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「構成作家笑い」についての考察と実践

「構成作家笑い」
 ありますよね。
 深夜ラジオではつきものともいえる、一人パーソナリティが面白いことを言ったら対面にいる構成作家がゲラゲラ笑うあれ。
 この文章は、そのあれについての考察です。

「構成作家笑い」
 嫌いな人、かなり多いですよね。
 古くは、「ビートたけしのオールナイトニッポン」で高田文夫さんが笑っていたのが起源のような気がしますし、伊集院光の深夜の馬鹿力での構成の渡辺君さんのイメージも強いです。

「構成作家笑い」
 実は、これってけっこう種類があると思うのです。
でも、最初に言っておきますが、個人的にはアニラジには「なくていい」のが結論です。だって、よく考えてください、朝やお昼のラジオを聴いていて、スタッフがげらげら笑っている番組なんてないじゃないですか。
 つまりあれって、ただの「深夜ラジオの風習」なんですよね。その深夜ラジオのノリをアニラジにそのまま持ちこんでしまってなんとなく定番になった感があります。一人パーソナリティじゃない番組でも作家笑いが入るケースさえあります。

「構成作家笑い」
 嫌いな人が多い理由もよくわかります。
「その人のおしゃべりが聴きたくてラジオを聴いているのに、なんか知らない輩がげらげら笑っていてただただ癇に障る」理由はこれにつきるでしょう。
 ただ、一人パーソナリティの方って「自分がしゃべったことにその場でリアクションがないと不安になる」という方もけっこういるのです。
 実際、ぼくも「作家が笑ってくれないとノれない」という発言を聞いたことがあります。ですので、そういうパーソナリティさんのために構成作家は「お仕事として笑っている」面も実はあるんですね。

「構成作家笑い」
 深夜ラジオのテイストを出すためだけに、いつでもなんでも笑う必要はない、と思っている自分は、あれやこれや考えた末、「いろいろとグラデーションをつけて笑わない・あるいは笑う」ことにしています。例えば、

○「女性パーソナリティだけのアニラジでは絶対に笑わない」
 これは基本かと思います。だってそれはそうでしょう、女性声優さんのかわいい声を聞きたいのに、トークのことごとになんかよくわからんおっさんがいちいち笑っていたらこれはもう無粋どころか害悪です。

○「男女パーソナリティのラジオではちょっと笑う」
 これは、「あえて笑う」ことが必要なのではないか、と考えているという理屈からです。
 男性声優さんと女性声優さんが一人ずつのパーソナリティの場合、まあ、ぶっちゃけていうと、どちらのファンも「ちょっともやっとした気持ち」で番組を聴く場合が多いのではないか?と自分は感じています。そういう「もやもやした気持ち」になりたくない方は、そもそも「男女の組み合わせラジオを聴かない」とすっぱり決めているとも思います。
 でも、スタッフとしては、内容は面白いのだから、やっぱりせっかくだから聴いてほしい、というのが本音です。そこでぼくは、男女パーソナリティの番組の場合、「耳障りにならない程度にちょっと笑って構成作家の存在をアピールする」という行為をする場合があります。
「これはあくまでお仕事ですよー。スタジオに二人きりでいるわけではなく、ちゃんとスタッフもその場にいますよー」という、いわば逆アピールをするのです。まあ、これが功を奏しているのかどうかは未だ以ってわからないのですが、なんとなく心がけていることではあります。

○「男性パーソナリティだけの番組は狙って笑う」
 このパート、あんまり自分の担当している男性パーソナリティには目に触れてほしくないのですが、まあ、ノリで書いてしまいましょう。
「男性パーソナリティだけの組み合わせの番組」でも、基本的にぼくは笑いません。やっぱり「その男性声優さんの声を聴きたくて」視聴している場合がほとんどだからと思うのです。
 ただ、だからこそ、「この番組の作家は構成作家笑いをしないのだな」という認識を、パーソナリティとリスナーに与えた上で、ふつおたなどでは絶対に笑わないのに、ネタコーナーでパーソナリティが爆笑トークをした「ここぞ!」という箇所で「普段は笑いをこらえている作家がどうしても笑いをこらえきれない感じで笑う」という笑いをすることは正直あります。
 これによって、パーソナリティさんとリスナーさんに「今のマジで面白かったなあ…」という一体感を産めるのではないか、という意図です。
 ま、これも、ちゃんと意図した演出になっているかははなはだ疑問ではありますが、こんなふうに、「構成作家は案外あれこれ考えつつ構成作家笑いを笑っている場合があるのかも」と思ってラジオを聴くのも一興だと思います。



 




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