スペインの育成年代の環境を日本と比べるとみえる違い 環境その1

おら〜

スペインで指導をしているとよく聞かれるのが「日本との育成の違い」

僕の答えは一貫していて、ずばり「環境」だと答えている。

選手ファーストのその環境は育成年代に大きな影響を与えていると思う。

前回の記事で日本の補欠制度について書いたけれど、環境の根本的な解決をしなければいつまでたっても日本は世界には追いつけない。

環境 その1

日本のトーナメント文化は不要だと思っています。

トーナメントは一発勝負。つまり負けたら終わり。

これに指導者の僕らが疑問を持つべき。

練習試合ではなくて公式戦の数を確保する。それができれば多くの選手が「経験」をすることができるようになる。

一方でスペインはリーグ戦文化。

小学校低学年からユースまで全てのカテゴリーがリーグ戦を行う。

多ければ18チームの総当たりなので年間34試合の公式戦を経験できることになる。

これのどこに違いがあるのかは一眼でわかると思う

⑴回数

公式戦の空気は独特でそれを経験している選手とそうでない選手に差は生まれる。

年間公式戦を30試合近くを必ず行えるスペインと負ければ年間数試合しかできないと日本とでは公式戦を楽しめる回数が雲泥の差となって現れる。

⑵人数

トーナメントには1校しか参加できない。

仮に中学校の部活でA,B,C 3チーム計60人いても公式戦のトーナメントに出れるのはAチームの20人だけになる。そしてそこにはレギュラーとベンチメンバーが存在する。

一発勝負のトーナメントにおいてベストメンバーで組みたいと思う監督のエゴが生まれるのは自然なのかもしれない。(本来であればそんなエゴも許されないけれど、クラブ経営で選手確保を考えれば成績という肩書は大事だと思う)

一方でリーグ戦であればA,B,C全てのチームが参加できる。スペインでは同リーグに同じクラブのチームが所属することはできないが、1部、2部のようにリーグのカテゴリーが違えば問題ない。つまり20人が各々のカテゴリーでプレーできる。

また昇格、降格はあるものの、次の試合があることや長いシーズンで好不調もあるのでメンバーが固定されることはない。

スペインのシステムで1つ付け足すと、1チームの最大登録人数が25人までで、試合の招集メンバーは18人までと決まっている。多くのチームは20人前後の登録で済ませるため試合に出る機会は当然多くなる。

⑶何が何でも出たい

高校最後の大会だから怪我を押してでも出たい。

サッカーに限らず日本のトーナメントスポーツではしばしば聞かれるセリフです。

この大会が最後だから燃え尽きたい、ここで壊れてもいい。

選手がそう言うと、正しくないのにもかかわらず指導者にも情が芽生えることもあります。

負ければ次がないという環境がそうさせるのは明らかです。

トーナメント制度は美学だけ

正直育成年代には何のメリットもないと思っている。

公式戦でプレーすることで大きく成長することは全ての指導者が理解していることだと思います。メンバー全員にプレーさせたい、でも勝たなければ次がない、それじゃあベストメンバーで試合に臨みたい、使われない選手が出てくる。こんな矛盾がトーナメント制度にはあるわけです。

スタンドから応援しているベンチ入りできなかった選手達姿は全国放送されるスポーツではもはや当たり前になっています。

でもトーナメントだから観る側は感動する。

それはプレーヤーファーストではない。

本来プレーヤーファーストにするならば全員がプレーできる環境を整えることが先決です。

僕もスペインへ渡る前は何の疑問ももたずにいた1人ですが、こうしてスペインサッカーに携わりリーグ戦を経験することでそれが必要だと日に日に感じます。

スペインの強さはピラミッドを支える土台の裾が広いからだと思います。

選手全員が公式戦を経験している。

当たり前のことだけど環境がそれを許さない日本。

トーナメントからリーグへ移行出来れば変えられる環境がある。

それを知ってもらえればと思います。


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