本当!?農家に輸出を勧めていい?農産物輸出の実態が明らかに!
こんにちは。アグリビジネスパートナーの高津佐(こうつさ)です。
ずっと気になっていたこと。
農水省の農産物の輸出額が好調に伸びてるけど、本当に伸びてるの!?
野菜・果実の輸出伸びてる?
農家もどんどん輸出した方がいいよって、安易に言っていいの?
2018年輸出実績
2018年 農林水産物・食品の輸出実績(←これがデータの正式名称)
9,068億円 前年比12.4% 6年連続増加
概要として下の数値が発表されています。
農産物 5,661億円 前年比14.0%増
林産物 376億円 前年比6.0%増
水産物 3,031億円 前年比10.3%増
さて、このデータを深掘りします。
農産物の輸出実績の内訳
農産物の輸出実績の内訳はこうなっているようです。5,661億円の内訳ですね。
(端数が若干合わないのは四捨五入等の関係です)
加工食品 3,101億円 前年比17.7%増
畜産物 659億円 前年比5.5%増
穀物類 426億円 前年比16.0%増
野菜・果実等 423億円 前年比15.6%増
その他農産物 1,050億円 前年比8.1%増
これを見ると、通常私たちが農業として考える畜産物・穀物類・野菜・果実等の合計はこうなりました。
畜産物・穀物類・野菜・果実等の合計 1,508億円
輸出総額9,068億円の僅か16.6%です。
農産物の輸出額が伸びてるから農家も輸出した方がいいよって話は少し違う感じがしますね。
畜産品の内訳
畜産品の659億円の内訳はこうなっています。
牛肉 247億円 29.1%増
牛乳・乳製品 153億円 6.4%増
鶏肉 19億円 0.2%増
鶏卵 15億円 49.4%増
豚肉 10億円 4.2%増
データ未掲載分が213億円ほどあります。
牛肉の伸びはいいですね。高級和牛は海外戦略ありだと思います。
牛乳・乳製品をさらに細かく見ると、粉乳等の割合が多くて「乳幼児用調整品 85億円」の実績になっています。金額ベースで前年対比6.3%増、重量ベースで12.8%増となっていますから、数量増の単価安で金額は伸びてる感じですね。
日本産の粉ミルクが人気だということでしょうか。
鶏肉、鶏卵、豚肉はまだまだこれからといったところでしょうか。鶏卵の伸びは大きいですね。
鶏卵は数量も金額も大幅に増加して、90%以上が香港向けのようです。大手鶏卵メーカーが頑張っているのかもしれません。
さて、データ未掲載分が大きいですよね。詳細がエクセルデータで公表されているので紐解いてみました。
動物(生きているもの) 30億円 12.4%増
動物性油脂 91億円 12.7%増
原皮・原毛皮 80億円 36.6%減
なんと、生きてる動物を30億円分も輸出しているらしい!!輸出先の50%はオーストラリアとなっています。どんな動物を輸出しているか気になりますね。
そして、動物性油脂。動物性油脂とは動物の体内に含まれている脂肪のこと。これも91億円分もあります。主な輸出先はオランダが約50%でそれにドイツ、ポルトガルと続きます。ヨーロッパ諸国への輸出が主なようです。
原皮・原毛皮が80億円。動物の皮ですね。豚の皮が多いみたいです。輸出先は67%ぐらいがタイ。それから台湾、韓国と続きます。昨年より36%も輸出額が減少してますが、重量は2%の減少に留まっています。輸出単価が約30%も下落したということですね。これも何か大きな理由がありそうです。
調べていくと面白いことが見えてきますね。
穀物等の内訳
次は穀物等 426億円の内訳です。
米(援助米除く) 37億円 17.5%増
農水省発表の概要にはここまでしか掲載されていません。詳細のエクセルデータをチェックしてみます。
小麦粉 74億円 2.7%増
穀物・加工穀物として75億円の実績がありますが、そのほとんどが小麦粉のようです。でも、日本から小麦粉を輸出しているのですね。多分、日本産を輸出しているのでしょうね。行き先は香港が50%程度、シンガポール、台湾と続きます。
日本から小麦粉を買う理由がわかりませんが・・・どんな理由でしょう?
そして
穀粉調整品 298億円 19.4%増
穀粉調整品?? 国の分類は名前で想像がつきませんね。
主なものは、即席麺62億円、うどん・そば42億円のようです。これで100億円ちょっとですが、残りの190億円分は詳細にも載ってなかったですね。なんなんだろう。
こちらは、重量も16.2%の伸び率で輸出拡大傾向です。
主な輸出先と金額は
穀粉調整品の輸出先
香港 70億円 中国 58億円 アメリカ 52億円
となっています。合計180億円ですね。
ちなみにお米の援助米は14億円程度の出荷額のようです。
野菜・果実等の内訳
さて、気になる野菜・果実等の内訳ですが、合計の423億円をざっくり分けると、
野菜 100億円 果実 300億円
になります。野菜は寂しいですねー。金額の多いものから並べてみます。
その他の野菜調整品 52.0億円 15%増
ながいも 21.7億円 14.1%減
かんしょ 13.7億円 42%増
冷凍野菜 7.7億円 21.3%増
乾燥野菜 4.2億円 22.4%増
きのこ類 3.0億円 9.9%減
キャベツ 1.7億円 16.6%減
だいこん・ごぼう 1.0億円 26%増
輸出先はほぼ香港、シンガポール、台湾、中国等のアジア圏です。
その他の野菜調整品のうち11億円がアメリカ向けになってます。気になりますが、データとして載っていないですね。
ながいもは重量が27.2%増にもかかわらず、金額ベースで14.1%の大幅減で、かなり単価安で取引されたようですね。
かんしょは金額、重量ともに伸びています。南九州の業者さんやJA関係も輸出頑張ってますもんね。
冷凍野菜と乾燥野菜が伸びてますね。特に乾燥野菜は重量は0.5%増で金額20%以上の増加なので、ほぼ単価が上がった感じですね。乾燥野菜需要ありでしょうか。
この数字だけを見ると生鮮野菜の輸出は難しそうですね。可能性があるとすれば加工品でしょうけど、日本で加工して輸出する意味があるのか。野菜は日常品だけに難しいところです。
気を取り直して果実を見ていきましょう。
りんご 139.7億円 27.6%増
果実缶・びん詰等類 67.9億円 16%増
ぶどう 32.6億円 11%増
いちご 25.3億円 40.7%増
もも 17.8億円 10.9%増
なし 10.0億円 1.3%増
メロン 4.9億円 17%増
うんしゅうみかん等 4.7億円 2.9%減
くり 4.3億円 27.1%減
かき 3.9億円 14.8%増
りんごがぶっちぎりですね。美味しいし、日持ちするし。
果実缶・びん詰等類の内訳で約26億円は果汁です。
ぶどうも伸びてますが、いちごの伸びはやばいですね。数量も同じくらい伸びてます。福岡のあまおうとかでしょうね。単価が高いので航空便で送っても採算が合うのが、野菜類と違うところですね。
もも、なしまでが10億円を超えています。
メロンは約5億円ですか。まだまだ伸びるといいですね。
うんしゅうみかん等は重量が40%減少している割に金額の減少は2.9%に留まっています。単価が約40%アップしていると思われます。根強い人気があるのかもしれません。
果実等はまだまだ伸びる可能性がありそうですね。
さて、今回はここまで。残りは次回にします。
最後に。この記事を読んでいただき本当にありがとうございます。
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