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『テネット』と考える平和な未来の守り方<前編>
はじめに
最近『オッペンハイマー』で話題の監督クリストファー・ノーラン。今回取り上げるのは、同監督の映画『テネット』だ。
この映画、なぜか冒頭ウクライナにあるオペラハウスのテロシーンから始まる。
映画が公開されたのは2020年。ウクライナ侵攻の2年前。
キエフでの銃撃戦が、日常を破壊されたウクライナ侵攻と重なり、少し陰鬱な気持ちになる。
主人公のアメリカ人の男は、第三次世界大戦を防ぐため、ある任務に任命される。
鍵となるのが、時間の「逆行」だ。このアイディアが、映画に独創的な映像効果を生み出している。
アインシュタインは、「第三次世界大戦で核を使えば、人類は第四次世界大戦で斧を使うだろう」という言葉を残した。
映画『テネット』とともに、今回は、第三次世界大戦を避ける方法を私なりに考えてみたい。
鍵は時間の方向?
クールでスタイリッシュなイメージとは裏腹に、クリストフクァー・ノーラン監督の作品は「後悔」や「罪悪感」といった人間らしい感情を軸にドラマが展開する。
映画『インセプション』ではレオナルド・ディカプリオ演じる主人公は、亡くなった妻の亡霊にとりつかれている。
『テネット』の主人公も、望まない現実に直面し、「後悔」と「悪感感」を抱き、必死でその現実を変えようと努力する。
しかし、現実では死んだ人間を生き返らせることは出来ない。
覆水盆に返らず。後悔は先に立たない。
そこで鍵となるのが、映画に登場する「逆行」というアイディアだ。
この未来技術によって、時間を巻き戻すという、魔法のような事が映画では可能になる。
ここからが本題
映画のなかで、時間というのは、後ろから前へ進むと説明がある。
しかし、だ。
時間は、本当に後ろから前へ進んでいるのだろうか?
ある人が以前、こう語った。
多くの人は、時間というのは、過去から未来に流れると考える。
しかし、本当は時間というのは、未来から過去へ、前から後ろへ流れるというのだ。
川の流れに例えると、分かりやすいかもしれない。
川の水は、上流から下流に流れる。先に上流の水があり、その後、下流の水が存在する。
それでも、この人の考えは私には少し奇妙に思える。
「今日」の後に「明日」が来るのであって、「明日」の後に「今日」はやって来ない。(それはまさに『逆行』するテネットの世界だ)
しかしこの人が言いたいのは、どうやらそういう事ではないらしいのだ。
大切なのは意思
人には意思というものがある。
お腹が空いたなあ、ご飯が食べたいなあ。
そう思うからこそ、人は火を使い、鍋を炊き、食事を作り、腹を満たす。
この人が言いたいのは、最初にあるのは、ご飯を食べたいという意思であり、ビジョン、未来だというのだ。
ご飯を食べたいと思うイメージがあるからこそ、ご飯を食べるという現在が存在し、ご飯を食べたという過去が生まれる。
私たちには自由意思がある
朝食はご飯かパンか。卵は食べるか。コーヒーは飲むか。家で食べるか、外で食べるか。
朝起きた瞬間、無数の選択肢と、その先に無限の世界が拡がっている。
※続きは後編にて。