ラ・リーガ第20節 マドリーvsラスパルマス
こんにちは、タッピおです。
今回はリーグ戦第20節vsラスパルマス戦の試合内容を振り返っていきます。
前節は国王杯で延長戦の末、5−2と勝利することができました。ですが中3日で迎えた試合、疲労が色濃く目に映ることが予想される中でどのようなスターティングで臨むのか気になる一戦になります。
また今節はヴィニシウスがリーグ前節バレンシア戦でのレッドカード、モドリッチが累積での出場停止、カマヴィンガとチュアメニが怪我という状態でスカッド自体薄さが目立ちます。
同時に下部組織からの選抜された選手も多くいるので、是非トップチームでの起用も見たいですね。
それでは、試合内容を振り返ってみます。
スターティング
今節のスターティングは以下になりました。
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初期配置はどちらも4−3−3ですが、保持や非保持などの局面で可変していくようなシステムになります。
システム
ラスパルマスは保持ではそのまま4−3−3、非保持では4−1−4−1を採用してます。また、プレッシングにおいては4−4−2でした。
では、ラスパルマスに対してマドリーのシステムを見ていきます。
ビルドアップ
まずは、ビルドアップです。
初期配置が4−3−3のマドリーですが、状況に応じて配置を変えます。
大体は以下の二つのパターンです。
最初のパターンとして、今回右IHでの起用となったセバージョスが右SBに入る形をとり、右SBであるバスケスを最前線に押し上げ、ブラヒムを相手2列目と最終ラインの間に位置させる433。
次のパターンがセバージョスとバルベルデのHV(ダブルボランチ)に組み替えての、ベリンガムを最前線にする4−2−4の形です。
保持
後ほど記述しますが、ラスパルマスが早々に一点取ったことで、基本的にゾーン2での守備ブロックをメインとした形に序盤からしたことで、マドリーはビルドアップにそこまで苦労することなく、敵陣にボールを回すことができました。
そのため、基本的には以下のような構図になりました。
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右の幅を取る役割としてはバスケスが、左の幅はフランガルシアが担当してました。
ただ、ここは少し縦関係の色が強く、基本的には幅を取るのはフランガルシアですが左の起点となるのはあくまでもロドリゴの役目です。
プレッシング
相手4−3−3で全身を測るビルドアップに対して、両IH(インテリオール)が同レーン上の相手CBに対してプレスをかけていきます。これにプラスしてエンバペが片方のCBを抑えに行ってましたね。
相手両SBに対しては両WGが対応、キーマンとなるアンカーの役割に関してはバルベルデが縦にスライドする、もしくは片方のIHがスライドするといった形でした。
非保持
マドリーは4−5−1のブロックで対応。
正直、今節に関しては試合が進む中で質的優位性や退場者が出てしまったことで特にブロック敷く対応はなかったですね。
ですが、この4−5−1における両WGはともによく戻って守備に参加していたと思います。
前半印象
まずは今シーズンのラ・リーガにおける最速ゴールを叩き込まれ、序盤から自らに鞭を打ち出したマドリーでしたが、試合が進むにつれて徐々に押し込む展開を続けることができました。
原因としては3つです。
・ラスパルマスのファーストディフェンスの緩さ
・ネガティブトランジション
・ライン間部隊と奥行き
ラスパルマスのファーストディフェンスの遅さ
ラスパルマスとしては、幸先よく先制点を取れましたが、全体的にマドリーのボールホルダーに対するファーストディフェンスが緩すぎました。
これはプレス時というよりは、ラスパルマスの非保持で起きていた現象なのでマドリー相手だとサウンドバック状態になってしまうことが目に見えてしまいます。チームとして、賢い選手が多い印象ですが、運動量が圧倒的に不足していたと感じてしまいました。
ネガティブトランジション
これがマドリーが押し込み続けている理由の1番の原因だと感じます。
セバージョスやバルベルデを筆頭としたトランジションの切り替えで、ボール奪取を連続的に行えました。
ライン間部隊と奥行き
