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小日向美舞の居場所

12月10日。小屋入り6日前ぐらいです。雪が降りそうな寒さになったり、17度ぐらいに上がったり、体がついていけません。

まずなんて読むの、この名前、というところからスタートするぐらいには読み方のわからない12月公演の役名で、関根優那さん(空チーム)と渡辺菜友さん(海チーム)が演じます。

コヒナタ ミマ。世渡りベタで、人との衝突を何度となく起こし、また、何でも出来てしまうところもあり、人から妬まれ、不条理な扱いを受けることも屡々あり、生きるのが下手な女の子である。

不老不死を研究する当該施設にやってきた彼女が居場所を見出だせたかは定かではない。つきたくない嘘をつかされて、めげそうになることもあり、それでも此処は今までのところとは違っている、だからこそ居続けられるのだろう。

忍耐強く、怜悧、頑固、嘘が下手ですぐに顔に出る。まだこの仕事に慣れない部分もあり、受け容れられない部分もあり、それでも時折見せるその顔には、自分自身を誤魔化すことが出来れば、それさえ出来れば、でもそれが出来るのか、なんのためだ、私は何故このような靄々を抱えているのか、という葛藤がにじむ。それは見ている側としては、正確に言えば、苦しくなる。違うか、苦しいのはあくまで美舞である。周りはその葛藤を知りながらも優しく手を差し出すことはない。厳しくも温かく見守り続ける。それは彼女を信じているからこそ出来ること。

信じてくれる人がいる、という事実は彼女に成長を促すし、勇気になる。愛と勇気だけが友達だとかなんとかいう歌詞があるが、美舞はつまりはアンパンマンなのかもしれない。…違うな。

先輩職員である桃井佐予から引き継ぐように永作矢射子の担当となり、矢射子の過去を知り、自身のことと重ね合わせてみることも多い。それは憐れみとかではなく、共感でもなく、傷をなめ合うでもなく。ただ、此処以外に何処に自分の生きられる場所があるのかという事実だけが横たわる。共通点を見つけてもどうすることも出来ない。

徐々に矢射子もまた気にかけてくれる美舞の優しさに触れて、不器用ながらも心を開いていき、信用、信頼が生まれようとしていた。というのに。

この作品を、少し遠くから眺めていると、あのお方は、神様という方は、時として目を閉じているのではと疑う瞬間に出くわす。必要な経験だからと言われても、そう言われても、という出来事が彼女たちを見舞うのである。

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