【連載】第6次本州紀行~苫小牧→名古屋→大阪→敦賀→苫小牧~第4話「島々」 ※ホテル禁止
(3)3日目「島々」
5:00起床。ようやく本日名古屋港に着く。と言ってもまだ先の話だが。
日の出を拝む元気もない(というか終わってた)ので船内テレビでも観る。SLやまぐち号の復活、宇都宮LRTの様子などが放送されていた。特にLRTはなかなかスマートで、しかも速い。結構人気があるらしい。
早朝のデッキへ。洋上には日に照らされた銀波がさざめく。
好天だ。気温も丁度良く、船旅の終点にふさわしい空模様となった。ただ、名古屋は暑い地域だと聞いている。洋上と陸上で体感温度はかなり違うだろうから、その点が心配ではあるが…。
風に当たりすぎて身体が冷えすぎたようだ。船内に戻って休もう。洋上の風も度が過ぎると良くない。
結局最後の朝食も辞退。売店で買ったクロワッサン、野菜ジュース、アイスという軽食トリオで済ませる。まあいいだろう。大事なのは食事ではない。旅情だ。と言いつつも、こうした経験が後の考え方に影響を与えることにはなるのだが・・・。
船内アナウンスで観光名所が紹介される。島崎藤村の詩集、三島由紀夫『潮騒』の舞台になった島、中部国際空港や、名古屋港近くの3つの橋の紹介など、さすがは太平洋屈指の大都市といった風格を感じる。どうでもいいが、空港名の「セントレア」はどうにかならないものか…。横文字信仰などせず、漢字文化圏らしく独自路線を貫けばよいと思うのだけれど…。
隣の寝台で眠っていた方も下船準備を始めたようだ。メットがあるのでバイク乗りだろうか。
私は待つ。静寂が訪れるまで。
到着が近づき、太平洋フェリーのテーマ曲が流れる。
さあ、40時間の船旅も間もなく終焉を迎える。文章にすると長大感は削がれるが、実際は結構退屈で、なかなかしんどい側面もあった。しかし、逆に言えばこの長編に耐えることができれば自信はつく。国内の船旅ならもう大丈夫だろう。ただし、揺れが激しくない場合に限るがww
まもなく、終点の名古屋に到着だ。
ここからが本番である。
(続く)