グダグダ話す相手
こないだYouTubeを見ていたら、奥田民生のレコーディング風景の動画が流れてきた。
ドラム、ベース、ギター、パーカッション、ボーカルを全部ひとりでやっている。
もちろん、レコーディングスタッフがいて、
「はい、お願いしまーす」
とか民生が言うと音を録ってくれる人がいるわけだから、厳密にはひとりでやっているわけではない。
とはいえ、全部の楽器をこなすなんて、多才な人だなぁなんて見ていたら、あることに気づいた。
画面には現れていない超重要人物がいることに。
それは、民生がグダグダ話す相手だ。
「この音しょぼいよねぇ」
とか
「ギターあれ使ってみようかな」
とか、まぁ、民生の独り言のような発言を受け止めてあげる人物がそこにいる。
この人は誰でもいいというわけではないだろう。
長年、レコーディングに付き合ってきているような人だと思う。
おそらく、肯定も否定もしない。
だいたい、民生が何か言ってきたら、「どうだろうねぇ」ぐらいしか言わない人。
でも、意見するときは、民生の気持ちがわかって助言できる人。
そんなスタンスが取れる人はなかなかいないだろう。
このグダグダ言えるのってすごく大切だなぁと思ったのだ。
「そんなの分かりませんよ。民生さんの曲なんだから民生さんが判断してください」
なんて言われたりしないのだ。
最終的には自分で決断しなければならないんだけれど、自分の中のモヤモヤを受け止めてくれる人がいるのといないのとでは全然違うのだろうと思う。
最近、僕は夕食後、お酒を飲みながら妻とグダグダと話す。
僕が日々考えていることをことを、妻はあれやこれやと聞いてくれる。
ありがたいことだなぁと思ったのでした。