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【連載】第3次本州紀行~苫小牧→八戸→仙台→苫小牧~第1話「北海道脱出」 ※ホテル禁止

0.はじめに

【旅の概要】
・ルート
北海道苫小牧市(西港)~(シルバーフェリー)~青森県八戸市(八戸港)~(東北本線)~宮城県仙台市~(仙石線)~中野栄~(徒歩)~仙台港~(太平洋フェリー)~苫小牧西港~室蘭線(岩苫線)

・目的
ホテルを使わない旅を実行する
長距離フェリーで酔わないかどうか、乗り心地を確認する
ブックオフを1店舗以上訪問する
仙台駅と周辺の喧騒度をチェックする


前回(第二次本州紀行)でフェリーに初乗船した私は、酔いに悩まされることなく、旅を完遂しました。しかし、アポ無し宿確保に失敗するなど、課題が多く残った旅でもありました。事前に予約しとけ、って話ではあるんですが、元々面倒くさがりな性格もあるし、旅程が縛られるのを嫌ってホテルの予約にはあまり気乗りしない状況が続いています。しかも、全国チェーンのホテルは大都市資本なので、泊まったところで地元にお金が落ちない、という構造上の問題もあります(この点は藤井聡著『クルマを捨ててこそ地方は甦る』で学習済みです)。
そこで、船をホテル代わりにして旅する作戦を思いつきました。これならホテルを予約する必要はありません。船で寝泊まりすればよいだけですからね。長距離航路がたくさん設定されている北海道民ならではの旅といえるかもしれません。
今回はそんなホテル禁止の船旅シリーズの第1弾です。連載でお届けし、完結したら一つの記事にまとめる予定です。


1.北海道脱出編(苫小牧西港フェリーターミナルへ)

今回の旅はJR千歳線・新札幌駅から始まる。ダイヤ改正により、日中の苫小牧行普通列車が消滅してしまい、頼みの綱である白石駅が著しく不便になってしまったためである。かといって喧しい札幌駅から始めるつもりは毛頭ないので、新札幌駅に白羽の矢が立った、というわけだ。
乗車する列車は通常の快速エアポートの指定席。本来私は快速エアポートは嫌いだし、ましてや指定席課金などしないのだが、千歳方面に行く列車が実質これしかないのだから仕方ない。しかも今回は長距離航路に初挑戦する、ということでなるべく快適に移動したい。というわけでUシートを選択した。せっかくだから新設の区間快速に乗ってみるのも良かったかもしれないが、時間が合わなかったので断念した。
というか、本来は特急北斗に乗る予定だったが、時刻表を見ると快速エアポートで千歳まで行き、そこから苫小牧行に乗ったほうが早く着くことが判明したため、急遽予定変更した、というのが正しい。計画性ゼロだな、我ながらwww
さらに言うと、フェリーの出港まで時間があることを考慮すると、千歳線経由ではなく、岩見沢経由(室蘭線)という方法もあった。そういう意味で、今回の旅、なにかと初っ端からガバガバな感じが否めない。
まあいいだろう。気にしたら負けだ。

快速エアポート

さすがにUシートは快適だ。ロングシートと違って乗り心地も良い。最も、これだけのために毎回課金するのは気が引ける。今回のような未知の長距離旅に行く、つまり体力を温存しておきたいときのみに使う、切札的存在にとどめておくべきだろう。所詮私は庶民、貧乏旅の域を出ないのだ。
だがそれがいい。上級国民には決してできない旅をするのが私の目標なのだから。
苫小牧行の普通列車は千歳駅発着のため、快速も千歳までで良かったのだが、誤って南千歳まで買ってしまったため、南千歳まで乗り、下車。
しかし、予想に反して列車待ちの客が多い。帰宅時間と被ったのもあるだろうが、今回のダイヤ改正(改悪)によって苫小牧直通がなくなったせいで乗り換えを余儀なくされた人たちだろう。苫小牧程度の距離で特急を使うのは馬鹿らしいし。このダイヤ改悪については別の記事で詳しく語ることにして、先を進める。

千歳からやってきた列車に乗っている客も多い。やはり始発の千歳から乗るべきだったようだ。次回に活かそう。先日の港下見で下車した植苗駅を過ぎ、沼ノ端を過ぎ、苫小牧へ到着。日高と空知、胆振を結ぶ交通の要衝だ。何度も世話になっている駅でもある。