今節のスターティングだと、ボール保持を得意とした布陣となっているのは明らかですね。
その中でもベリンガムやブラヒム、エンバペがバランスよく相手CB−SB間や2列目と最終ラインの間でボールを受ける機会が多く、相手ポケットを取る動きも積極的に行えていたので、ラスパルマスを敵陣に押し込むことが多かったです。
加えて、上記の選手は受けたらそのまま前を向くことが得意な選手が揃っているのでチャンスメイクの形も多かったのも良い点でした。
また、この試合の決定的となった2得点目はものすごくいい形でフィニッシュまで到達できました。
その中でもR・アセンシオとエンバペの2選手の動きが良かったです。
まずは起点となったR・アセンシオのボールを前進させる動きです。
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背後のクルトワのパスコースもありましたが、敢えてボールを前進を選択したと思ってます。素晴らしい動きでした。
次がエンバペのライン間に落ちるタイミングです。
バスケスからのレイオフを受けたセバージョスが斜めにボールを前進させていく中で、相手2列目と最終ラインの間に受けにいきます。
これが、絶妙に相手CBが行くか行かないか迷うタイミングでした。
要因としては、真下に落ちてもらうというより、敢えて相手CBから逃げる方向に斜めに降りているからですね。
こうすると相手CBが潰しに行く距離が数メートル長くなり、結果的に1タッチで相手CBを剥がすことができました。
加えて並行にフランガルシアがポジションを取っていたのも大きいですね。
行くか行かないか迷った要因だとも思います。
そんなこんなで気がつけばエンバペのドブレーテなどで3−1で終えることができました。
幻の3点目もあったので、エンバペ自身としてはベストコンディションの状態が見れましたし、左のロドリゴはやはりドリブルのリズムや味方との関わり方がうまく、左の起点になり続けていましたね。
また、ブラヒムも相手ライン間などの受け手としてあまりマドリーの選手がやらない動きをし続けてくれたことがいい点だと感じます。
そしてセバージョスは前半から圧巻のパフォーマンスでした。
ネガティブトランジションでのボール回収や、ビルドアップでは不慣れな右IHとしても動きながらショートパスで繋ぎ、完全に試合のテンポを掌握していました。
後半印象
立て続けるマドリーに対して防戦一方なラスパルマスですが、後半に入ってもボールホルダーに対しての寄せやプレッシャーがほとんどないため、56分にマドリーに追加点を奪われてしまいます。
また、ラスパルマスはブロック陣形を5−2−3に移しますが、途中出場のベニート・ラミレスが63分にレッドカードを受けたため、ここでゲームセット。
その後マドリーは余裕を持ってリュディガーを下げてアラバを投入します。
アラバは約1年半ぶりの復帰で、ベルナベウにいたサポーターの声援が響き渡ってましたね。素敵な瞬間だと思ってます。
その後も今試合MVP級の活躍をしたセバージョスをはじめとしてブラヒム、ロドリゴ、バスケスを交代し、ギュレルやエンドリッキ、そして下部組織から選抜されたチェマ、ロレンツォ・アグアドなどを投入するなど余裕のあるゲーム運びをしました。
選手評価
クルトワ
開始早々の失点を喫したが、どうにもならなかっただろう。
それ以降はマドリーペースだったので大体の時間暇だった。
バスケス
またもや簡単に背中側を取られて再現性高めの失点を入れられた。その後はペースを握ったのと背後をアセンシオのカバーリングで隠せたため、積極的に攻撃参加できた。良い側面と悪い側面どちらも併せ持つ。
リュディガー
ラスパルマスがミドルブロックでセットしていたため、フリーのまま前線の選手に高精度のロングフィードで展開することができた。
そして、束の間の休息をもらえたことがいい知らせ。
R・アセンシオ
リュディガーやバスケスの開けたスペースをくまなく潰し、ビルドアップではボールキャリーをしながら縦パスもつけれたりと、今まさに急上昇しているこの漢。あとはリバプール戦に続いてビッククラブとの戦いで彼のCBとしての真価をみたい。
フラン・ガルシア
今日も今日とてサイドを駆け上がりまくった。
ロドリゴに出してもらえずとも、エンバペさんは出してくれると走った甲斐あってか、マイナスのクロスを上げることができロドリゴが決めて、数字もついた。エンバペさんに出したはずだったのに、、、
