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ほとんどの農家さんが間違っている消費者に直接、販売するということ

アグリビジネスパートナーの高津佐(こうつさ )です。

本日は「ほとんどの農家さんが間違っている消費者に直接、販売すること」というテーマでお届けします。

2020年はコロナ禍で、産直ECサイトと呼ばれる、農家さんが消費者に農畜産物を直接販売するプラットフォームの、登録数や流通額が大きく伸びました。

産直ECサイトは、誰でも(←登録の基準はあるそうです)簡単に消費者に自分の農畜産物を届けられる便利なプラットフォームです。

今回、考えてみたいのは産直ECサイトを使った販売は、消費者に直接、農畜産物を届けているのか?

このことについて解説します。

さて、皆さんは「B to B」「B to B toC」「D to C」という言葉を聞いたことがありますか?

企業間取引である「B to B」

Bとは「Business」のこと。つまり、「企業」のことで農家さんの場合は、「農家」を指します。「農家」は法人でも個人事業主でもひとつの企業として捉えます。

ですから、「B to B」とは企業間取引のことを指します。

「B to B」とは 企業 → 企業 の取引

農家さんの場合だと(農家さんを例に書いているのをみたことはないですね)

農家さん→カット野菜工場などの食品工場
農家さん→大手外食チェーン店などの店舗

などが「B to B」の取り引きになります。

消費者に販売する「B to C」

次に「B to C」
Bは「Business」で企業のこと
Cは「Consumer」で消費者のこと(Customer・顧客とする説明もあります。)

「B to C」とは 企業→消費者 の取引

私たちがよく利用するコンビニやスーパー、百貨店などの販売形態が「B to C」の取り引きになります。
そして、コロナ禍で利用が増えたAmazonや楽天などのインターネット通信販売もここに入ります。

さて、農家さん場合だと

農家さん→スーパーマーケットや百貨店などのリアル店舗の小売り
農家さん→生協での販売(共同購入や店舗販売)
農家さん→産直ECサイトを使った販売(食べチョクやポケマルなど)

などが当てはまります。

ちょっとしっくりこない人向けに最近は「B to B to C」という考え方もあります。

つまり

「B to B to C」とは「企業→企業→消費者」

農家さんで当てはめると

「B to B to C」とは「農家→企業→消費者」

となります。

「B to B」との違いは

    ①消費者が購入の決定権を持っている。
    ②取引先の企業が「加工」をしない。

があると考えられます。

ここで、JAや卸売市場取引はなんと呼ばれるのでしょうね。
このことについては、後で考察します。

消費者に直接販売する「D to C」

さて、「B to B」でもなく「B to C」もしくは「B to B to C」でもない「D to C」という考え方があります。

Dは「Direct」直接という意味です。Cは「Consumer」で消費者のこと。

この取引は、企業(製造者)がどこの店舗も使わずに、自社のECサイトで直接消費者に販売することと説明されています。インターネットが普及したことで、活発になった取引方法です。

例えば、お菓子メーカーが自社のホームページで直接お客様に販売したり、洋服製造メーカーが自社ブランドとして、ホームページで販売する場合などを「D to C」と呼びます。

農家さんの場合は

農家さん→自社HP→消費者

が「D to C」の取引になります。

ここで、私なりの解釈として農家さんが庭先で販売することや観光農園もこの「D to C」取引に入るのではないかと考えます。
つまり、農家さんはインターネット以前から「D to C」取引を実践してきたのです。

※独自解釈の「D to C」取引(インターネット+リアル)

農家さん→庭先販売(自社直売所)→消費者
農家さん→観光農園→消費者

本当の直接販売はどこにあるのか?

さて、本当の直接販売はどこか?

結論は「B to C(B to B to C)」の取引ではなく「D to C」の取引、販売形態こそが農家さんが消費者に直接販売しているということになります。

「D to C」の取引にあるのは、『お客様との絆』だったり『お客様との信頼」だったり、『お客様からのあなたから買いたい』という意思表示だったりします。

誰にも左右されない、「お客様」と「農家さん」との繋がりがそこにはあります。

とはいえ、いきなりの「D to C」販売はハードルが高いのも事実

そこは、事業として「B to C」取引から「D to C」取引への緩やかな移行が今のところベターな方法かなと考えます。

JA・卸売市場への出荷、販売をどう考えるか?

JAや卸売市場への出荷は「完全委託販売」という農畜産物ならではの販売形態になります。
「完全委託販売」とは、価格はセリで決めるので、「価格はお任せ」という販売方法です。
代わりに、出荷したものは全量販売可能。つまり、売れ残りが「0」ということです。

農業・農家の特徴として

生産がコントロールできない(豊作・不作のコントロールが極めて困難)
消費者がコントロールできない(消費者の行動はコントロール不能)

ことが挙げられます。

この不安定な要素を解消して、流通をスムーズにすること。

それには一定数量の卸売市場出荷が欠かせないのです。
(JA出荷は、共同での卸売市場出荷です)

「セリ」のことは英語で「Auction(オークション)」と言いますので、農業の場合は、「B to A」取引がまだまだ主流を占めるし、この「B to A」取引が主流としてあるからこそ、「B to B」「B to C(B to B to C」「D to C」それぞれの取引が成り立つのだと思います。

今回は以上です。また次回お会いしましょう。

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