【連載】第5次本州紀行~小樽→新潟→酒田→青森→北海道~ 第2話「迷走」日本海~新潟駅(本州上陸編) ※ホテル禁止
2.本州上陸編
(1)日本海~新潟駅「迷走」
出航早々、強風によってデッキが閉鎖されてしまった…と思いきや、開いているデッキもあるようだ。日本海はかなり風が強いのだろうか。
最上階のデッキでは「プロジェクトX」や「ヨーロッパ トラムの旅」が放送されていた。プロジェクトXは黒四ダムの建設にフォーカスした番組だった。かなりの難工事の末に完成したのだという。
食事はバイキング形式ではなく、端末で入力して注文するスタイルらしい。なかなか近代的である。ごはん、冷奴など日本食中心のメニューを頼んだ。
船内はそこそこ人がいるけれど、太平洋フェリーよりは少ない印象を受けた。今や船の主流も日本海から太平洋に移ってしまったのだろうか。
いや、そんなことはない。たった1回の乗船でわかることなど、たかが知れている。もっと観察しないとわからないだろう。
部屋は通常の寝台だった。庶民の私はこれで良い。余計なオプションはいらない…と言いつつも、部屋のテレビで現地の番組が観れたら嬉しい…なんて考えたりもするがwww
翌朝も特に問題はなく起床。食事を摂り、到着を待つ。
新潟の街が見えてきた。
日本海側最大の都市だけあり、かなりの規模だ。港湾周辺も仙台に劣らないレベルの工業地帯と言えよう。遠くには高層ビルも見える。
新潟港到着。フェリーターミナルは簡素だった。バスも出ているらしいが、駅まで徒歩圏内なので歩いて向かう。何しろ、仙台みたいに並ぶことになったら旅情が一気に削がれてしまうからだ。
横向きの歩行者信号、「北海道航路」と書かれた青看板など、ご当地オブジェクト、表示が見受けられる。わざわざ「北海道」と書いてあるのは、おそらく佐渡島へ向かう「佐渡航路」と区別するためであろう。
国道113号を進み、新潟方面に向かうが、途中で歩道がなくなってしまう。自動車社会なので、歩行者など知ったことか、という感じの設計である。こんな様子では文明は進歩しても人心は荒廃していくだろう。あんな金属の塊に引き篭もっていて優しい心など、育つわけがないからだ。わずか数年クルマを乗って、今は廃車にした筆者の感想に過ぎないが…。
危険なので迂回路を探していると、巨大な工業エリアに入り込んだ。
エネルギー関係の企業だろうか。
巨大な施設のせいで見通しが悪くなり、新潟駅はおろか、新潟の町並みも全く見えない。どこかに高台でもあれば良いのだが…。
…少し不安になってきた。駅に無事着けるのだろうか。
事前に購入しておいた青汁を飲み、水分を補給しながら進む。猛暑ではないが、太陽も照ってそれなりの気温だ。熱中症には気をつけなければならない。
進行方向左手に線路が敷かれている。とりあえず、これをヒントにして進むか…。といっても、線路に沿って進むのは結構難しい。跨線橋や高架の存在で、否が応でも線路から引き離されることが往々にしてあるからだ。
交差点にぶつかる。まずい。どっちだ?!
文明の利器・Google Mapナビを起動させるも、向いている方向が正確に反映されなかった影響で進行方向がわからず、少し足止めを喰らう。
本来はナビに頼らず歩くべきなのだが、土地勘がないので結構厳しい。
一応、全国版の道路地図は所持しているが、新潟限定の地図も購入し、研究すべきだったかもしれない。観光用の地図も便利だが、まずは大局的に地理を把握し、地名や交差点の箇所、自身が進んでいる方向を調べないと、現地で迷うことは必至だ。おまけに、グーグルマップを起動するとバッテリーを著しく消費するため、緊急連絡時に支障をきたす恐れもある。
やはり、いくら方向音痴とはいえ、大局的な地図はしっかり頭に入れておいたほうが賢明なのだろう。何よりナビ頼みではガイド付きのツアーと大差ないではないか。私がやりたいのはツアーではなく「冒険」なのだ。この点に関して、自身の不甲斐なさを痛感せざるを得なかった。
狭い生活道路を抜けると、神社が見えた。しかし、駅に着くまでは安心できないので、参拝は見送る。焦らず小休止するのも悪くないが、土地勘がないとどうしても先を急いでしまう。
国道7号を横切って駅前通りに向かう。青森県から延々と続いてきた7号線はここ新潟が終点となり、ここから先は京都方面まで国道8号が繋いでいる。
今回はこの国道7号に概ね沿っている「羽越本線」を北上して青森に向かう手筈になっている。
「万代シティ」行のバスに追い抜かれる。今回訪問するブックオフも万代にある。名前から察するに、新興のショッピングセンター街だろう。船内のお土産で購入「万代バスセンターのカレー」を買ったが、カレーも美味しいらしい。
さすが日本海側の大都会だけあって、アニメイト、メロンブックスなんかもある。ドリキャスソフトはあるだろうか?
