教師にとっての「守破離」:教育現場で成長するためのステップ
皆さん、「守破離(しゅはり)」という言葉をご存じでしょうか?
この言葉は、武道や茶道など日本の伝統的な芸道において、技を極めるための3段階の成長プロセスを表す言葉で、教師にとっても非常に重要な概念です。
本記事では、教師が教育現場でこの「守破離」を活かして成長し、指導力を高める方法について、具体例を交えながら解説します。
守破離とは?
まず、簡単に「守破離」の意味を振り返りましょう。
守(しゅ):師匠の教えを守り、基本の型を忠実に学ぶ段階。
破(は):基礎を踏まえた上で、他の考え方から学びを広げたり、自分なりの工夫やアレンジを加える段階。
離(り):型や教えを超え、自分のスタイルを確立する段階。
実は教師もこの3つのステップを踏むことで、自分の指導スタイルを深め、成長していくことができます。それでは、教育現場における「守破離」のそれぞれの段階を見ていきましょう。
守:基本的な指導法を忠実に学ぶ
新任教師は、まず「守」の段階から始めます。
この段階では、ベテラン教師や様々な研修から学んだ指導方法や授業進行の手順を忠実に守り、基礎をしっかりと身につけていきます。
基礎・基本を自分のものとすることで、しっかりとした土台をつくっていくことができます。
しかし、最初にこの段階をとばして「破」や「離」に進んでしまうと、基礎ができていないため、上手くいかず失敗してしまうことが多くなります。
そのため、最初は教えをしっかり守って、授業計画の立て方、子どもとのコミュニケーションの方法、クラス運営の基本ルールなどを身に付けていきましょう。
具体的には、先輩の授業スタイルをそのまま模倣したり、間近でみた指導法を実践したりしていくことが大切です。
破:創意工夫を取り入れ、進化させる
「守」で基本的な指導法を身につけた後は、「破」の段階に進みます。
この段階では、クラスや子どもたちの特性に応じた工夫を行い、自分に合った指導法を模索することが求められます。
具体的には、他の先生が行っていた指導に少し創意工夫を加え、授業や指導を進化させていくことがあげられます。
自分なりのスパイスを少し加えるというイメージですかね。
もっと良い授業をするにはどうしたらよいか?
もっといい指導の仕方はないのか?
と考えたり
この教え方よりも他の教え方の方が響くのでは?
と今まで教わったことに疑問を呈していくなど
自分の頭を使って考えていくことで、この「破」の段階にたどり着くことができます。
このように、「破」では、「守」で学んできた教え方に新しい自分なりのアイデアや工夫を加え、子どもたちがより効果的に学べる環境を提供することが重要です。
離:独自のスタイルを確立し、自由に指導する
「離」の段階に達した教師は、基本的な技術や知識に縛られることなく、自分の教育哲学を確立し、柔軟な指導ができるようになります。
どのようなクラスでも、状況に応じた指導法を即興的に取り入れ、子どものニーズに応じて授業を進めることが可能です。
例えば、授業中に予定外の問題が発生しても、冷静に対応し、学びを深めるための工夫を即座に行うことができるようになります。
この段階の教師は、指導の自由度が高まり、より多様な方法で子どもをサポートすることができるのです。
また、今まで学んできたことを活かし、自分で新たな授業の展開や教材を考え生み出すこともできてきます。
教育現場における「守破離」の具体例
たとえば、若手教師が生徒指導の際に最初は厳格な規律を守る方法を学びますが(守)、次第に子どもの自発性を引き出す方法を取り入れるようになります(破)。最終的には、クラスの状況に応じて臨機応変に対応し、規律と自由を両立させた指導ができるようになります(離)。
教師として成長するための「守破離」
「守破離」は、教師として成長し、教育力を高めるための重要なステップです。
最初は先輩や指導書から学んだ基本をしっかり守り、その後、自分なりの創意工夫を取り入れて進化させ、最終的には独自のスタイルを確立します。
このプロセスを通じて、教師はより豊かな授業ができるようになり、生徒の成長をサポートする力を高めていくことができるのです。
教育現場で自分の指導力を向上させたいと考えるすべての教師にとって、「守破離」を意識した成長が大切です。
ぜひ、日々の実践に取り入れてみてください。