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戦争が始まる理由、現代の平和を保つ方法

皆さんこんにちは。今日はプログラムとは全く異なるテーマで書こうと思います。ご存知の方もいるかも知れませんが、私、結構なミリオタでありまして、自衛隊のイベント(陸上自衛隊総合火力演習観閲式観艦式)があれば積極的に参加している時期がありました。

私は、組織の戦闘行為がなぜ起こるのか(皆戦争とかやりたくないじゃん?)、どういう状況になれば戦闘行為が始まるのか?今の世界秩序や平和はどうやって保たれているのか?日本はどうやって安全を保っているのかを考えるのが好きで、色々と調べごとをしている事がありました。

力の空白が生まれた時、これが火蓋を切る合図

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国家による戦争が始まるタイミングはいくつかありますが、決定的になるのは特定の地域を支配していた力が無くなった時です。実例としては、フィリピンからアメリカ軍が撤退したことによる、中国による南沙諸島の制圧です。強いやつが居なくなったので、次に強いやつが地域を支配しに来ます。その他、戦闘行為がスタートする条件として、

・「払う命と経済的なコスト」と「奪える利権によるメリット」で、後者が上回った場合
・条約によって、戦闘行為に参加せざるを得ない状況

上記のような条件が揃っても戦争行為が始まります。つまり、戦争とは感情的に発生するものでは無く、極めて経済的に合理的な判断で行われます。ようは、コストに見合わない喧嘩はしないのです。

誰も痛い思いはしたくない

戦争を行う当事者もバカではありません。勝てる見込みが無ければ基本的に戦争は起こしません。負けると分かって戦いを挑みに行く人は少ないでしょう?

現代の平和というのは、①やったらやり返される②やったらバックにいる強大な軍事国家が戦闘行為に参加してくる③奪ったとしても莫大なコストがかかるという3つの理由で戦争が起こることを防いでいます。

1のやったらやり返されるの具体例は、戦略原潜による核抑止等です。常に核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(世界中どこでも狙える)をいつでも撃てる状態にした上で潜水艦に搭載し、24時間365日、常にどこかの海に潜んでいる状態を作り出します。こうすることで、仮に本国が核戦力によって攻撃を受けても、相手に同じだけのダメージで反撃することができます。やったらやられるので、先制攻撃をするのもやめておこう。このような仕組みで核戦力から守ることを核抑止といいます。

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2のやったらバックにいる強大な軍事国家が戦闘行為に参加してくる、というのは、一番わかり易い例で言えば「日米安保条約」ですね。日本が他国から侵略された場合、アメリカ軍も日本を守るために戦わなければなりません。仮に日本の侵略を考える敵は、日本と同時に世界一の規模を誇るアメリカ軍とも相手をしなければならなくなります。「日本だけなら何とかなるけど、流石にアメリカは困るな」といった状況を作り出し、戦闘行為を思いとどまらせます。

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3の奪ったとしても莫大なコストがかかるについては、仮に戦争を行って勝ったとしても、相当な代償を支払う事になる状況を作り出して、戦闘行為を思いとどまらせる方法です。これはスイスや日本が主に使っている手段です。

日本の防衛方針はどの様になっているか

軍事組織ほど目的に沿って効率的に作られている組織はありません(会社も見習いたい)。先でも述べましたが、「日本は奪うのは難しい」「バックに強力な国が付いている」状況を作り出すことで現状を維持しています。

しかしながら、たとえ条約があるとは言え、実際に戦争状態になって助けてくれるのかどうかは神のみぞ知る事です。仮に支援が受けられない状態でも自力で領土を守る必要があります。それでは、日本は一体どのような目的でどのような兵器を配備しているのでしょうか。

日本の島嶼防衛は、侵略をされた場合、侵略をされる前の状態に戻すことを主としている

これは主に離島を占領された場合の有事を想定しています。近年、ソ連の軍事的脅威が去り、本土防衛(特に北海道)から中国軍を念頭に置いた島嶼防衛に防衛戦略がシフトしています。

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島嶼防衛の基本作戦は、獲らせて取り返すです。離島は四方を海に囲まれています。敵からすると、離島を占領状態にしておく場合、大量の物資(武器弾薬食料など)の絶え間ぬ海上輸送(これを兵站といいます)を続ける事が必須条件になります。そこで地理的優位(離島から基地までの距離が日本のほうが近い)にある日本は、一旦離島を獲らせた後、離島への補給路を潜水艦、航空機、空対艦ミサイルなどで寸断し、離島にいる侵略部隊を孤立・干上がらせる事、迅速かつ段階的に部隊や兵器を移動させ、効率よく奪い返す作戦を展開する事が予想されます(上の図を参照)。

