プロでなくても生きていて良い
小さいころ、バンドマンがかっこよく見えて安いギターを買った。
今考えたらそこまで本気ではなかったけど、当時はミュージシャンになりたいと周りにも言っていた。
それがある日、親の耳に入りギターは没収された。
親曰く「音楽で食べていける人なんて一握りの才能ある人だけだから、凡人のあなたはちゃんと勉強しなさい」とのことだった。親の前でギターを演奏して見せたことなんて一度もなかった。
親の目に輝いていたのは正義感だった。少しでも息子の苦労する可能性が少ない方へ行かせようという親心だった。
大人になった今、一部の才能ある人以外も音楽を通じて食べていける職業がたくさんあることを知った。
親の無知は一人のミュージシャンを殺したのかもしれない。
昔から不思議だった。
勉強だけがなぜか才能無い人も一律に競わせられる。
「才能無いんだから諦めなさい」と言われたことは一度もない。
自分自身、勉強の才能があると感じたことは一度もないがお金を貰って生きている。
一応、ホワイトカラーとして知的アウトプットを提出し、そこに対してお金を頂いている。
他所の人から見たら「プロ」に見えているのかもしれない。
ただ実際は誰でもできる仕事を、惰性でこなしているに過ぎない。
その辺の大学生を捕まえてきて1か月研修させたら、おそらく同じレベルに達するだろう。
飲食店の店長だってそうである。
料理が好き、もしくは得意な人が飲食店を始めるとばかり思っていたが、実際はそうでもない。
人の下で働きたくない、何となくできそうだからといった理由で始めている人も少なくない。
くそまずい料理を平気な顔で出してきたり、ありえない接客態度をしてくるようなお店の存在もそれで説明がつく。
ただそういった人たちでも生きている。
この令和の時代
SNSでは若くして成功した人の情報がたくさん流れてくる。
意識高く努力して生きていかなければいけない、きれいな日常しか発信してはいけない。
そういった圧力の中で生きているからか、同世代のアカウントの多くは鍵垢かSNS自体を辞めていく。
何かを極めなくても実は仕事なんて山ほどある。
イラレを10時間程度かじって作ったチラシが売れたこともあった。
ブログなんかの発信だってもっと気軽にしていい。
30歳からプログラミング初めても遅いよなー、もう40歳だからピアノ初めても身につかないよー…
何も遅くない。安心して始めていいと思う。
自分が思っているより世界は広い。
そんなにスキル無くてもお金をくれる人はいる。
この記事を書いたあとに、僕はレベルの低いしょうもないパワポを作る作業に入る。
ただ、これで僕はお金をもらっている。
世の中、意外と才能無くてもやっていけるものである。