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園井薫は今も見つめている

初日おめでとうございます。海チーム本番当日です。

園井薫、その名前は12月公演で橘亜李彩さん(空チーム)、加々見千懐さん(海チーム)の二人が演じる役名です。

役柄としては、入所者にとっては母のような姉のような存在でしょうか。また里見所長にとっては複雑な関係?のようです。古くからいる入所者でもあるため、昔から知られているということが。

彼女が眺めてきた施設での出来事には、悲しいこともあれば嬉しいこともあったと思われます。どうしても此処での生活、人生を終わらせたくないと思った者たち、仲間が飛び出していくものの、もう彼らには不老不死の薬がないところで生きていくことはできない。もし定期的に薬を服用しなければ、それは死ぬことを意味する。強制的に老化を止めているので、その時間が一気に流れ始める。

その数々の出来事を見つめることしかできない自分の不甲斐なさと、そういうこと一つが起きる度に動揺してしまう自分の弱さを認識させられるのは辛いことだっただろう。

思い返せば自身がどうして施設での入所者としての生活を始めるに至ったのか、それだけで別の物語が生まれそうなのでこれ以上は書くまい。

思い返すというのはその記憶をちゃんと脳に保存できているから出来ること。もしそれができなかったら、それらを思い出すことも、思い返すことも、感じることもない。それは不幸なことなのだろうか。

誰が死に、誰が施設を飛び出したのかは記録として、数字としては残る。しかし、そこに伴う人間の感情は、理由は決して記録されない、だから彼女は記憶することを決めた。

忘れない、君たちのことを。

忘れない、君たちの声を。

忘れない、君たちの笑顔を。

忘れない、君たちが生きたここでの日々を。

その「記憶」がいずれ彼女を苦しめることになるとは誰が想像できただろうか。その件については、作品内でも語られていくのでいったんは伏せておきます。

優しく見守ってきた薫を、優しく見守っている里見という人間。大人の二人だからぶつかったり、おちょくったりもしつつ、温かい空気が二人を包む。

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