フジファブリック 『虹』
「どんな音楽聴くの?」と言われて答えるときの、なんとも言えないあの感じはなんだろう。
以前アメトークでオードリーの若林さんが、「自分の家の本棚を見られるくらいなら肛門を見せたほうがマシだ」ということを言っていたが、自分にとってのそれが好きな音楽を教えるということに匹敵するかもしれない。itunesの中なんて誰にも見せたくない。
「どんな音楽聴くの?」には「お前どれくらいセンスあるの?」と言われているようでもあり、「俺と友達になるんだから、さぞかし良い音楽聴いているんだろうな?」と言われているようでもあり、聞かれた瞬間は、ひっそりとだが確かに私は緊張している。
「ロック系とかですかね〜」
確実に間違えている。「ロック系」とは何だ。さらに「とか」までつけて明らかに濁している。「かね〜」に至っては恥ずかしさを隠そうとして隠しきれていない感じが何とも痛々しい。
David Bowie、Nirvana、Green Day、oasis、weezer、スーパーカー、等から始まった音楽好き人生なので、ロックではあるが、もちろんニューウェーブやポストパンク、テクノも嵐も聴いているのでもはやなんといったらよいかわからない。
さらに、「あ、じゃあストーンズとか?」とストーンズファンの方に言われてしまったらもう終わりだ。すみませんが私はローリングストーンズは代表曲しか知らないのです。嘘ついてすみません、という気持ちにもなる。
こういう時に「ディラン」とか「長渕」とか答えれる人が羨ましいな、と思う。
「音楽好きなんですね。」と言われると「はい」と溌剌と答えられるのだが、具体的には?と聞かれる時の暴力性には未だ慣れない。
いわゆる音楽を聴くようになってそれなりに時間が経ったので、好きなバンドでも半分くらいは解散したりメンバーが亡くなったりで現在は存在しないバンドが出てくるもので。
今も活動していたらどうなっていたかな〜と軽く想像したりする。がどう考えても想像が追いつかないのですぐやめる。
例えばイアン・カーティスが自殺しなければジョイディビジョンはまだ続いていたのかしら、とか。でもそうなるとニューオーダーはいないわけなんだよな。。。となって思考停止する。どうにも想像が追いつかない。
フジファブリック『虹』
遠く彼方へ 鳴らしてみたい
響け!世界が揺れる!
言わなくてもいいことを言いたい
まわる!世界が笑う!
2009年夏、フジファブリックのライブを観に行った。ボーカルの志村さんは音楽を体で鳴らしていた。確かそのライブの最後の曲がこの『虹』だった。とても楽しいライブで僕は大いに笑った。
今は3人だが、解散のその先を見せてくれているような、想像を軽く超えていくバンドだ。