バルベルデ
全体のバランスを調整しながらも要所では縦パスを入れてチャンスメイクを怠らない。また、幻のゴールとなったがあの角度で入るともう彼が現フットボール界No.1のミドルシューターを名乗ってもいいのだはないだろうか。
いつもありがとう、我のEl Halcón。
セバージョス
個人的なMVP。
予測を活かした脅威のネガティブトランジション、バックドアに合わせた縦ラインのパス。この試合を完全に掌握していた1人であり、いちばん泥臭かった。そんな彼への贈り物はベルナベウからの拍手喝采だった。
ベリンガム
コンディションがまだ最高に到達していないが、やはりいるといないとでは全然違う。背後への抜け出しや狭いスペースで受けてからのサイドチェンジだったりと、このチームの心臓が誰なのか改めて感じた。
ブラヒム
失点直後にフリーで決定機を外したが、その後に自らゴールを奪い観客へはごめんねのジェスチャー。崩しやビルドアップにバランスよく関わりながら守備への貢献も怠らないその姿はスタートの席を脅かす存在であると同時に最高のジョーカーでもあることを示し続けている。
ロドリゴ
ヒダリゴとは俺のことだよと言わんばかりの結果を叩き出し、守備ではしっかり5−4−1のブロックに参加した。彼の献身性や左サイドで放つ輝きを私たちは見続けられるのであろうか。チームにとって必要不可欠なピースだ。
エンバペ
今シーズン陥ったどん底から自力で這い上がってきたエースは、実力で居場所を獲得し、今やチームの一番槍である。
今節の彼の試合やなんかハットトリックチャンスを逃す姿に懐かしのおにぎり9を感じたのは私だけなのだろうか。
アラバ
399日ぶりにピッチに戻ってきた男は、ベルナベウから万雷の拍手で迎えられた。とてもセンセーショナルな瞬間で、誰もがそのNo.4に賛辞を送っていた。プレーでは、相手最終ライン背後への柔らかいロングパスを供給して、左足が錆びついていないことを示した。
何はともあれ、おかえりアラバ
ギュレル
途中から出場し、新たに右サイドで起点となる活躍を見せた。守備でもしっかり貢献していて個人的に彼にはもっと出場時間を与えて見せてほしい。
チェマ
倉敷さん曰く、「マンチェスターシティのロドリと比較されている」らしい。
初めて聞きました。今節は80分以降の交代だったため、そんなこと言われたらトップチームでもっと見たい。
エンドリッキ
前節で途中出場ながら劇的勝ち越し弾を含めたドブレーテをかましたが、今節も途中から。
トランジション局面でエンバペ兄さんから見事なパスを受けて、またもやヒールキックをお見舞いしたが今回はゴールならず。なんでブラジル人ってこうも味しめちゃうのが早いんだろうか。(笑)
ロレンツォ・アグアド
終盤に投入されてそこまでプレーを見れなかったのが残念。
また点差が開いた時にぜひじっくり見てみたい。
まとめ
今節の前に首位のアトレティコがレガネスに敗戦し、バルセロナもヘタフェ相手にドローとなった結果、見事首位に上り詰めた。
全体としてバランスがよく、ブロックでもやはり今シーズンの終着点は4−5−1なんだろうなと感じたし、トランジションの局面でもBMVRが2人以上いれば成り立ってしまうことは恐ろしい。
あとはここに現マドリーの大エースを組み込んだ時の最大火力をみたい。
課題としては、やはりローテーションだ。
バルベルデは依然として試合の中での体力の使い方が上手い。ベリンガムも献身性が高く、常に全力で戦ってくれるがシーズンを考えたらまだ中盤。
チームの中心であり心臓の彼をいかにフルスロットルに持ってくるかが今シーズンの隠れたミッションでもあると思う。
アラバ復帰のおかげでリュディガーも休養できそうなのが吉報でもある。
もう一つの不安材料としては、バスケスの背後であろう。
今後R・アセンシオが広いカバーリングを活かして刈り取ってくれるが、もう一列前の選手の献身性も十分必要である。
次の試合は1月23日(木)に行われるUCL第7節vsザルツブルク戦。
ここで勝たねばプレーオフも怪しくなってくる。
しかし会場はベルナベウだ。きっと大丈夫であろう。
では、この辺で。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。