選いつの備忘録 #4
初日の朝。相関図も公開され、恐らく見ておいて損はない情報と思います。
今回の物語は高校の生徒会選挙の話ですが、選挙活動やその盛り上がりを中心に描いている物語ではありません。それよりもその日常に生きている一人一人が抱えている悩みや葛藤をあぶり出そうとしています。
人間が持っている負の感覚、負の想い。嫉妬、野心。
信じることの強さ、無垢な強さ、報われなさ。
すれ違い続ける感情、淀む空気。悲劇。続く悲劇。
生徒会長選挙に立候補する高里史緒里は「優しい人」。そこには何かを求めての行動ではなく、必要な行動だから動いた、という感覚人間でもある。先々のことなんて知らない。動いて後悔するか、動かずに後悔するかであれば動く。悔いることは後回しでいい。だから後悔というのだ。
生徒会役員として会長の右腕として働いていたことは彼女にとっては誇りであり、きっと会長選挙の際には助けてくれるだろうと(助言程度でも)思っていたのに、推薦はしないと言われてしまう。私が何をした、なんでそんなこと言われる、という疑問が、????が頭の上をふよふよと浮かんでいたことだろう。現生徒会長である櫻井遥香が副会長に対して甘えなく、果敢に攻めていってほしい、新しい時代を作って欲しいとねがってのことだとしてもそれは言わなければ伝わることはない。この想いの交換がないために生まれる疑義、不幸。
生徒会の仕事はそういうやりとりが二人にあったあとも続いていく。どういう感情で接すればいいのか悩むことはないかもしれないが、定めしそんなことを言われた次に会った際の「あ…」という空気は想像に難くない。
でも、二人の信頼は厚い。副会長である史緒里が会長の遥香を尊敬している気持ちは揺るぎない。だから大きな衝突もなく物語は進む。これが会社員の話しであれば飲んで同僚にからむシーンがあったかもしれない。
この物語は史緒里の成長、それを促す遥香の想いにも注目していただきたいところです。