大きな歩道橋が見えたところで左折し、駅前通りへと歩を進める。さすがに中心部なので、人通りは多くにぎやかだ。
駅前には謎の行列があった。バスかタクシーを待っているのだろうか。
再開発中のため、少し迂回して新潟駅に入る。
駅に隣接した謎のカフェに謎の人だかりができている。よくわからないが、話題のお菓子でも売られているのだろうか。観光客というより、地元民っぽい人が並んでいる気がする。何せ北海道から来た私は全然わからないしww
地元の人にとっては日常でも、私にとっては珍しい光景。これぞ旅人の特権なのだろう。
新幹線接続駅のため駅は大きいが、地下鉄はないので仙台ほどのダンジョン感はない。上野はさすがに迷ったが、このくらいなら迷わずホームに行くことができそうだ。
路線図とホーム番号を確認し、駅を後にする。まずはブックオフ訪問のため、万代方面へ足を伸ばす。
15分ほどで到着。ブックオフ万代店はスーパーが併結されていた。食料補給も同時に行えるのはありがたい。
肝心のブックオフだが、CD、書籍が強い。トルストイの『戦争と平和』が新潮文庫、光文社古典新訳文庫、両方置いてある。これは珍しい。
反面、ゲームソフトは弱い。PS2は少なく、ドリキャスは全く無かった。
ただレアソフトもあり、PS1『トワイライトシンドローム』が目玉だった。もっとも、高価なので簡単には手が出せないがwww
森山大道『路上スナップのススメ』などいくつかの本を購入し、1階の食料品店で補給する。セルフレジに挑戦したが、なぜかバーコードの重複読み取りが発生してしまった。そのため、備え付けの端末で店員のお姉さんを呼んで直してもらった。毎度思うのだが、人がやった方が早くないか?こんな無機質な機械で「コストカット」をして従業員も客も雑に扱うのはどうも解せない。
効率が悪い?いいじゃないか、少しくらい悪くても。
過剰な効率性の追求は、かえって人間らしさを損なうだけだろう。
以前読んだ鉄道関係の書籍によると、この先の酒田ではあまり補給場所が用意されていないらしく、新潟を出る前にある程度補給しておかなければならない。酒田以北も乗り継ぎ時間が少ないため、ここが実質最後の補給場所となっている。かといって一気に買い込むと荷物が重くなってしまう。
そう考えると、「コストカット」を理由に車内販売を取りやめる鉄道会社の方針に腹が立ってこなくもない。
買い物終了。駅に戻る。まだ時間があるので食事タイムだ。
暑い中歩いてきたので腹が減っており、食事はスムーズに進む。もっとも、周りはビルと駐車場ばかりで、風光明媚とは言い難いが…。
食事完了。駅で時刻表を見ると、見慣れない行き先がたくさん書かれている。巻行、吉田行、柏崎行…いろいろある。
直江津行の特急「しらゆき」は意外と本数が少なかった。やはり、日本海側の列車本数は少ないのか…?
この度乗る列車は特急いなほ号・秋田行だ。本来は酒田までしか運転されないが、GW中ということで秋田まで延長運転されるとのこと。
いなほは酒田までの運転も多く、秋田直行便は多くない。やはり仙台に一極集中しているせいで、新潟-秋田の流動が少ないのだろう。しかもその先、青森への「つがる」との接続も悪い。日本海縦断は距離以上に大変なのだ。
ちなみにきっぷは地元で購入済み。第3回のときのように、駅員の無知に振り回されるのが嫌だからだ。
ホームへの階段を昇ると、越後線の普通列車が発車準備をしていた。乗客はそこまで多くなさそうで、ローカルムードが漂っていた。
いなほのホームでは「自由席はこちら」と書かれた旗を持った女性駅員がおり、すれ違いざま「こんにちは」と挨拶されたので、私も返す。
大都会新潟と聞けば、都会に毒された無愛想な駅員しかいないのか、と思っていたが、これは嬉しい誤算といっていい。
前回上野で無愛想かつ冷たい駅員に出くわしたので、多少嬉しくなる。
無愛想で事務的な対応しかしない女の人も世の中に多いが、元気な応対はとてもよいことだ。小賢しい化粧品に頼るより、少女時代の快活さを失わない女性の方が若く、美しく見えるし、良い年の重ね方をするのではないだろうか。まあ別にどうでもいいけどwww
階段下からは3人組の男性駅員が登ってくる。
「今日、忙しいんじゃね?」
「いや、指定席なら・・・」
とのこと。
さあ、どうなるか…。
いなほ号入線。大混雑を予想していたが、そうでもない。
まあ一応念には念を入れ、指定席を確保していたので争奪戦に参加する苦役からは解放されている。自由席には旗を持った誘導員の後ろにそこそこの列が作られていた。
東日本の在来特急は初めてなので、アナウンスや乗り心地など、しっかり確認しておこう。
男性アナウンスは東日本専用だが、女性の英語アナウンスは北海道と同じだ。聞き馴染みがある。
さあ、発車だ。まだまだ先は長い。
(続く)
興味を持った方はサポートお願いします! いただいたサポートは記事作成・発見のために 使わせていただきます!