↑島嶼防衛の作戦概要が見られます。

日本を占領するには大規模なコストを支払う状態にする

第二に、日本本土防衛は、装備を見ると、日本への侵略を難しくすることを基本原則としています。これから細かく解説をしていきます。

本土に戦車を大量に配備、迅速展開可能な状態にする

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現在日本には、主力の10式戦車(111輌)、90式戦車(341輌)、16式機動戦闘車(109輌/今後増えます)が配備されています。「日本には陸上戦闘は起きないのだから、戦車は必要ないだろう?」という意見がありますが、これは大きな間違いです。

基本、戦車に対抗するには戦車を持ってくるほか手段はありません。これはどういうことか。戦車を海を超えて、400輌以上日本に運んでくるにはどのような準備が必要になるか、想像できますでしょうか?これから日本を侵略しようとする軍隊の立場に立って考えてみましょう。

大量に戦車を運ぶには、大きな輸送船が必要に

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通常の車よりだいぶ重たい戦車を、はるばる海を超えて運ぶには、専用の輸送船が必要条件になります。それも1隻や2隻では足りません。まず大量の戦車の輸送が可能になる輸送船を用意する必要があります(写真は日本のおおすみ型輸送艦)。

ですが、戦争状態になった場合、みすみす輸送船だけで戦車を運んできて、素直に日本に上陸させてくれるでしょうか?そうではないですよね。

輸送船を守るために、輸送船の護衛船団を形成させなければならない

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大量の武器弾薬や食料、そして戦車を運ぶ輸送船は最も標的にされやすい目標です。これを守るために実に様々な護衛兵器を併走させなければなりません。輸送船を海の藻屑とする手段等いくらでも存在するからです(写真はアメリカ海軍の空母機動部隊の最低編成)。

航空機から放たれる空対艦ミサイルに対する防衛

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大切な輸送船を空からの驚異から守るために、駆逐艦(ミサイルを迎撃して防衛する専用の艦)の配備が必要になります。また、日本には、山の奥から洋上の船に向けて放つことができる地対艦ミサイルも多数配備されています。これらの驚異から輸送船を護衛するために、複数の駆逐艦を最低でも、日本が保有している空対艦ミサイル、地対艦ミサイルの数に対応し迎撃できるだけの物量を用意する必要があります。

水中から狙われる魚雷に対する防衛

そうりゅう型潜水艦

空からでもなく、水中の驚異からも護衛艦を守らなければなりません。日本には最新鋭のそうりゅう型潜水艦が複数配備されており、大変優れた静寂性(見つけにくい)、優秀な魚雷による攻撃システムを有しています。これらの驚異に対抗するために、やはり水中戦に特化した兵器(駆逐艦や哨戒機/潜水艦を発見することに特化した航空機)を同時に運用する必要性があります(写真はそうりゅう型潜水艦、艦の先端が緑になっていると言うことは、相当長い時間運行していたことになる)。

世界第二位の規模を誇る海上戦闘力に対する防衛

Wikipedieaによると、日本の海上自衛隊が誇る戦闘力はアメリカ軍に次ぐ世界第二位の規模です。実に高度に組織化された水上戦闘力を有する脅威に対抗する必要があります。日本本土や上空、更には水中でもこれだけ防護網が構築されていますが、日本の戦闘艦(例えばイージス艦等)に対しても有効な防護網を構築する必要があります。

日本を攻めるには大規模な作戦が必要

いかがでしょうか?日本一つを落とすのにも、ここまで大規模な作戦が必要で、膨大な海上戦力、航空戦力、さらには大量の人員や金が必要になってきます。日本は「日本攻めんのめんどくせぇ、めっちゃコスパ悪い」こう言う状況を作り出すための配備になっています。すごくコスパ悪いでしょう笑

それでいて、アメリカ軍も参戦してくるって、落とすの無理ゲー…

しかも事前に察知される笑

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日本は独自の偵察衛星を少なくとも8基運用中です。私の予想では、恐らく気象衛星ひまわりも偵察衛星としての機能があるんじゃないかと思っています笑(だって性能高すぎるんだもんw)

これだけ大規模な作戦を、偵察衛星から監視されている状況下で、秘密裏に行えるはずがありません。作戦の兆候を察知されたら、相手に対抗する準備時間を与えることになるので、計画はできても、簡単には実行することができないということです。

こうやって、世界は拮抗する軍事力を使って平和を保っているというのが、今の状態であり、世界秩序のベースなんですね〜。


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