KYOTO2018
数年前から、「京都非公開文化財特別公開」に合わせて京都に行くのが高齢行事になっている。
これは文化財保護の意識向上を目的に京都古文化保存協会が春・秋に実施しているもので、初公開や十数年ぶりの公開というような庭園・寺宝を見ることができるのだ。
中学校の修学旅行で訪れて以来、それなりに知名度のある寺社仏閣は見尽くしてしまった僕にとって、"まだこんな場所があったのか"と、いつも新鮮な驚きを提供してくれる貴重な機会なのである。
拝観料はいずれも大人800円となっているけれども、市営バス・地下鉄、京阪バスの1日(2日)乗車券と、150円割引券が6枚付いた「文化財まもる+きっぷ」というのが売り出されていて、こちらがお得である。
僕の場合、この2日券(2,150円)を購入する。通常2日乗車券だけでも1,700円することを考えればなかなかお得だ。ただしJTBの窓口に行かなければ購入できないということを差し引けば。
上賀茂神社、北野天満宮、冷泉家、東寺、石清水八幡宮、松花堂庭園あたりは毎回のようにリストに入っているのだが、今回は建仁寺周辺、南禅寺周辺の塔頭などが多いため、そのあたりを散策することとした。
■無鄰庵
いわずとしれた、山縣有朋の別荘。たぶん5回目くらいだが、朝8時ごろとあって、とても静かだった。
洋館内で、初公開という煙草入れなどの工芸品を鑑賞する。撮影NG。
■大寧軒
ブルーボトルコーヒーのオシャレさに圧倒されつつ、南禅院界隈へ。
この大寧軒は、もと南禅寺の塔頭だったものが明治に入って民間にわたり、その時期に整備されたもの。12年ぶりの公開という庭園内は、当初砂利だったところが自然に苔で覆われたといい、前夜の雨を含んだところに朝日が照り添い、えもいわれぬ美しさだった。が、撮影NGなので写真は入り口だけ。
庭の様子は写真掲載のあるサイトで…。
こののち、隣接する智水庵がZOZO前澤氏によって買収されたとの報道もあり。まあこのあたりの庭園・別荘群の歩みを考えれば、歴史は繰り返すということか。
■金地院
南禅寺も5回は来ているが、いつでも公開されているにもかかわらず入ったのは初めて。戦国ものが好きなひとならすぐにわかるであろう、以心崇伝の住んでいたところである。
日に何度か実施されるガイド付きの特別拝観といい具合にタイミングが合ったので、1100円という値段に躊躇しながらも申し込む。訪れていたのは寺内に僕を含め3人ほどで、東照宮は独り占めだった。
そして特別拝観は、先に待っていた中年男性と僕だけ。方丈の裏手にある茶室「八窓席」は普段見ることのできない大徳寺孤篷庵と並び称されるものらしい。このあたりは最近出た「Casa BRUTUS」にも解説あり。
そして長谷川等伯の襖絵がガラスケース越しではない状態で間近に見ることができるのは非常に珍しいだろう。1100円も納得であった。
そして小堀遠州による方丈前の「鶴亀の庭」は、徳川将軍家の繁栄を願い、落葉しない木、すなわち常緑樹が植えられている。すなわちここだけは紅葉をしないということだ。
■天授庵
細川幽斎が再興させた塔頭。こちらもいつも公開されているわけですが、紅葉見たさに入った。
一応、熊本県人としては細川ゆかりのお寺はコンプリートしたいのだが、まだまだ道半ばである。この日まで、同様に細川家所縁の正伝永源院が特別公開されていたけれども、日程の関係上、涙を飲んで諦める。
京都全体ではまだまだだったが、ここ東庭の紅葉は見頃だったのもしれない。こちらも小堀遠州作。
南庭の池に映り込む紅葉も美しい。非常に混んでいた。
ほか、南禅院庭園はまだ色づきがほぼなく、13年ぶり公開の光雲寺は撮影NG。
大人気の日の出うどんでカレーうどんを食べる。開店前に並んだが、それでも40分ほどは待った。次から次へと注文が入る店内だが、いつでも落ち着き払って差配するおかみさんの京都弁に感心させられた。
午後は日蓮宗八本山と呼ばれる寺院群のうち、妙覺寺・妙顕寺を見る。訪れる人もなく、独り占め状態だった。
夕方はこれまた恒例の大徳寺大仙院の禅。方丈は1513年の建立。"この隣の部屋で秀吉と千利休が面会して…"、あるいは"この境内で宮本武蔵が沢庵と面会して…"などと考えながら座っていると、色々な事柄が割とちっぽけに思えてくるのである。
大徳寺は何度行っても飽きない。とくに黄梅院は好きな庭。高桐院は工事中だった。
■建仁寺
2日目は祇園・東山界隈。南座では二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎の襲名公演。見たかった。
建仁寺では開山堂・浴室が、さらに塔頭・久昌院が公開。方丈周辺以外は撮影NG。w
そして近くの西福寺ではあの「檀林皇后九相図」を実見。これは恐ろしい。
また、六道珍皇寺では小野篁の"冥土通いの井戸"が公開。
時間があったので、さらに足を伸ばして知恩院の方丈特別公開。これは二度目。
…だんだん疲れてきた。過去のものはこちらから。
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