苫小牧駅


下車してルートイン方面に歩き、給水場所へ向かうが、断水されていて使えない。しまった。春先だから水が止まっていたのか?これは私の見立てが甘かった。
まあいい。水は他の場所で確保することにしよう。まだ慌てるような時間じゃない。
国道36号を横切り、臨海道路の方へ歩いていく。海産物の店やホッキ貝資料館などがある。苫小牧市街はだだっ広すぎて歩くのは大変な街でもある。そもそも国道と駅が離れすぎている(美唄、砂川なんて国道からすぐだし)。もう少しコンパクトにまとまってくれると助かるのだが。

港公園と呼ばれる誰もいない公園で少し休む。荷物も重いので休憩は大事だ。休憩を終え、以前美術博物館を訪れた帰りに通った道( 自遊空間がある)を歩き、西港フェリーターミナルへ到着する。

苫小牧西港フェリーターミナル


大洗(茨城県)行と仙台行フェリーの乗客が待合室にたくさんいるため、少々うるさい。もう少し時間をずらしても良かっただろう。私の旅に喧騒は似合わない。いかに静かに、クールにまとめるかが目標だ。
それはいいとして、売店でヨーグルト風味のアクエリアスと酔止めを購入。酔ってからでも効果があるらしいが、本当だろうか。
食堂であんかけごはんを注文し、夕食とする。なかなかボリュームがあるので、出航前の食事としては十分だ。
墨絵の展示会がまだやっていたので、鑑賞し、感想をノートに記入する。
2航路の乗客が船に乗り込むと、待合室は一気に静かになる(こういうので良いんだよ!と言いたくなる適度な静寂感だ)。
今回乗るのは苫小牧21:15発、八戸4:45着の便。観光には使いづらい便なのだろう。乗船開始になっても、観光客らしき人は少ない。乗り込み口ではひとり旅らしき男性が船の写真撮影をしていた。同業者かもしれない。

シルバープリンセス

船内ではトラックドライバーと思われる人が多い。前回の大間や青森のフェリーと雰囲気が全然違う。まあ子どもばかりでうるさいよりはこちらの方が良いだろう。
部屋に向かうと、そこは個室であった。てっきり雑魚寝か二段ベッドかと思っていたが…。
部屋はQRコードをかざしてロックを解除するタイプだった。しかし、何度試しても開かない。そこにおじさんが現れ、「部屋は合ってるのかい?」と聞かれたので、扉を見ると、間違っていたようだ。後ろの部屋が正解らしい。
おじさんに礼を言い、部屋へ入った。
部屋は広くないが、コンセントや机、スタンドも用意されていて、快適に過ごせそうだ。
浴室もあるとのことで入浴へ向かう。しかし満員…と思ったらそこはドライバーズルームだった。一般の浴室は別にあるらしい。
展望浴室へ向かう。揺れながらの入浴は初めてで、なかなか慣れない感じではある。船酔いが心配になってきた。結果的には大丈夫だったが…。

就寝し、夜明けを待つ。しかし大型船とはいえ揺れるので、ビジネスホテルのように安眠とはいかない。睡眠精度は高くなく、中途半端な眠りとなった。
翌3:00頃部屋を出て、パブリックスペースに出る。備え付きの自販機でアイスを購入し、到着を待つ。東奥日報で青森県のニュースを確認する。
出航後は酔いを恐れて読書はしなかった。出航前に前回下見で買っておいた『八甲田山死の彷徨』を少しだけ読んでおいた。

新田次郎『八甲田山死の彷徨』


到着前にシルバーフェリーの歌が流れる。叙情的というよりか、さわやかな曲調だ。リンクを貼っておくので聞いてみてほしい。短い曲だが、清々しい。
定刻通り到着し、下船。フェリーターミナルは殺風景で、思っていたのとぜんぜん違う。てっきり海鮮市場でもあるのかと思っていたが…。苫小牧より八戸の方が人口は多いが、フェリーターミナルは苫小牧のほうが大きいらしい。
飼料の工場をはじめ、工場関係の立地が多い点は苫小牧と同じで、太平洋ベルト特有の埃っぽい雰囲気が漂う。函館や大間のような旅情はない。まあ、あくまで貨物がメインで旅客はおまけなので、港に旅情を求めるほうが間違いなのかもしれないが…。(つづく)

八戸港フェリーターミナル



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