech東京がデジタル人材を確保し、区市町村とシェアリングする取組を進めていきます。

■区市町村DX:共同調達の新たな枠組み

また、デジタル機器やソフトウェアなどを区市町村と「共同調達」する新たな枠組みも作っていきます。

■官民がフラットに共創し、政策イノベーションを生み出す

さらに、官民がフラットに共創し、新たなサービスを生み出す「共創ラボ」を設けます。「テックカルチャー」と「行政カルチャー」を融合させた政策イノベーションを生み出していきたいと考えています。


サイボウズ青野様を交えたトークセッション:海外の先進機関からビデオメッセージも


イベントでは政策発表後、子育てしやすい社会に向けた「育業」の実践等で都政への助言をいただいているサイボウズの青野様を交え、小池知事とトークセッションを行いました。

今回の設立構想について青野様から「とてもワクワクしています。デジタルによってみんながつながっていい社会を作る。そこに向かっていくことが、都民として涙が出るほど嬉しいです。」とコメントをいただき、会場も盛り上がりました。「都庁だけでなく、区市町村、民間も含めた協働の取組で東京全体でデジタル化を進めていこうとする姿勢が素晴らしい」というコメントもいただきました。

また、GovTech東京と同様に官と民の間に立ち、行政のデジタル化を進めている海外の先進機関であるデンマークのKOMBITと英国のLOTIから、今回の構想についてお祝いのビデオメッセージをお寄せいただきました。

デンマークKOMBITのトーマス・クリステンセンさんからは「皆さんの新しい組織が行政デジタルサービスを発展させ、私たちがここデンマークで見てきたように、市民満足度の高いサービスを提供できることを確信しています。」

イギリスLOTIのエディ・コープランドさんからは「成功をお祈りいたします。この先長きにわたって、我々が得た教訓をみなさんと分かち合えることを楽しみにしています。おめでとうございます。」

とコメントをいただきました。

小池知事は、「共創がキーワードです。スタートアップでも都庁を飛び出し「出島」で民間の声を取り入れていこうとしていますが、今回、GovTech東京でも同じように、区市町村をはじめ、さまざまな皆様と交わることでオープンイノベーションを起こしていきたいと思います。区市町村の皆様、民間の皆様と連携していきたい」との思いを語りました。

* * *

イベント後、宮坂副知事も参加した区市町村CIOフォーラムで、区市町村のみなさまと今回の構想について率直な意見交換を行いました。GovTech東京への期待も語られ、今後、議論を重ねていくことになりました。


ご意見をお寄せください


今回のGovTech構想を含めた「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」は近く都議会にも報告し、区市町村の皆様や都民、事業者の皆様のご意見をいただきながら具体化に向けた検討を進めていきます。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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