他愛も無い日常を失うこと #あな空
ゲネのお時間が刻一刻と近づいてきております。そんな緊張のある空気の中。
本日ご紹介するのは、初めて当劇団にご出演頂く花塚廉太郎さん演じる藤島真司について。観劇を迷っている方の参考にでもなればと思っております。
※花塚さん扱いのチケットは上記お名前のリンクから飛んで下さいませ。
藤島真司は仲睦まじく暮らしていた妻の栞里と突然の別れ(神様のもとで仕事を手伝ってもらいます)を天使に告げられる。別れ方というのはいくつもあるかと思います。死に別れ、生き別れ、病気、事故、事件、etc…
今回の別れ方は納得しようにも納得できない別れの一つになります。いや、別れ方なんてのは大体にして納得ができないものだとは思います。なんで自分がという気持ちもあったかと思います。でも彼にはそれを否定できない理由があり、そして栞里を不安にしたくないがために黙っていて。
置いて行く人間の辛さ、その表現方法もこれまた何通りもありますが、辛い表情で辛いと語ることよりも別の表情で語ったほうが色々と伝わるケースも多いです。それが今回のケースかと。それを汲み取って花塚さんは芝居を作り上げていただきました。
高校の頃から、一緒の学校、部活動では栞里は部長、真司は副部長という関係でお互いを認め合いつつも、口喧嘩も多く、その度に真司は(敢えて)負けてきたのではないだろうかと。周りからは喧嘩するほどに仲がいいとか言われ、ちょっかい、いじられ、世話を焼かれ、落ち着くところに落ち着いて。傍若無人で振り回すタイプの栞里をしっかりサポートして、振り回されることもある程度許容している真司、この2人だからこそ付き合って10年という歳月を乗り越えてこられたんだなと、稽古を観ていても思うことが多くありました。
読み合わせの日、大人な真司(精神年齢が栞里よりも高い)を作ってくれていたように感じていたのですが、稽古を重ねるうちに、物事を許容し、受け止めてくれる優しさのある真司が出来上がり、栞里と一緒にふざけたりする姿を見ると、実際にいる夫婦のような関係に見えてきました。だからこそその先の話の展開を苦しく思ったりもします。
優しさが不幸を招くこともあるということをまだ真司は知らないのかもしれないと不意に考えることが終りに近い場面で思ったりもします。こうしていれば、ああしていれば。夫婦の日常、事態を何とか解決しようと奔走する花塚さん演じる藤島真司の姿を是非観ていただきたいです。
公演詳細
公演情報は劇団Twitterから