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無視できの備忘録 #19
10月に入って、今年も残すところあと3ヶ月か。みたいなことを悠長に考えているとえらいことで、稽古開始日が迫っていることを改めて実感する。
なかなかに進められていない演出側の仕事。台本を手元において、照明、音響、音楽、入り、はけ、を何度も考える。同じことでも微妙な時間のズレや、間、なども考慮して検討を加える。同一のシーンであろうが何度だってトライアンドエラーを繰り返す。基本的に思いつきで演出はしたくない。台本に沿って、適した解を得たい、現したい。だから今のうちに考える。今できることをやり終える。
それがあるなしで稽古が始まった時に、役者側から提示された芝居をどうすれば良くなるのか、それはありなのかなしなのかを検討する回路が出来上がる。
必要な時に必要なことを必要な量で芝居を作れていれば特にオーダーは私からはない。台詞の意味、役割、シーンの意味まで理解されているようであれば問題はないのだ。
ダメ出しが少ないから心配という役者さんもいるかもしれないけれど、私はなければないでいいじゃない、と思う。多くてもそれはそれで、そこに時間をかけて色々とやってみる必要があるんだから悲嘆しなくてもいい。
この数日、台本と向き合っているが、少し(とも言いにくく、明日までに覚えてねって言われたら嫌だなってぐらいの文字数)台詞を付け足した。ずっと思い悩んでいて、入れるべきか否か。試行錯誤しながらつけた言葉を根こそぎ消したり、また違う言葉で戻したりを繰り返しながら、追加作業はそろそろ終盤と思えている。
桜に必要な台詞、楓に必要な台詞、二人にとって必要なやりとり、などなどである。今回も台本は物販で販売されるだろうし、DVDも販売されるだろうと思う。今書いている台詞が、もしかしたら本番では残っていないかもしれないし、そのままいくかもしれない。上演時間としては120分を目標としているが、11月の状況が許されるのであれば130分とかもあるのかもしれない。今は正直2週間先のことすらわからない時代なのである。況やひと月以上先のことをや、である。
夢や希望、期待に満ちあふれている少女たちが、成長していく中で、自力ではどうしようもなくなり、でもそこで立ち止まっているわけにもいかず、前へ前へと進んでいく、そのためには何をすればいいのか。
作者個人としてはキャラクター全員が日常を抱え、ドラマを抱え、今を生きており、幸せな日々を今後過ごしてほしいと切に願っている。
これを観終えた時、果たして観劇をされた方はこの人達が今後、どういった人生を送るだろうか、想像して欲しい。その余白を私は作劇において大事にしているし、今後も大事にしたいのだ。
作品としては120分後あるいは130分後に終わりがやってくるが、それ以降もその人達はその世界で生きている。私は物語とはそうあってほしいと考えている。