あの姉だからと言われ続けた妹 #あな空
小屋入り二日目。本日は場当たりです。今は静かでその時が来るのを待っている時間。
本日ご紹介するのは栞里の妹、柴田茉莉さん演じる小早川千尋について。観劇を迷っている方の参考にでもなればと思っております。
※柴田さん扱いのチケットは上記お名前のリンクから飛んでください。
千尋という役はこれまた栞里の火消し役として生きてきたのではと思う。真司と結婚したとしてもそれは変わらない。あの姉だからねぇと言われることも多かったのではないだろうか。しかしこう書くと不憫な妹のように見えてしまうが、そうではない。そんな言葉を掛けられる度に千尋は反論してきたのではないか。あんたにお姉ちゃんの何がわかるんだ、と。口喧嘩だって星の数ぐらいしてきたと言っては大げさだけれど、だから仲が悪いとか対立しているとか、そういう関係では決してない。彼女は姉をとても大事に想っている。
勿論それは直接、伝わることの恥ずかしさはあるだろうから、姉である栞里が知らないところで姉を思う姿はこの作品を通して観られることも多い。
千尋は基本的には元気印の女の子。どちらかというとやんちゃなタイプ。パワフルと言える。別の意味でパワフルな、傍若無人なところもある栞里とは違うパワフルさによって姉に押し切られない、真っ向からぶつかっていく、そんな強さは見ていて心地が良い。
同時にもう一人の姉、義理の姉である陽との関係は栞里との関係とは少々異なる。栞里だったら面倒くさとか想ったりしてしまうこともあろうが、陽が面倒くさい状態になった場合、彼女はフォローに徹することが多い。陽が泣けば優しく落ち着けと言い、頼るべきところは妹として心を預ける、そういう関係を稽古を通じて陽さんと作り上げてくれたのは柴田さんに感謝です。
柴田さんがうちの劇団に出てくれるのは初めてなのですが、読み合わせから、ああ、もう千尋だなぁと思ったのでそこからは基本的にお任せすることに決めました(だいぶ早いタイミングですが)。台本に書かれている文字からどういう子であるのか、こことここはどういう関係性なのか、何をやれそうなのかを検討いただき、はまっていくのを見ているのは楽しい稽古期間でした。
千尋はツッコミ役でもあるので結構周りをしっかり見ていないといけないポジションだったり、流れを作っていく役でもあるので、彼女がいることの意味はかなり大きいと考えています。その流れ、速度を作っていく柴田さんにも注目していただきたい。時折見せる呆れ顔もよいのです。
その中でも注目すべきはセリフのない部分で見せるいろいろな人への想いの強さ、優しさなんだろうと思う。笑って、テンション高く、ツッコミを入れてとかの果てで見せる本当の想いが出てくる時、ああ、千尋が完成したと思ったのはいつの稽古だっただろう。そんな表情、セリフの強さ、想いを観に来てほしいと願うわけです。
公演詳細
公演情報は劇団Twitterから