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お客様に直接農畜産物を売るということ(書評:最強の自社ブランド農業経営)

アグリビジネスパートナーの高津佐です。

今回はこちらの本をご紹介します。

お客様に直接農畜産物を売りたいとお考えの農家さんは必見です。

著者は福岡県でイチゴ農業を営む武下浩紹(たけしたひろつぐ)氏

親の後を継いで26歳でトマト農家に就農します。
その後にイチゴ農家に転換。平成14年のことです。

さらに平成18年、JAから独立。

それからの出来事を赤裸々に告白してくれています。

「最強の自社ブランド農業経営」を読んで感じたことや思いついたことを解説していきます。

JA出荷で儲かる農家と儲からない農家

武下さんは26歳でトマト農家の後を継いで、29歳でイチゴ農家に転換。
最初はJAの部会に所属して、JA出荷。その4年後に部会を抜けて産直農家になる道を選びます。

JAに出荷をすると、1年目からベテラン農家と同じ価格で販売できます。同じ品質なら。

価格が同じでも儲かる農家と儲からない農家がいる。

それは、出荷量と品質が農家毎に違うからです。つまり栽培技術の違いです。

武下さんは決して、栽培技術が上手な方ではなかったようです。

JA出荷で儲かる農家は栽培技術が高い農家です。

反対に、儲からない農家は栽培技術が低い農家。

つまり、面積当たりの収穫量が少なかったり、A品・秀品率が低かったり、仕事効率の悪い農家さんです。

JA出荷で儲からない農家が産直農家で儲かるのか?

この本には「JA出荷で儲からなかった農家がどうやって産直農家で儲かるようになったのか」ということが書かれています。

このまま、JAを通じての市場出荷を続けていても、単価は上がっていかない。栽培技術の向上によって所得は上がるけど、親は歳を取るし、子供たちにもお金が掛かる。いつまでも貧乏のままじゃないかと考えます。

そして、武下さんは「ビジネス農家」になろうと決意し、ビジネスを学びます。

さて、JAの部会を抜けて自分で売ることを決意した武下さんは最初から上手くいったのでしょうか?

結果はNOです。

本文中に平成25年から現在までの売り上げの推移がありますが、武下さんがJAを抜けたのが平成18年。この間に多くの苦労があったようです。

JA出荷で儲からない農家が産直農家で儲かるコツ

武下さんが成功した秘密を私なりの解釈を入れて解説します。

①行動と覚悟

武下さんはJAを抜けて独立独歩の道を選びました。
そして、ビジネスを学びにいきます。
つまり、外の世界に出て行ったのです。

「行動と覚悟」

覚悟だけでもダメです。きちんと行動したことが成功した秘訣でしょう。

②お客様とのコミュニケーションで栽培技術が向上した

直接、お客様に販売することで、お客様の声を直に聞くことができます。

JA通じての卸売市場出荷では、なかなかお客様の声が届くことはありません。
たまにJA職員からお客様の声を聞くこともありますが、農家さん自体が悪態をついて終わりということもよくあります。

しかし、自分で売ることで「責任」が生まれ、それが栽培技術の向上に繋がっていったと思います。

JA出荷の中で、その他大勢と一緒に出荷していたら経験できない「責任感」かもしれません。

③SNSをきちんと駆使した

私のセミナーにもJAや卸売市場に出さずに直接販売している農家さんが来られることがあります。

話を聞くとSNSをやっていない方が多いんですね。

これは単なる「努力不足」としか言いようがありません。

産直農家になりたいならSNSを駆使して営業するしかありません。

④SNSでアピールするのは商品ではない

さて、武下さんの成功の秘訣。

SNSでアピールするのは商品ではないということ。

では、何をアピールするのか。

それはあなた自身、農業経営者自身をアピールすることが大切です。

商品のアピールだったら、他に同じいい商品が出てきたら負けます。

インターネット上での商売は、全国の同じような農家さんがライバルです。

そのライバルと差をつけるのは商品だけではなく、農業経営者であるあなた自身の魅力ということになります。

産直農家からお客様が直接買えるプラットフォームがありますが、そこで売れている農家さんはごく僅かでしょう。
つまり、商品は最低限で自分自身や農場の様子などでアピールしなければ購入してもらえないということです。

最後に

農業には多くの形があります。

それを選んで農業を続けるのは農業経営者であるあなたです。

この本はあなたの覚悟と行動を後押しする一冊になるでしょう。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それでは次回の記事でお会いしましょう!!

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