見出し画像

【超基礎】生酛(きもと)の話【予習テキスト】

2020年10月17日(土)に開催する酒逢オンライン試飲会、テーマは"秋の夜長に飲み比べ!あなたの知らない生酛(きもと)の世界"です。
申し込み締切は10月7日(水)、まだまだお申込受付してますので、ぜひご検討下さい。(申し込み方法は上記の記事リンクから)

日本酒が好きな方は、一度は聞いたことがあるワードだろう…と思って、説明をだいぶ省いてイベントの告知をしていたんですが、ご来店のお客様と話していると「生もと、なにそれ?聞いたことすらない」という方もかなりいらっしゃるようで今更ながら焦っておりますw

困った時のwiki頼みで、wikiで調べて頂いてもあれなんですが、途中で読むのを諦める方が続出する予感がしますね。私が読んでも少々眠気を覚えましたw
ですので、以下、ちょっとだけ長くなりますが、イベントの予習編として、さわりだけでもまとめてみようと思います。

一般的な"生酛(きもと)"のイメージ

地酒の名称の中に、ひっそりと潜んでいます。例えば…"昇龍蓬莱 きもと純米生原酒" といった感じ。"生酛"と書かれたり、"生もと"と後半ひらがなだったり、"きもと"と全部ひらがなだったりします。

生酛(きもと)の味の一般的なイメージは…一概に言い切るのは難しいですが、複雑な、深みのある、ちょっと重め、雑味や酸があるものが多い、お燗をトライしようか迷う…というイメージです。

なので、キンキンに冷やして華やかな香りを楽しむといった感じではなく、食中酒としてとか、温めると燗上がりする銘柄が多いように思います。

生酛(きもと)造りを、可能な限りざくっと言うと

江戸時代くらいにメインだった造り方をあえて行う酒造り。現代の他の造り方と比べると、手間がかかるし、時間もかかる。だけど独特の味わいが出るのと、生酛(きもと)の存在自体の知名度があがってきたので、最近は酒蔵の商品ラインナップに入れるのは珍しくなくなった。

なにをどうすると、生酛(きもと)造り?

生酛造りと他の造りを分けるのは"酒母"の部分をどうするか、です。ちなみに一般的な酒母の造り方は①生酛造り②山廃造り③速醸造りの3種類あります。

「というかまず"酒母(しゅぼ)"ってなんだよ」とツッコミを受けそうなんで図表で示します。赤いとこです。

酒母の場所

"酒母"とはいわば、発酵のスターターキット。小さい容器で、酒母(発酵のスターターキット=)をきっちり作って、それを醪(もろみ)用の大きなタンクに移して、麹入れて、米入れて、水入れて、発酵が進んで、段階的に量を増やしていくんです。酒母はこれ↓

画像4

生酛(きもと)の定義

上の写真のような酒母を造る際に、
A) 米や米麹をすり潰す作業(山卸し)をすること
B) 人工の乳酸を添加せず、天然の乳酸を使った酒母

上記の2つを行うことが生酛(きもと)の定義となります

ちなみに、一般的に広く画像が出回ってるこれ、"酒母"の次の段階にあるのが醪(もろみ)です、、、タンクに入ってて、元気よくブクブク発酵して、白くて泡立って、蔵人が棒でかき混ぜてるやつ。これは酒母とは違いますので要注意↓

画像2

画像3

ちなみに豆知識ですが、"一麹・二酛・三造り(いちこうじ・にもと・さんつくり)"と言いまして、麹がダメだと良い酛(酒母)が作れず、酒母がダメだと良い造り(醪(もろみ))が難しいという、酒造りの工程を表した有名な言葉。斯くの如く言われるほど、酒母造りはとっても大事なんです。

"酒母(=)"の造り方の変遷

流れとしては生酛(きもと)→山廃酛(やまはいもと)→速醸酛(そくじょうもと)。江戸時代の酒造りは生酛(きもと)が中心→工程が省略され→明治あたりに山廃酛、更に技術革新→今は速醸酛という流れ。

今は速醸造りが一番多いですが、山廃造りも、もちろん生酛(きもと)造りも、ちゃんとした酒造りの方法として定着しています。

それぞれの特徴とか、なんで変化したか…とか、詳しい話は、ぜひイベントで大矢蔵元にしっかり教えてもらいましょう😁教えてくれる大矢蔵元はこちらのナイスミドルです↓

画像5

なんで大矢孝酒造さんに生酛(きもと)の話を聞くの?

上述したように、工程の省略とか、技術革新で、酒母の造り方が変わって来たんです。ということは生酛(きもと)= 造りに手間がかかる、ということです。

つまり、生酛(きもと)造りをすることで、他では出せない味が出せる、そのためには手間も惜しまない…という酒蔵さんが生酛造りをする。

まぁ、最近は生酛(きもと)を造る酒蔵さんも珍しくないのですが、大矢孝酒造さんでは、メインブランド2つ(昇龍蓬莱・残草蓬莱)のうち、1つ(昇龍蓬莱)を「生もと造り」だけのブランドと設定しています。

手間がかかるのは承知の上で生酛(きもと)に取り組み、年間を通じて色々な特徴の様々な生酛(きもと)造り(=昇龍蓬莱)を私達にご提供してくれているのが、大矢蔵元なのです。

やはり生酛(きもと)を語るのであれば、この人をおいて他にいない!とお声をかけさせて頂きました。

まぁ、超基礎としては…、こんなところでしょうか。

予習として、消費者目線の 生酛(きもと)のイメージ、 生酛(きもと)とはお酒造りの工程のどの部分の話をしているのか、酒母造りはどのくらい大事な工程なのか、他の種類の酛と、歴史的にどう変わってきたのか。そしてそもそも、なんで大矢孝酒造さんにゲストで来てもらったのか…、駆け足ですが、予習テキストとしてざくっとお話できたと思います。

あとは…、イベント当日に、実際に生酛(きもと)の試飲サンプル6種類を飲み比べながら、蔵元のお話を聞いて、もし疑問に思ったことがあれば、チャットで質問して下さい。蔵元が直接答えてくれます😁

私も、当日お伺いしたい話は山ほど

- "生酛ならでは"ってどんな味?
- 山廃造りと、速醸造りと、どこがどう違うの、味はそんなに変わるの?

上に例示したような、定義や、造り方、蔵の中の作業、味の話…、テーマに沿った真面目な話はもちろん、他にも私の方でも山ほど色々準備しております。

ですが、今回は蔵元と酒屋のやりとりだけでなく、ご参加頂く皆さんとの、ざっくばらんなやり取り、「これ美味しぃ~」などチャットに打ち込まれる心の叫び、またさまざまな質問などもたくさん拾っていきますし、どんどん脱線していく楽しい回にしたい思っています。

つい本日、こんな電波を受信したこともあり、また前回の反省もきっちりふまえて、なるべく"かた苦しい日本酒講義"っぽくならない感じで、皆さんとのやり取りの時間もふんだんに余裕をもって、明るく、楽しく、和気藹々、そして美味しくお話を伺いたいと思っております。

開催は10月17日(土)ですが、申込み締切は10月7日(水)までです。ご注意下さい。皆様のふるってのご参加をお待ちしております😁

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?